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ウィーンひとり散歩。伝統を受け継ぐ老舗カフェをめぐる

ウィーンでの観光地めぐりをまとめたらとても長い記事になってしまい、飲食について書ききれずウィーン第二弾です。


円安直撃、海外食事情。予約は必要?

円安、そして物価高の今。ヨーロッパに行くならばと覚悟はしていましたが
「高い・・・」
滞在中に何度つぶやいたことか、わかりません。
様々なガイドブックやブログを見て予習していましたが、ほぼすべてのお店が値上げしていました。
これからウィーンに行かれる方の参考になればと思い、現地利用額(ユーロ)とクレジットカード支払額(円)で併記しています。
※Landtmann以外は、10%チップ込みの金額です。
旅行予定のない方も、大体このくらいの物価なんだな〜と楽しんでいただけると幸いです。

また、ガイドブックに掲載されているような有名カフェ・レストランには「行列必至!!」というクチコミが多いのですが、朝一は意外と並ばずに入店することができます。
大体のカフェが朝8:00にオープンするので、それから1時間以内に行くと良いかと思います。
気合いを入れて日本で10件近く予約して行ったのですが、途中から「スケジュールをこなす」状態になってしまい最終日はグッタリでした。
のんびり過ごしたいという方は基本的に予約なしで朝オープンと同時に訪問することをお勧めします。

Café Sacher

オリジナルザッハートルテ・メランジェ €15.18 ¥2,453

ウィーンといえば「ザッハートルテ」という方も多いのではないでしょうか。このザッハートルテの発祥は1832年。クレメンス・メッテルニヒの料理人であるフランツ・ザッハーが考案しました。
ウィーン各地のカフェでもザッハートルテをいただくことができますが、オリジナルはCafé Sacherです。

深紅とゴールド、白い壁の内装が美しいCafé Sacher
オペラ座の裏手にあります。

ウィーン中心地からはケルントナー通りを5分ほど歩き、オペラ座が見えたら右へ曲がります。

カフェの入口はホテルの正面エントランスの隣にあります。

開店10分前だと私の前は3組だけ

8:00ちょうどになるとドアが開き、席へ案内されました。
予約していたので一応伝えましたが、あまり意味なかったような。

「アジア人差別を感じる」というクチコミをいくつか目にしていたのですが
私のテーブルの左には中国人ご夫婦。
右は日本人カップル。その隣も日本人親子。
うーん…?
差別という感じはしませんでしたが、THE・観光客がまとめられている感じは多少ありました。

オーダーから5分くらいで運ばれてきました
こちらがオリジナルザッハートルテ!

日本でいただくザッハートルテは薄〜いチョコでコーティングされていると思うのですが、本場のザッハートルテのコーティングのチョコは分厚くて驚きました。5倍くらい分厚いように思います。「パリッ」ではなく「むにっ」柔らかさとなめらかさがあります。
中のスポンジケーキも日本で食べるものとは随分違い、「しっとり」ではなく「パサパサ」「ボソボソ」という感じでした。
オノマトペって便利ですね。
クチコミで酷評を見ることも多かったので、正直あまり期待していなかったのですが、個人的には結構美味しかったです。
生クリームと一緒に食べると、よりちょうどいい甘さです。

食後に「この金額はチップ含まれていないの」としっかり念押しされたのには驚きましたが笑、豪華なお店で歴史あるデザートをいただくということで、納得の価格かなと思います。良い経験になりました。

ZUM WEISSEN RAUCHFANGKEHRER

アップルシュトルーデル・カフェラテ €17.00 ¥2,734

中心地から程近いツム・ヴァイセン・ラウフファングケラー。店名は白い煙突掃除人という意味です。
入口やテーブル、お皿など色々なところに掃除人を見つけることができます。(この白い彼です。)

土曜の昼間、予約していなかったので入れないかな~?と思いましたが、タイミングがよかったようですぐに入れていただきました。
高級店というクチコミを見ていたので緊張して行きましたが、店内はカジュアルな雰囲気。木の温もりを感じます。(価格はちゃんと高級です笑)

赤と白のチェック柄が可愛い

レディ・ガガが食べたという子牛肉のヴィーナーシュニッツェルが有名なのですが、空港ですでに軽く食事してしまっていたのでアップルシュトルーデルいただきました。

アップルシュトルーデルは、煮詰めたリンゴを薄いパイ生地で包んで焼いたパイです。大抵はたっぷりの生クリームやアイスクリームが添えられています。

リンゴがぎっしり詰まっています

すごく美味しい。本当に美味しい。しかし。リンゴの酸っぱさに期待しましたが、それを上回る甘さに血糖値が爆上がり。普段あまり甘いものを食べないので1/3で満足してしまい、残りはフードファイト状態でした。アイスがヨーグルト風味でとても美味しかったです。
こちらのアップルシュトルーデルに限らず、ウィーンのデザートは1つ1つボリューム満点なのでシェアすることを強くお勧めします。

1人旅なのでシェアできないんですけどね。
そういう人はカフェラテではなく、ブラックコーヒーをいただきましょう。

スタッフの方はとても親切で可愛らしい笑顔。帰りにたくさんポストカードをくれました。次回はディナーで訪れたいと思います。
ホームページは日本語ページもあるので是非ご覧ください。

Palmenhaus

朝食セット・オレンジジュース €24.97 ¥4,017

モーツァルト像があるブルクガルテンでの散歩の後にこちらを訪れました。
遠目からも目を惹くガラス張りの美しい建物は王宮の温室だったもの。
お店の名前である「Palmenhaus(パルメンハウス)」はドイツ語で温室という意味です。

11:30に予約していたのですが、10分以上前に到着してしまいました。
ランチタイムに差し掛かり、お店の外までかなり行列が。
「予約してきました」と伝えると、ブロンドのとても綺麗なスタッフの女性が「待ってたわ〜!席に案内するね!」と笑顔で迎え入れてくれました。

ウィーンでここまでフレンドリーな方に会うのが初めてだったので、ほっこり。

が、後から来たお客さんとはバトルしていました。
「予約はあるの?」
「してないけど、席空いてるのになぜ入れないの?!」
「予約してないなら待って」
「なんでよ!」
相手がお客様であろうと「言うべきことは言う」という姿勢を感じます。これは日本人が苦手とするところですよね。

文化の違いから見習うべきことがある

店内にはたくさんの植物が並び、南国の雰囲気です。
曇りでしたが、天井から光が差し込んでいます。

平日ランチはもちろん、土日でも朝食メニューを13:00まで利用できてとてもお得です。
私は朝食メニューからPALMENHAUS BREAKFAST を選びました。

ストロベリーヨーグルトスムージー
ヤギのチーズ入りスクランブルエッグ
自家製ジャム、バター、パン
大好物の絞りたてオレンジジュースは別で注文。
ヤギのチーズは香りが独特ですが、トッピングのネギで中和。そして半熟具合が最高でした。パンもすごく美味しかったです。

ヨーロッパに来ると「Bio」の表記、または「オーガニック」の表記を多く見かけます。こちらの卵、バター、ヨーグルト、パンも全てそのような表示がありました。農薬や化学肥料などを使用していないと知ると、より美味しく、安心していただくことができます。
店内の雰囲気を含め、最高でした。
お子様連れの方も多く、適度なザワザワ感が心地よかったです。
すぐに注文を聞きに来てくれるので、事前にメニューを読んで決めておくことをお勧めします。こちらから英語メニューを見ることができます。

Café Landtmann

朝食セット・メランジェ €20.40 ¥3,303 ※こちらだけチップなし

1873年に「ウィーンの最もエレガントで最も大きなカフェ」として開業したカフェラントマン。
リンク通り沿い、市庁舎や国会議事堂などからもすぐの場所にあるため朝食で訪れてからすぐに街歩きすることができます。
クリスマスシーズンの写真がとても素敵で映画のようです・・・!

私は朝8:00に予約して訪問したのですが、明るい時間ももちろん、とても素敵です。カフェというより高級ホテルや美術館のような佇まい。

ガラス張りのスペース、テラス席もあります。

私はガラス張りのスペースのブルク劇場を眺められる席に通していただきました。

まずはメランジェをいただきます。

なんてお洒落な朝でしょうか

朝食メニューからエッグベネディクトを注文しました。

それほど期待せず注文したのですが、オランデーズソースが美味しすぎて倒れるかと思いました。卵の半熟具合、ソース、ハムにトーストしたイングリッシュマフィンが絶妙にマッチ。
人生最高エッグベネディクトです。
結構ボリュームがあるので、朝食に最適だと思います。

朝食メニューがたくさんあるので、こちらもぜひ事前に予習を!
平日の朝は混み合っていませんでしたが、超人気店・有名店なので土日にいらっしゃる場合にはホームページから予約をするといいと思います。

記事の途中に持ってきてしまいましたが今回のウィーン旅で一番好きなカフェでした。
美しい建物、美味しい朝食はもちろん
スタッフの皆さんが適度な距離を保ってくれて、店内が広くて開放的で、一人でもゆっくりと長居しやすかったです。
この近くに住みたいくらい、周辺の雰囲気も好きです。
東京 青山にもお店があるので、そちらにも行ってみたいと思っています。

Café Mozart

朝食セット・アメリカーノ €23.00 ¥3,717

カフェザッハーと同じくオペラ座からすぐの場所にある老舗、カフェモーツァルト。
歴史を感じるシックな店内はあまり広くないので、ランチタイムはかなり混み合うそうです。別日に近くを通りましたが、テラス席も満席。私は朝一で訪れたのでゆっくりテーブル席を利用することができました。
店内はシックで落ち着いた雰囲気。

カフェモーツァルトは前述のラントマン系列のカフェなので、メニューが結構、同じだったりします。

可愛いイラストも一緒

この日は朝食後にシェーンブルン宮殿へ行く予定だったので、しっかり食べようと思い、朝食のセットを注文。
Viennese Breakfastという典型的なウィーンの朝食を選びました。
そして大好きなフレッシュオレンジジュースも。そして、カフェラテの飲み過ぎでお腹の調子が悪かったので、アメリカーノにしてみました。

まずアメリカーノとオレンジジュースを提供してくれたのですが、冷静に今見てみるとこの組み合わせは余計にお腹壊しますね。カッコつけずにオレンジジュースだけにしておけばよかった。正直この後、結構大変なことになりました。
さておき、クイッとアメリカーノを飲み干すと気分はウィーン人。
日本ではブラックなんて絶対に飲めない!と思うのに、ウィーンにいると美味しく感じます。
朝食セットはこのような感じです。

パン・ジャム・バター・半熟卵

半熟卵オンザプレート。
卵のために作られたお皿にティースプーンだけが乗っています。
手で剥いていいのか?テーブルにカンカン打ち付けたら白い目で見られる気がする。
スプーンはいつ使うのか?
この皿の形状を活かすと卵の殻が割れるのか?そんなわけないか。
iPhoneで調べるも文章だといまいち分からない。間違ったら恥ずかしいし・・・

ヘア・オーバーを見つめて「助けて」という顔をしていると、笑顔でやってきてくれました。
「日本ではこんな風に出てこなくて、初めてなんだけど、食べ方分からなくて、教えてくれますか?」

「卵の頭をスプーンの裏でトントンと叩いて軽く割って、手で半分くらいまでむきます。そうしたらスプーンですくって食べるよ。」
ジェスチャーを交えて教えてくれました。
「I did it!!」
喜んで言うと、ウィンクしてくれました。
それはそれは物凄いイケメンに見えましたね。

なぜかトイレが非常にポップ

ウィーン中心地にありながら、騒がしくなく落ち着いた雰囲気が魅力のカフェです。今回は朝食だったので、次回は名物のモーツァルトトルテをいただきたいなと思っています。

愛読書:地球の歩き方

Café Central

朝食セット・メランジェ €15.00 ¥2,422

1876年創業の老舗中の老舗カフェ。内装は宮殿のようですが、カフェになる前はカジノや銀行などとしても使われてきたそうです。

例によって開店すぐを狙って7:50頃に到着すると

すでに10人以上が開店を待っていました!しかも列をちゃんと作っておらずワイワイしている。不安!!!!!
他のカフェで随分慣れてはいましたが1人で来ているのは私だけ。
後から来た人たちにもあっさり順番を抜かされて焦りましたが、思った以上に広い店内では余裕で座ることができました。

写真で見ていた通りの美しさ。
店内は天井が高く、柱の1つ1つに細かい装飾が施されています。
カフェ モーツァルトで卵の食べ方をマスターしていた私は、今回もウィーンの朝食セットを注文。飲み物はメランジェ。



Gerstner K.u.K Hofzuckerbäcker

ゲルストナーザッハートルテ・メランジェ €14.41 ¥2,317

1847年創業の皇室御用達店であるゲルストナー。
ガイドブックでこの青い壁の部屋を見た瞬間、「絶対にここだけは行きたい!」と思い、すぐに予約しました。

国立オペラ座内でもゲルストナーのお菓子が提供されており、昔からオーストリアの人にどれほど愛されてきたかがよく分かります。
1階はショップで、素敵なケーキや有名なすみれの砂糖漬けなどのスイーツ、コーヒーや紅茶などを購入することができます。

可愛いがぎっしり詰まったショップ

レストラン・カフェ利用の場合は、素敵な階段で上がっていきます。

2階もカフェなのですが、この日はたまたま使用されていませんでした。

壁には皇室の方々の絵が飾られています

さらに階段で上がっていきます。

壁紙もすごく可愛らしいです

3階に到着。「おぉ〜〜〜!!!」
壁や天井、見渡す限りの煌びやかな装飾に豪華なシャンデリア
1階も2階も素敵でしたが、3階は本当に眩いばかりの美しさ

念願の青い壁のお部屋の席は空いていなかったのですが、撮影させていただけました。

ウィーンのレストランは意外とどこもカジュアルな格好の方がいるなと思っていたのですが、こちらのお店にはTシャツ・ジーンズ・スニーカーでは来れないというか落ち着かなそうです。
オペラ座が目の前なので、コンサート前に訪れる方も多いとのこと。

テーブルからオペラ座が目の前に見られます。

さて、ゲルストナーではゲルストナー・トルテ、メランジェをいただきました。
カフェ・ザッハーのザッハートルテよりもさらに表面のチョコレートが分厚く、ねっとりとした生チョコレートのようです。

横から見ると分かるように、スポンジ生地とチョコレートクリームが何層にも重ねられています。

どう見てもすごく甘そうなのですが、思ったよりは甘すぎず、とても美味しい。ザッハートルテとは全くの別物で、私はこちらの方が食べやすかったです。貴族が住むお城のような煌びやかな空間でいただくスイーツは格別。
日曜にはブランチのコースがあるようなので、次回は食事もしてみたいと思っています。

Figlmüller

シュニッツェル・サラダ・ぶどうジュース €31.90 ¥5,132

ウィーン名物であるカツレツ「シュニッツェル」
東京で食べた時にすごく美味しかったので、本場で食べてみたいと思っていました。

せっかくなら一番有名なお店でいただきたい!と思い、老舗フィグルミュラー(Wollzeile店)を予約しました。さすがの人気店で、1週間前でも結構埋まっていました。

狭い路地にあるというところも雰囲気があって素敵です
各国の時差を表すシュニッツェル
支店もあります

お店に入って名前を伝えると、満面の笑みでおそらく「おぉ〜(私の名前)ようこそ!待っていたよ〜こっちおいで〜この席でいい?」といったようなことをドイツ語で言われました。
とりあえず笑顔で「ダンケ!」

お席も可愛いのです

「まず何か飲む?」
「お酒飲まないけどシュニッツェルと合う飲み物がいいな」
英語とドイツ語が混ざっていましたがちゃんと汲み取ってくれて

Grape juice from Figlmüller’s vineyard

フィグルミュラーの畑、ということなので自家製ぶどうジュースですね。
さっぱりしていてすごく美味しかったです。白ワインを飲んでいるような気分。
メインはもちろん看板メニューのシュニッツェル(Figlmüller-Schnitzel)。そして美味しいと評判のサラダ(Small mixed salad)を注文しました。

シュニッツェルは仔牛肉を使用するのが一般的らしいのですが、フィグルミュラーオリジナルは豚肉です。サイズ感が伝わるでしょうか?皿の幅を超えてしまっています。直径30cmくらいです。
一口食べて「うまい!!!」と感動。
衣がサクサク、味はとてもシンプル、淡白な感じです。とっても薄いので、こんなに大きくてもパクパク食べられます。大きめにカットされたレモンがいい仕事をします。

そしてサラダは一見、葉物野菜だけのようですが、実は皿が深くてポテトサラダがぎっしり。ドレッシングはビネガーがしっかり入っているので、シュニッツェルとの相性抜群でした。
半分までは勢いよく食べ進めたのですが、かなり苦しくなってしまい遠い目をしていました。すると、その様子に気づいた担当のスタッフさんがお持ち帰り用の包み紙と紙袋を持ってきてくれました。

本当に本当に美味しかったですし、お店のスタッフの皆さんがニコニコしていて、とても居心地の良いお店でした。
ウィーンを訪れる方には必ず来て欲しいお店です。

憧れの街でトラブル続き。それでも一人旅はやめられない。

ずっと憧れていたウィーンは、想像よりもずっと美しく、随所で歴史を感じられる素晴らしい街でした。
ただ、終始トラブルだらけでした。
これまではどこに行っても英語ができればどうにかなるだろうと思っていたし、現地の挨拶ができたら喜んでもらえる。
日本人というだけで、歓迎してくれる。優しくしてもらえる。
と、思っていました。
でもそれは全然当たり前ではなく、とてもありがたいことなのだと実感しました。

今回、一人旅をしたことで痛い目にも遭いましたし、自分の考え方、価値観を見直すきっかけになりました。寂しさや孤独感もありました。

ただ、自分でフライトを決め、宿を決め、スケジュールを決め、困ったら解決し・・・自分の行動に全責任を持って過ごし、無事に帰国した時の何とも言えない達成感。
レベルが上がったような、少し自信がついたような。
ありがとうウィーン。
これはやみつきになりそうです。

経験を積んで成長した自分で、次回またこの街を訪れることが楽しみです。


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