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ドイツ一人旅_薄気味悪い感覚_14_09【海外旅行】

前の話  プロローグ  14日目01

1999年冬 14日目 フライブルク

「ニホンジンデスカ?」
「えっ!?」

ユースホステルで突然日本語で話しかけられたのでびっくりした。しかも日本人ではなくドイツ人だった。

「そうですが…」

気が動転してしまった。なぜだかわからないが、ドイツ人が日本語を話していることに違和感というか恐怖に近いものを感じてしまったのだ。今日、列車のなかで感じたホームシックの影響だろうか?

「私の母は日本人なんです」
「そうでしたか…」

「久しぶりに母以外の人と日本語で話すことができました」
「…」

彼はまだまだ日本語で話したいようであった。しかし、彼には悪いが僕としてはこの薄気味悪い状況から早く抜け出したかった。

「申し訳ないけど、これから日本に電話をかけるところだったんだ」

とっさに嘘をついた。

「そうでしたか。引き留めてすみませんでした。それでは失礼します」

そうというと彼は去っていった。

彼に対して失礼な態度をとってしまった。申し訳なさと薄気味悪い状況から脱した安堵感が入り交じった複雑な気持ちで部屋に戻った。


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これまでの話

0日目 きっかけと準備(日本)
1日目 初めての海外(フランクフルト)
2日目 初めての散策(カッセル)
3日目 初めてのビール(ケルン)
4日目 初めてのサッカー(ドルトムント)
5日目 長い長い一日(ベルリン)
6日目 ドナウの旅人(パッサウ)
7日目 ドナウの風景(レーゲンスブルク)
8日目 スタジアムでの出会い(ミュンヘン)
9日目 白亜の城での出会い(フュッセン)
10日目 酔っ払いとの出会い(ハイデルベルク)
11日目 最後のサッカー(シュトゥットガルト)
12日目 ドナウの泉(ドナウエッシンゲン)
13日目 銀河鉄道(インターラーケン)

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