ドイツ一人旅_ゴールキーパー_08_13【海外旅行】
1999年冬 8日目 ミュンヘン
「君はどっちのクラブを応援しているんだ？もちろんバイエルンだろ！」
大男のエレンの質問に僕は首を横に振った。
「カイザースラウテルン！」
なんとなくビッククラブであるバイエルンに立ち向かっていくクラブを応援したくなったのだ。そう答えると大男のエレンが信じられないといった顔つきで首を横に振った。それに代わるようにアルミンが手を差し出し握手を求めてきた。
「そうか！君もカイザースラウテルンを応援してくれるのか。さあ、一緒に応援しようぜ！」
僕らの視線はスタジアムのピッチへと戻った。
すると選手紹介が始まった。ドルトムントで観戦したときと同様、アウェーの選手紹介はまるでギネスブックに挑戦するかのように早口でまくし立てた。そしてたっぷりと時間をかけてホームのバイエルンの選手を紹介した。
選手紹介が終わるとスタジアムでウェーブが起きた。波に合わせ席を立ち上がりバンザイするとまた座る。ウェーブは３周して自然消滅した。
僕はヨーロッパサッカーの知識が乏しく、今日試合に出る選手で知っているのはバイエルンのミッドフィルダーで現役生活20年の鉄人ローター マテウスくらいだった。そんな僕にアルミンは色々と教えてくれた。
「2002年のワールドカップは日本で開催するんだよな。それだったら、バイエルンのゴールキーパーを覚えておいた方がいいぞ。今はドイツ代表のサブだけど、近いうちにきっと正ゴールキーパーなるぜ」
「そうなんだ」
「名前はオリバー カーンっていうんだ」
「オリバー カーン。覚えておくよ」
（オリバー カーンのその後の活躍はいうまでもない。2002年の日韓共催ワールドカップでは主将を務め、ドイツは惜しくも準優勝に終わるがゴールキーパーとしては初めてＭＶＰを獲得することになる）
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