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ドイツ一人旅_記念撮影_08_14【海外旅行】

前の話  プロローグ  8日目01

1999年冬 8日目 ミュンヘン

僕達の座席はバックスタンドのアウェー寄りだった。

本場のサッカーといえばファンやサポーター同士がお互い激しく対立するのかと思っていたが、指定席は比較的平和だった。相手の選手がミスをすると「あいつはへたくそだなー」と相手のファンに聞こえるような声で野次を飛ばすのだが、相手のファンも「まったくだ」と応じていた。相手の選手がファインプレーをすると「なかなか、やるじゃないか」と感心したりする。とても感じの良い雰囲気だった。

ハーフタイムになり、他会場での途中経過が電光掲示板に表示された。スペインのレアルマドリードが同点であることがわかると、スタジアム全体で喜んでいた。ヨーロッパを跨いだチャンピオンズリーグは面白い!

試合の方は終始バイエルンが優勢で、結果2対0でカイザースラウテルンの完敗だった。大男のエレンは大いに喜び、アルミンは仕方ないといったあきらめの表情だった。

スタジアムを出ると記念撮影会が始まった。大男のエレンが着ていたドイツ代表のマテウスのレプリカユニフォームを脱ぐと僕に手渡してくれた。

「レプリカを着くれ。一緒に写真を撮ろう」

僕はレプリカを着ると後ろを向き、顔だけ振り返ると右手の親指を立てて背番号8番を上から指した。写真を撮り終えるとレプリカを脱いで大男のエレンに返した。

今度は近くに通りかかった人にお願いして4人揃って撮影してもらった。

「日本に帰って現像したらドイツに送るよ」
「そいつは嬉しい。ここに送ってくれ」

大男のエレンから勤め先の名刺を受け取った。そしてアルミンからはリクエストを受けた。

「日本に帰ったらさ、君が応援しているクラブのレプリカを着た写真も送ってくれよ。もちろんパウラナー飲んでるところをな」

パウラナーとはミュンヘンで有名なビールの銘柄だ。ミュンヘンでおすすめのビールを聞いたら教えてくれたのだ。

「オーケー」

僕は最終日にパウラナーの缶ビールを買って帰り、約束通りの写真をドイツに送った。



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