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記事一覧

翻訳あそび:サーカス - 中原中也

              Circus                       NAKAHARA Chuya In ages and eras,   Some earth-colored wars were. In ages and …

日本の国のおおもとのさだめ(その前置き)

  日本を自分の国とする人々は、国を動かすには、正しいやりかたで代わりの人を選んで国のとりきめを作る。わたしたちとその子どもたちのために、さまざまな国々と快く力…

私たちがのぼる丘

00:00 | 00:00

2021年1月20日の第46代アメリカ合衆国大統領就任式で披露された Amanda Gorman (アマンダ・ゴーマン) の詩 "The Hill We Climb" を私が日本語に訳したものを音声合…

未解決の問題、あるいは、りんごの匂い

もし、 りんごなんてないどこかの、 りんごなんてないいつかの、 りんごなんて知らない誰か、 人間でさえない知能ある誰かに、 りんごの匂いを伝えたくなったら、 どうやっ…

ひかえめなくさばな

みちをあるきながら ときどき めがとまる いろ あかるさと くらがりの めりはり すらりとした かたち みやびやかな すがた とおりかかれば たちどまりたくなる…

La France

このいびつなくだものは ぬののようにやわらかなかわのうちに ぬれたかたくななみをつつみながら かすかにけだかいかおりをはなつ

鳳梨

みどりのやいばふりたてふりたて        緑の刃振り立て振り立て こんじきのよろいきこみいきごみ        金色の鎧着込み意気込み あやなすたまかざりた…

Sean C.

Sir Thomas Sean Connery (25 August 1930 – 31 October 2020) was a Scottish actor. [https://en.wikipedia.org/wiki/Sean_Connery] 《サー・トーマス・ショーン・コ…

翻訳あそび - オジマンディアス

旅のひとに聞いたよ。古い土地からきた人は語るよ: ふたつのそびえる、胴のないあしがあってね。 石でつくられて、砂漠のなかに立ってるよ。 そのわきの砂のうえに、なか…

禍いの春

桜は咲いたけれど、今年はそこに、雪が積もった。 つばめは渡ってきたけれど、今年はそこに、雪が襲った。 春は来たけれど、今年はそこに、わざわいが従った。 その毒…

ひとが作った形

まるで複雑さは単純さに憧れるのだというように 人が作ったものは形も色も素材もきわめて単純にできている。 それでいて憧れはあくまで憧れでしかないというように 人が…

花はそこにあるのに

花はいま、そこにあるのに。 花を見てるようで見ていないじゃないか。 だから、花を描いているようでいて、描けていないんだ。 どうしてもっとしっかり見ないのか。 …

みかん

空気が冷たい朝にみかんを食べるのには、ちょっと勇気がいります。 寒い日にみかんを食べると、よけいに寒くなるような気がするからです。 皮を剥いてみかんを食べるの…

コーヒーカップ

コーヒーをいれたコーヒーカップは、なんだか誇らしげに見える。 かすかに寝息のようなコーヒーの香りを立てて。 くちづけると、すこし苦くて。 けれど甘くて。 どこか…

はやおきのごほうび

あめあがりのひざしは つめたいみずをのむような すがすがしさがしみる あかるいひかりが まちのいろをぬりかえて くだもののような みずみずしさがせまる はだざむいき…

石畳の隙間から

石畳の隙間から葉っぱが伸びて広がり 茎が細く立ち上がり 小さな黄色いつぼみを付けて 風に揺れていました。 近づいてしゃがみこみ スマホのカメラを向けると つぼみ…

翻訳あそび:サーカス - 中原中也

翻訳あそび:サーカス - 中原中也

              Circus
                      NAKAHARA Chuya

In ages and eras,
  Some earth-colored wars were.

In ages and eras,
  Storms did have come in winter.

In ages and eras,
  Here we have a on

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日本の国のおおもとのさだめ(その前置き)

日本の国のおおもとのさだめ(その前置き)

  日本を自分の国とする人々は、国を動かすには、正しいやりかたで代わりの人を選んで国のとりきめを作る。わたしたちとその子どもたちのために、さまざまな国々と快く力をあわせてなしとげた事柄と、広々とした心がわたしたちの国の隅々にまでもたらすたくさんの恵みとを、しっかりとつかむ。国の舵取りによっては、またいくさをおこしたり、むごいわざわいをもたらすことのないようにすることを心に誓う。国をどうするかを決め

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私たちがのぼる丘

https://www.youtube.com/watch?v=LZ055ilIiN4

00:00 | 00:00

2021年1月20日の第46代アメリカ合衆国大統領就任式で披露された Amanda Gorman (アマンダ・ゴーマン) の詩 "The Hill We Climb" を私が日本語に訳したものを音声合成に読んでもらいました。

原語(英語)に即した意味と韻をできるだけ日本語でも再現しました。

音声合成の結果は少し調整しましたが、素のままでもかなり上手に読んでくれます。
Voiced by htt

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未解決の問題、あるいは、りんごの匂い

未解決の問題、あるいは、りんごの匂い

もし、
りんごなんてないどこかの、
りんごなんてないいつかの、
りんごなんて知らない誰か、
人間でさえない知能ある誰かに、
りんごの匂いを伝えたくなったら、
どうやって伝えよう。

化学者なら、
揮発成分の分析結果を
化学構造式と
構成比で
伝えるだろうか。

でも、
それだと、
りんごの匂いを嗅いだとき、
どんな気持ちがするのか、
そこまではわからない。

心理学者なら、
おおぜいのさまざまな人

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ひかえめなくさばな

ひかえめなくさばな

みちをあるきながら

ときどき

めがとまる

いろ

あかるさと

くらがりの

めりはり

すらりとした

かたち

みやびやかな

すがた

とおりかかれば

たちどまりたくなる

あさつゆのような

ひととき

La France

La France



このいびつなくだものは

ぬののようにやわらかなかわのうちに

ぬれたかたくななみをつつみながら

かすかにけだかいかおりをはなつ

鳳梨

鳳梨

みどりのやいばふりたてふりたて        緑の刃振り立て振り立て

こんじきのよろいきこみいきごみ        金色の鎧着込み意気込み

あやなすたまかざりたてまつり            彩なす玉飾り奉り

かぐわしきかがやきくすぶれくすぐれ        馨しき輝き燻れ擽れ

おおとりのなしのほまれほうりとよばれ    鳳の梨の誉れ鳳梨と呼ばれ

とこなつのくにのひかりをはなつ     

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Sean C.

Sean C.



Sir Thomas Sean Connery (25 August 1930 – 31 October 2020) was a Scottish actor. [https://en.wikipedia.org/wiki/Sean_Connery]

《サー・トーマス・ショーン・コネリー(1930年8月25日 - 2020年10月31日)は、イギリス・スコットランド出身の俳優。》

Conn

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翻訳あそび - オジマンディアス

翻訳あそび - オジマンディアス

旅のひとに聞いたよ。古い土地からきた人は語るよ:
ふたつのそびえる、胴のないあしがあってね。
石でつくられて、砂漠のなかに立ってるよ。
そのわきの砂のうえに、なかばしずんだ顔があってね。
いかめしくもつぶれて、しわのよった唇でつめたく命令してわらってるよ。
つたわるのは彫刻師のたくみだよ。
かれらが読みとったほとばしる思いは、魂のない物たちに刻まれて今もある。
かれらの手がそれらをかたどり、かれら

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禍いの春

禍いの春



桜は咲いたけれど、今年はそこに、雪が積もった。

つばめは渡ってきたけれど、今年はそこに、雪が襲った。

春は来たけれど、今年はそこに、わざわいが従った。

その毒は、舌を鈍らせ、鼻を鈍らせ、肺を曇らせ。

重くなると息ができなくなり、悪くするとあちこちの臓器を痛めつけ、死んでしまうかもしれないのだという。

あっけないくらい急に。

その毒は、さわるとうつり、咳やくしゃみのしぶきでうつり、閉

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ひとが作った形

ひとが作った形

まるで複雑さは単純さに憧れるのだというように

人が作ったものは形も色も素材もきわめて単純にできている。

それでいて憧れはあくまで憧れでしかないというように

人が作ったものはあちこちに歪みがあり欠損があり過剰がある。

この卓上のポットもそうだ。急須もそうだ。

そのために作られた製品は、たいてい「なるほど」を導く姿をしている。

一杯のお茶を入れるための道具にも道理が反映される。

さて、お

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花はそこにあるのに

花はそこにあるのに



花はいま、そこにあるのに。

花を見てるようで見ていないじゃないか。

だから、花を描いているようでいて、描けていないんだ。

どうしてもっとしっかり見ないのか。

どうしてもっとしっかり描かないのか。

この花はそのうちしおれて枯れてしまうのに。

いまこの花はこの絵よりもっと元気に咲いているのに。

みかん

みかん



空気が冷たい朝にみかんを食べるのには、ちょっと勇気がいります。

寒い日にみかんを食べると、よけいに寒くなるような気がするからです。

皮を剥いてみかんを食べるのは、ちょっと根気がいります。

白い筋がみかんについているので、それをとるのに時間がかかるからです。

でも、みかんはおいしいので、懲りずに食べます。

明日も。

コーヒーカップ

コーヒーカップ

コーヒーをいれたコーヒーカップは、なんだか誇らしげに見える。

かすかに寝息のようなコーヒーの香りを立てて。

くちづけると、すこし苦くて。

けれど甘くて。

どこか懐かしいような味がして。

はやおきのごほうび

はやおきのごほうび

あめあがりのひざしは
つめたいみずをのむような
すがすがしさがしみる

あかるいひかりが
まちのいろをぬりかえて
くだもののような
みずみずしさがせまる

はだざむいきせつに
こころがほころぶ

おはよう
できたての
きょうというひの
おもいでよ

石畳の隙間から

石畳の隙間から

石畳の隙間から葉っぱが伸びて広がり

茎が細く立ち上がり

小さな黄色いつぼみを付けて

風に揺れていました。

近づいてしゃがみこみ

スマホのカメラを向けると

つぼみの先は

画面をはみ出すように揺れるのでした。

うっかりすると踏み潰されてしまうような

小さな草のけなげな姿でした。

その花の名前も知らないままなのですが。