見出し画像

JW298 吾輩は県主である

【丹波平定編】エピソード5 吾輩は県主である


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)は、多遅摩(たじま:現在の兵庫県北部)を守るため、神社を創建していた。

河上摩須郎女(かわかみのます・のいらつめ)(以下、マス子)と、黄沼前来日(きぬさき・の・くるひ)(以下、クール)を合いの手に迎え、解説は続くのであった。

系図(ミッチー)
系図(尾張氏)
地図(多遅摩)

ミッチー「つ・・・次に紹介するのは、出石神社(いずしじんじゃ)じゃ!」

マス子「鎮座地(ちんざち)は、兵庫県豊岡市(とよおかし)の出石町宮内(いずしちょう・みやうち)にございますよ。旦那様・・・(〃▽〃)。」

地図(出石神社)
出石神社(鳥居)
出石神社(拝殿)

クール「もう、旦那様呼び、かいや!?」

マス子「ええやないですか! こういうのは、形から入らんとダメなんです!」

ミッチー「し・・・して、祭神は、天日槍命(あめのひぼこ・のみこと)じゃ!」

クール「天日槍? 聞いたことない神様だっちゃ。どげな神様なんだ?」

ミッチー「どのような神かと問われても・・・。それがしも分からぬ。」

クール「は? 『記紀(きき)』にも、伝承にも出て来ん、神様なんか?」

するとそこに、多遅摩国造(たじま・の・くにのみやつこ)の多遅摩日楢杵(たじま・の・ひならき)(以下、ラッキー)がやって来た。

ラッキー「知らなくて当然ニダ。まだ、秋津洲(あきつしま)に来てないハセヨ。」

ミッチー・マス子・クール「来ていない?」×3

ラッキー「天日槍が来るのは、『日本書紀(にほんしょき)』によると、紀元前27年、皇紀634年(垂仁天皇3)のことハセヨ!」

ミッチー「垂仁天皇(すいにんてんのう)? 誰じゃ?」

ラッキー「十一代目のことハセヨ! まだ産まれてないハセヨ!」

マス子「ちょっと待ってください。後の世に、神様が来るってことですか?」

ラッキー「そういうことになるニダ。」

クール「今は、秋津洲におらん・・・ということは、異国(とつくに)からやって来るんかいや?」

ラッキー「その通りニダ! 新羅(しらぎ)から、やって来るニダ!」

ミッチー「そ・・・そのような、先の話を、なにゆえ『ラッキー』は知っておるのじゃ?」

ラッキー「実は、わえ(私)の祖父だからハセヨ。」

マス子「ちょ・・・ちょっと待ってください。『ラッキー』殿の『おじいさま』が、どうして、あとから、やって来んとあかんのです?」

ラッキー「たしかに・・・『日本書紀』で判断すると、あとから来ることになってしまうニダ。されど、『古事記(こじき)』の方では、遠い昔に来たとしか書かれとらんので、もしかすると、もっと前の時代に来ていたのかもしれないハセヨ。」

ミッチー「とにかく『国司文書(こくしもんじょ) 但馬故事記(たじまこじき)』では、この時代に、汝(いまし)が活躍していることになっておるのじゃな?」

ラッキー「そういうことニダ。『日本書紀』とは齟齬(そご)が生じますが、せっかくなんで、出演することにしたハセヨ!」

クール「そにゃぁなことになっていたとは・・・(;゚Д゚)。」

ミッチー「それがしたちの時代は、神話の時代。諸説有るのが常(つね)じゃ。致し方あるまい。」

マス子「では、気を取り直して、次の神社を紹介致しましょう。その名も、絹巻神社(きぬまきじんじゃ)にございますよ。」

絹巻神社(鳥居)
絹巻神社(拝殿)

クール「鎮座地は、どこだいや?」

ミッチー「兵庫県豊岡市の気比絹巻(けひ・きぬまき)じゃ。」

地図(絹巻神社)

クール「おお! わえ(私)の故郷(ふるさと)だっちゃ!」

ミッチー「黄沼前県主(きぬさき・の・あがたぬし)が治める地であったな。」

地図(黄沼前)

クール「そんで、祭神は?」

マス子「天火明命(あめのほあかり・のみこと)ですぅ。『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』では、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)と、同一であると見なしてはりまして、うちの御先祖様になる神様なんですよ。」

ミッチー「尾張氏(おわり・し)の神も、祀(まつ)らねばならぬと考えたのであろうな。」

マス子「ちなみに、創建は、西暦272年、皇紀932年(応神天皇3)4月とも伝わってますぅ。」

ミッチー「西暦322年、皇紀982年(仁徳天皇10)とも言われておるぞ。諸説有りじゃな。」

腕を組み、感慨深げに「ミッチー」が語っていると、一人の男が近付いてきた。

クール「ん? 誰だ?!」

男「吾輩(わがはい)は、小田井県主(おだい・の・あがたぬし)である。名前は、まだ無い。」

ミッチー「名が無いと申すか? では、作者に付けてもらおうぞ。」

こうして、小田井県主は「ピット」と名付けられた。

地図(小田井)

ピット「うう・・・(´;ω;`)。ブラッドの方が良かった・・・(´;ω;`)ウッ…。」

ミッチー「何が嫌なのか、さっぱり分からぬが、何用(なによう)で参ったのじゃ?」

ピット「そうであった。実は、吾輩の治める小田井の地にも、神社を創建していただきたく・・・。」

ミッチー「それは、なにゆえじゃ?」

ピット「小田井の地は、かつて、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が開かれし地であり、その偉徳(いとく)を顕彰(けんしょう)せんがため、何としても社(やしろ)を建てるべしと、思い至ったのである。」

ミッチー「では、建てようぞ。祭神は、大国主大神じゃな?」

ピット「しばし、お待ちいただきたい! それがための許しを頂(いただ)かざるべからず!」

クール「何だぁ? こうじゃげなモンだなぁ(生意気な奴だな)。許しが要(い)るんかいや?」

ミッチー「今、建てると申したではないか。」

ピット「否(いな)。大王(おおきみ)の許しをば、頂(いただ)かざるべからず。」

マス子「め・・・面倒くさい、お人ですねぇ。頂くべきと・・・普通に言うたら、ええのに・・・。」

ミッチー「仕方ない。では『クール』よ。大王のおわす、宮(みや)まで向こうてはくれぬか?」

クール「しゃっても(どうしても)、行かにゃぁならんかいや?」

ミッチー「ゆ・・・許せ・・・。」

こうして「クール」は、作者オリジナル設定により、再び、宮に遣(つか)わされることになったのであった。 

つづく

この記事が参加している募集

日本史がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?