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JW482 汝は何しに日本へ
【垂仁天皇編】エピソード11 汝は何しに日本へ
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前27年、皇紀634年(垂仁天皇3)。
妻を追い、ヤマトにやって来た、新羅(しらぎ)の王子、天日槍(あめのひぼこ)(以下、ヒボコ)。
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しかし、波速渡神(なみはやのわたりのかみ)によって、行く手を阻(はば)まれ、追うことを断念する。
そして「ヒボコ」は「古事記(こじき)」の記述に従うか、迷うのであった。
ヒボコ「新羅に帰ろうとして、多遅摩(たじま:現在の兵庫県北部)に停泊すべきとも思うが、舟で瀬戸内海に来ているのに、多遅摩に停泊するというのは、ちょっと変な話だしなぁ・・・。」
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するとそこに、一艘(いっそう)の舟がやってきた。
そこには、二人の男が乗船している。
ヒボコ「えっ? こんな展開、伝承には無いハセヨ。どういうことニカ?!」
さて、二人の男であるが、先に紹介しておこう。
それは、若日子建吉備津日子(わかひこたけ・きびつひこ)(以下、タケ)と、タケの子、武彦(たけひこ)(以下、たっちゃん)であった。
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タケ「私は、吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)を治める者じゃ。汝(いまし)に尋ねたき儀(ぎ)が有り、罷(まか)り越(こ)した次第。『おりじなる』設定で有るぞ!」
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ヒボコ「言われなくても、分かっているニダ。ところで、一体、何が聞きたいというのです?」
たっちゃん「前回、汝(いまし)が追いかけた妻は、阿加流比売神(あかるひめ・のかみ)と解説されておったが、エピソード463の解説では、比売許曽神社(ひめこそじんじゃ)の祭神は、下照姫命(したてるひめ・のみこと)となっておる。これは一体、如何(いか)なることじゃ?」
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ヒボコ「実は・・・『古事記』では、阿加流比売神と書かれているんですけど、平安時代に編纂(へんさん)された『延喜式神名帳(えんぎしき・じんみょうちょう)』では、下照姫命と記載されているんですよ。で、結局、神社側は『神名帳』の方を採用したというわけニダ。」
タケ「そのようなことが・・・。し・・・して、妻を追って来たという話についてじゃが・・・。」
ヒボコ「赤い玉が、美しい娘に変化(へんげ)し、そして、ウリ(私)の妻になったハセヨ。」
たっちゃん「その話、エピソード460と461で紹介された、任那国(みまな・のくに)の王(こきし)の子、蘇那曷叱知(そなかしち)こと『ソナカ』殿の話に似ておるのじゃが、これは一体、如何(いか)なることじゃ? 『ヒボコ』殿と『ソナカ』殿は、同一人物ということか?」
ヒボコ「人生いろいろ、伝承もいろいろ・・・ハセヨ。ちなみに、ウリの伝承は『古事記』にだけ記載されているニダ。『ソナカ』殿の伝承については『日本書紀(にほんしょき)』にだけ記載されているニダ。まあ、当時から、似たような話が伝わっていたのかもしれないニダ。」
タケ「ロマンということか・・・。ところで、これから、如何(いかが)致すつもりなのじゃ?」
ヒボコ「そうなんですよねぇ。『日本書紀』では、積極的に帰化(きか)してるんですが、『古事記』では消極的な感じで帰化してるんですよ。どっちを採用するべきか、それが問題だ・・・。」
たっちゃん「帰化することは、決定事項なのじゃな? では『日本書紀』を採用すべし!」
ヒボコ「どうしてニカ? 多遅摩(たじま)が、瀬戸内海とは反対側に位置するからですか?」
タケ「いや、そうではない。このあと、『古事記』では、汝(いまし)が活躍せぬからじゃ。」
ヒボコ「アイゴー(ええぇぇ)! じゃあ、悩むまでもなく『日本書紀』バージョンになると?」
たっちゃん「そういうことじゃ。まだ、出演したいであろう?」
こうして、必然的に「日本書紀」バージョンに移行したのであった。
つづく
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