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JW188 印賀平定

【孝霊天皇編】エピソード43 印賀平定


第七代天皇、孝霊天皇(こうれいてんのう)の御世。

紀元前230年、皇紀431年(孝霊天皇61)。

月支国(げっしこく)の脅威は去った。

地図(現在地)
今回の登場人物

しかし、孝霊天皇こと、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))は、ヤマトに戻らないと宣言する。

出雲君(いずものきみ)の知理(ちり)は、困惑の色を浮かべるのであった。

知理「なにゆえじゃ!? もはや、月支国が攻め込んで来る恐れも無いのだぞ!?」

笹福「左様ではござりまするが、印賀(いんが)の鬼退治が終わっておりませぬ。」

地図(印賀)

知理「あくまで、伯伎(ほうき:現在の鳥取県西部)に留(とど)まると申されるか?」

地図(伯伎)

笹福「出雲君のお許しをいただけるなら・・・。」

知理「どうせ、許しがなくとも、伝承が有るからと申して、赴かれるのであろう?」

笹福「ま・・・まあ、そうなりまする・・・。」

知理「仕方ない。許してやろう。」

笹福「か・・・かたじけない。」

するとそこに、黄魃鬼(こうばつき)がやって来た。

黄魃鬼「し・・・死ぬところだったど!」

笹福「黄魃鬼! 生きておったか!?」

黄魃鬼「間一髪だったど! 素戔嗚命(すさのお・のみこと)が出て来るんだったら、先に教えてほしかったわい。」

笹福「す・・・すまぬ。我(われ)も知らざることであったゆえ・・・。」

芹彦「まあまあ、なにはともあれ、御無事でなにより! さあ、勝ち戦(いくさ)じゃ! 皆の衆! 大いに飲もうぞ!」

一同「おお!」×多数

こうして、祝勝の宴を催(もよお)したのち、笹福一行は、印賀に戻った。

その途次、妻木(むき)に立ち寄り、そこで、ヘンリー、ジョージ、マイケル、黄魃鬼たちと別れたのであった。

地図(帰還・妻木へ)

朝妻姫(あさづまひめ)が出迎えたのは言うまでもない。

朝妻姫「大王(おおきみ)! 皆様方! 無事の御帰還、祝着(しゅうちゃく)に存じます。」

笹福「うむ。皆、無事じゃ。鶯王(うぐいすおう)もな・・・。」

鶯王「母上! 再び、お会いでき、感無量にござりまする。」

ジョージ「では、わしらは帰るで。」

マイケル「稲葉(いなば:現在の鳥取県東部)は、任せてごせ(ください)!」

笹福「うむ。よろしく頼むぞ。」

ヘンリー「妻木にも、時々、遊びに来てごしない(ください)。」

黄魃鬼「ら(私たち)も、隠伎(おき:現在の隠岐の島)に帰るど。大王、達者でな!」

黄魃鬼の手下たち「大王! 皇子! みなさん! 元気でなぁ!」×多数

笹福「黄魃鬼! 汝(いまし)らの働き、忘れはせぬ。本当に助かったぞ!」

懐かしい面々との別れを遂げたのち、一行は、印賀へと足を向けた。

地図(帰還・印賀へ)

印賀では、大后(おおきさき)の細媛(くわしひめ)(以下、細(ほそ))たちの出迎えがあった。

細「大王! お帰りなさいませ。」

笹福「うむ。ようやく戻って参った。」

ジム「お疲れ様でございました。」

ユミ「芹彦殿! アタシに会いたくて、仕様(しょう)がなかったんでしょ?」

芹彦「い・・・いや・・・。」

ユミ「またまたぁ。もぉぉ! 恥ずかしがり屋さんなんだからぁ。」

笹福「では、戻ってきて、早々、皆には申し訳ないが、印賀の鬼『デーモン』と決着を付けねばならぬ。」

歯黒「大王。どのように決着を付けられたのです?」

笹福「それが、特に伝承が無いのじゃ。」

タケ「えっ? では、退治したと記されているだけにござりまするか?」

笹福「そういうことじゃ。」

するとそこに、紙面の都合で「デーモン」が現れたのであった。

デーモン「フハハハハ・・・。ヤマトの諸君。吾輩(わがはい)を止めてみたまえ・・・。」

歯黒「そうしようぞ! 喰らえっ! 正義の剣!」

デーモン「グフッ! こ・・・こんな終わり方で、良かったのか?・・・ガクッ。」

あれだけ紙面を騒がせた「デーモン」であったが、本当に、詳しい記述がないのである。

ジム「大王! 本当に助かったが! だんだん、だんだん(ありがとうございます)。」

笹福「うむ。これで、印賀も安泰じゃのう。」

鶯王「では、ヤマトに帰られるのですね?」

笹福「そういうことになるのう。鶯王・・・。汝(なれ)は、ここに残っても良いのじゃぞ?」

鶯王「いえ、私情を挟むわけには参りもうさず。時折、伯伎に戻る、お許しをいただければ、それで充分にござりまする。」

笹福「左様か・・・。」

細「大王。わらわは、この地に残りたいのですが・・・。」

笹福「何を申すか! 汝(いまし)は大后ぞ。」

細「されど『ふぅちゃん』を置いては・・・。」

笹福「福姫(ふくひめ)のことは分かるが、ジムたち、印賀の人々が、墓守(はかもり)をしてくれることになっておるのじゃ。それに、ヤマトに残る、大日本根子彦国牽尊(おおやまとねこひこくにくる・のみこと)こと『ニクル』は如何(いかが)致す?」

系図(細媛と子供たち)

細「左様ではございますが・・・。」

笹福「とにもかくにも、伯伎の鬼は平らげた。これにて終(しま)いと致す。」

牛鬼「そげですか・・・。淋しくなるが・・・。」

笹福「牛鬼とも、これで、お別れじゃのう。」

牛鬼「菅福神社(すげふくじんじゃ)のある、上菅(かみすげ)まで、お見送りするが!」

地図(上菅・菅福神社)

笹福「分かった。では、上菅まで・・・・。」

こうして、笹福一行は、帰路についたのであった。 

つづく

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