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JW308 丹波南部を行く

【丹波平定編】エピソード15 丹波南部を行く


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

丹波(たにわ)の豪族、陸耳御笠(くがみみのみかさ)(以下、みかさ)の行方は、未だ掴(つか)めずにいた。

そんな中、丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)は、神社を創建するため、丹波南部を訪れる。

同行するのは、妻の河上摩須郎女(かわかみのます・のいらつめ)(以下、マス子)であった。

系図(ミッチーとマス子)

マス子「なんや、新婚旅行みたいですねぇ。」

ミッチー「うむ。・・・というわけで、まずは、それがしたちの住まう宮(みや)を建てたぞ。」

マス子「えっ? 別荘みたいなモンですか?」

ミッチー「まあ、そんなところじゃ。」

マス子「それで・・・どこに建てはったんです?」

ミッチー「二千年後の地名で言うと、京都府綾部市(あやべし)の広瀬町城山(ひろせちょう・しろやま)じゃ。ただの宮ではないぞ。ここに、三柱(さんはしら)の神を祀(まつ)った。」

マス子「おうちの神棚みたいなモンですか? それで・・・どんな神様を祀られたんです?」

ミッチー「天照大神(あまてらすおおみかみ)、月読神(つくよみのかみ)、そして、素戔嗚命(すさのお・のみこと)の姉弟じゃ。」

マス子「なるほど・・・。そないなことしたから、私たちが常世(とこよ)に旅立ったあと、宮は、神社になってしもたんですね。」

ミッチー「そ・・・そうなのか?」

マス子「実は、そうなんですよ。伊也神社(いやじんじゃ)になったんですぅ。」

地図(伊也神社)
伊也神社(鳥居)
伊也神社(拝殿)

ミッチー「自宅が、神社になったようなモノか?」

マス子「まあ、そんな感じですかねぇ。」

ミッチー「そういうことなら、仕方ないな。」

マス子「せやけど、旦那様? 神社を建てるだけやのうて、この地の開発も同時におこなったって、ホントですか?」

ミッチー「まことじゃ。稲作を伝えた邑(むら)も有るであろうし、水路を造った邑も有るであろうな。道も整えたはずじゃ。」

マス子「なんや、開発業者みたいなことしてはったんですねぇ。」

ミッチー「その通りじゃ。そうして、ある程度、開発が進むと、次の地に遷(うつ)ったようじゃな。」

マス子「えっ? せっかく、別荘を建てはったのに、別の地に?」

ミッチー「そうなのじゃ。国を安んじめることが、務めゆえ、致し方あるまい。」

マス子「それで・・・次に向かったのは?」

ミッチー「二千年後の地名で言うと、京都府南丹市(なんたんし)の美山町宮脇ヒノ谷(みやまちょう・みやわき・ひのたに)じゃ。ここにも、宮を建てたぞ。その名も『野々宮御所(ののみやごしょ)』じゃ。ここを拠点に、当地の開発に務めたのじゃ。」

地図(野々宮御所へ移動)

マス子「あれ? 今回は、宮に名前が・・・。ほな、前の宮は、なんて、呼んでたんです?」

ミッチー「これぞ、ロマンじゃな!」

マス子「聞かん方が良かったですか?」

ミッチー「いや、読者も疑問に思うであろうし、良かったのではないか?」

マス子「それで・・・こちらも、やっぱり?」

ミッチー「うむ。のちに、道相神社(どうそじんじゃ)となったぞ。祭神は、御初代様こと、神武天皇(じんむてんのう)と、その兄、五瀬命(いつせ・のみこと)じゃ。」

地図(道相神社)
道相神社(鳥居)
道相神社(拝殿)

マス子「旦那様は、兄弟で祀るのが好きなんですか?」

ミッチー「どうであろうな。まあ、ロマンということにしておこうぞ。」

マス子「それで・・・その後は、どうなりはったんです?」

ミッチー「うむ。開発を終えた後、次の地に向かったぞ。」

マス子「次は、どこですの?」

ミッチー「二千年後の亀岡市(かめおかし)じゃ。」

地図(亀岡市へ)

マス子「そこでも、開発をおこなったんですね?」

ミッチー「その通りじゃ。そして、神社を建てたのじゃ。」

マス子「ここでは、宮ではなくて、社(やしろ)を建てはったんですか?」

ミッチー「うむ。その名も、小幡神社(おばたじんじゃ)じゃ。祭神は、それがしの祖父、九代目、開化天皇(かいかてんのう)じゃ!」

小幡神社(鳥居)
小幡神社(拝殿)

マス子「此度(こたび)は、兄弟ではないんですねぇ。」

ミッチー「これぞ、ロマンじゃな。」

マス子「それで・・・亀岡市のどこに建てはったんです?」

ミッチー「曽我部町穴太(そがべちょう・あなお)の宮垣内(みやがいち)じゃ。」

地図(小幡神社)

マス子「この地は、平野が広がってますから、たくさん、お米が作れますねぇ。」

ミッチー「そうじゃな・・・。」

二人が目を細めながら、平野を眺めていると、黄沼前来日(きぬさき・の・くるひ)(以下、クール)が駆けて来た。

クール「久しぶりだっちゃ!」

ミッチー「おお! 『クール』か・・・。如何(いかが)致した?」

クール「ついに見つかったんだわいや! 陸耳御笠(くがみみのみかさ)こと『みかさ』が、見つかったんだわいや!」

ミッチー「なにっ!」

クール「すぐに戻って来いと、彦坐王(ひこいます・のきみ)こと『イマス』様からの言伝(ことづて)だっちゃ。」

ミッチー「よぉぉし。ついに『国見(くにみ)の剣(つるぎ)』が活躍できる時が、来たのじゃな?」

クール「剣は、ともかく、はよ行きねぇな(早く行きなさい)!」

ミッチー「承知したっ。では『マス子』よ。行って参るっ。」

マス子「旦那様ぁぁ。お気をつけてぇぇ。」

ついに「みかさ」が見つかった。

戦いが、再び起ころうとしている。

つづく

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