JW427 木国で探せ
【崇神経綸編】エピソード2 木国で探せ
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
紀元前47年、皇紀614年(崇神天皇51)の春。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)の新たな鎮座地(ちんざち)を求める旅が再開した。
御杖代(みつえしろ)の豊鍬入姫(とよすきいりひめ)(以下、きぃ)は、木国(き・のくに:現在の和歌山県)に向かう。
その地が、母の実家だったからである。
当然ながら「きぃ」の母、遠津年魚眼眼妙媛(とおつあゆめまぐわしひめ)(以下、アユ)も同行したのであった。
アユ「じゃあ、木国造(き・のくに・のみやつこ)に挨拶しないとね。それでは紹介します。私の従兄弟、大名草彦(おおなくさひこ)こと草彦(くさひこ)です!」
草彦「アユ・・・。汝(なれ)まで来るとは聞いておらぬぞ!」
アユ「はぁ? ちょっとくらい、いいでしょ! 息子と孫と、離れ離れの暮らしなのよ!」
草彦「前回、そのようなことを申しておったな。しかし、まさか『アマ』様が来られるとは・・・。」
きぃ「伯父上。御面倒をおかけし、真に申し訳ありませぬ。出来ますれば、木国を案内(あない)していただきたいと思っているのですが、よろしゅうございますか?」
草彦「うむ。可愛い『きぃ』ちゃんの頼みとあらば、断ることなど出来ぬのう。」
アユ「あとは『アマ』様が、気に入ってくださるといいんだけど・・・。」
草彦「ところで、案内する前に、我(われ)の子たちを紹介したいのじゃが、良いかな?」
きぃ「よろこんで! 私の再従兄弟(はとこ)になるのですね?」
草彦「その通り! では、紹介します。息子の菟道彦(うぢひこ)じゃ。『うぢお』と呼んでくれ。」
うぢお「お初にお目にかかりまする。『うぢお』にござる。」
草彦「つづいて、娘の影媛(かげひめ)じゃ。」
影媛「私が、影媛にございます。『きぃ』様、よろしゅう御願い申し上げまする。」
きぃ「こちらこそ、よろしく御願い致しまする。」
アユ「じゃあ、自己紹介も済んだし、さっさと案内して頂戴(ちょうだい)!」
こうして、木国の各所を案内した結果・・・。
「アマ」様が降臨して言うには・・・。
アマ「わらわが、この地が気に入ったぞ。ここに鎮座しようと思う。」
草彦「こ・・・ここ? それは、一体、何処(いずこ)にござりましょうや?」
きぃ「諸説有りということですね? なれば、解説するほかありませぬ。」
アユ「またまた、諸説有りなの? もう勘弁してよねぇ。」
アマ「悪かったのう! 良いから、しっかりと解説致せ。」
きぃ「で・・・では、まず、宮の名前ですが、その名も、奈久佐浜宮(なぐさの・はまのみや)と申しまする。そして、候補地の一つが、濱宮(はまのみや)と言われておりまする。」
うぢお「濱宮? それは、二千年後の何処(いずこ)にござりまするか?」
きぃ「和歌山県和歌山市の毛見(けみ)にございます。毛見の浜という浜辺が有るところです。」
影媛「毛見の浜? そこは、初代、神武天皇(じんむてんのう)が上陸した地にございますね?」
アユ「えっ? そうなの? 目茶苦茶、所縁(ゆかり)の有るところじゃない。いいんじゃない?」
草彦「なにゆえ、汝(なれ)が決めておるのじゃ?」
濱宮についての解説は、まだまだつづく。
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