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JW218 和珥一族

【開化天皇編】エピソード3 和珥一族


第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。

紀元前157年、皇紀504年(開化天皇元)10月13日、遷宮(せんぐう)がおこなわれた。

ここで、開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)が口を開いた。

ピッピ「その通りじゃ。遷宮をおこなったぞ。」

ピッピが自慢気に語っていると、中臣梨迹臣(なかとみ・の・なしとみ)(以下、トミー)と大倭飯手(やまと・の・いいて)(以下、いっくん)がやって来た。

系図(中臣氏・大倭氏)

トミー「大王(おおきみ)! 新しい宮は、春日(かすが)にあらしゃいますぞ!」

ピッピ「分かっておる。では、解説致せっ!」

いっくん「宮の名前は、春日率川宮(かすがの・いざかわ・のみや)だよ!」

トミー「二千年後の地名で言いますと、奈良県奈良市本子守町(ほんこもりちょう)の周辺とされておりますぅ。」

地図(奈良県奈良市本子守町)

ピッピ「周辺ということは、此度(こたび)も、詳しい場所が分からぬのじゃな?」

いっくん「ところがどっこい、その地に鎮座(ちんざ)する、率川神社(いさがわじんじゃ)の境内という噂も有るんだよ!」

地図(率川神社・奈良県奈良市本子守町)
率川神社(注連柱)
率川神社(鳥居)

ピッピ「率川神社・・・。どこかで聞いたことが・・・。」

いっくん「エピソード62で紹介されてるよ! 御初代様が、求婚に行く時の話だね。」

ピッピ「御初代様の求婚・・・。もしや、祭神は?」

トミー「その『もしや』にあらしゃいます。祭神は、御初代様の大后(おおきさき)、媛蹈鞴五十鈴媛(ひめたたらいすずひめ)にあらしゃいます。」

いっくん「タタラちゃん、ってことだね。」

ピッピ「で・・・では、宮を建造したのち、そこが神社になったと申すか?」

いっくん「噂が本当なら、そういうことになるよね。」

トミー「されど、そこではない・・・という説もあらしゃいましてなぁ。」

ピッピ「他にも説が有ると申すか?」

トミー「奈良市春日野町(かすがのちょう)という説も有るのであらしゃいます。」

いっくん「その説の場合、春日野町の、どのあたりになるの?」

トミー「二千年後の、奈良春日野国際フォーラムが有るあたりのようですぅ。」

ピッピ・いっくん「ホーラン?」×2

地図(奈良春日野国際フォーラム・奈良県奈良市春日野町)
奈良春日野国際フォーラム

トミー「とにもかくにも、遷宮を記念して、息子を紹介しようと思いますぅ。」

ピッピ「唐突じゃな? 代替わりか?」

トミー「その通りにあらしゃいます。では、紹介致しますぅ。息子の神聞勝(かみききかつ)にあらしゃいます。『ミッキー』と呼んでください。」

ミッキー「我(われ)が『ミッキー』だよ。ハハッ。」

ピッピ「そ・・・そうか・・・。」

いっくん「よぉぉし・・・じゃあ、うちも代替わりしちゃうよ! 息子の御物(みもの)だよ!」

御物「お初にお目にかかりまする。うちが、御物っちゃ!」

系図(ミッキーと御物)

ピッピ「そ・・・そう来たか・・・。ならば、我(われ)も紹介致そうぞ!」

トミー・いっくん・ミッキー・御物「えっ? 誰を?」×4

ピッピ「新しき妃、その名も姥津媛(ははつひめ)じゃ。『はつ』と呼んでくれ。」

はつ「お初にお目にかかりまする。『はつ』にございます。」

トミー「そ・・・それで、どこの一族にあらしゃいますか?」

いっくん「中臣氏と大倭氏じゃないってことは、分かるけど・・・。」

はつ「わたくしの父は、和邇日子押人(わにのひこおしひと)こと『ひこお』にございます。」

ミッキー「えっ? 『ひこお』様の御息女?・・・。」

御物「じゃっどん、なにゆえ、遠い親戚と婚姻を結んでるんや?」

するとそこに「ひこお」と息子の和珥彦国姥津(わに・の・ひこくにははつ)(以下、ニーハン)がやって来た。

系図(ひこお一族と皇室)

ひこお「当然と言えば、当然よ・・・。」

ニーハン「我(われ)ら一族は、和珥氏(わに・し)という新たな勢力となって、中つ国に影響を及ぼしておるのじゃ。」

ピッピ「その通り! もはや、遠い親戚・・・皇族という関係ではなく、和珥氏という、ヤマト王権を支える豪族勢力に成長しておるのよ。」

トミー「こ・・・このようなことが・・・。」

ミッキー「だけど、これまでも、たくさんの皇族が出てるよ。なのに、どうして『ひこお』様の一族だけ、こんなことになってるの?」

ひこお「それは、拙者(せっしゃ)の父、天足彦国押人命(あめたらしひこくにおしひと・のみこと)が関わっていると、作者は見ておるようじゃ。」

いっくん「どういうこと?」

ニーハン「六代目と祖父が、皇位を巡って争ったのではないか・・・という疑惑が有るのじゃ。その争いを収めんがため、我ら一族は優遇されたのではないかと・・・。」

ピッピ「その通り! エピソード124で、作者の妄想による、疑惑が出ておるのよ。」

系図(六代目と天足彦国押人命)

御物「なにゆえ、そんげな疑惑が出て来るんや?」

ひこお「拙者の姉、押媛(おしひめ)が、六代目の大后(おおきさき)になったことが証拠ぞ! わざわざ、姪を妃に迎え、縁戚関係を強化しておる。このような話、聞いたことが有るまい?」

系図(押媛)

トミー「申し訳ありませんが、聞いたことが有りますぅ。四代目も姪っ子を大后にしておりますよ? 兄君の息石耳命(おきそみみ・のみこと)こと『トコッチ』様の御息女、天豊津媛(あまとよつひめ)こと『トヨ』様を大后にしているのであらしゃいます。」

系図(四代目の場合)

ニーハン「ち・・・父上。これは、どういうことにござりまするか?」

はつ「父上?」

ひこお「実はな・・・。『トコッチ』様の場合、跡継ぎがいなかったのじゃ。」

トミー・いっくん・ミッキー・御物・ニーハン・はつ「ええぇぇ!!」×6

ピッピ「そうなのじゃ。『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』に、そう書かれておる。それゆえ『トコッチ』殿の子孫が、豪族として成長することはなかったというわけよ。」

こうして、遷宮と共に、代替わりやら、妄想やらが語られたのであった。 

つづく

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