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読書感想文と、感情をみつめる話

『ケーキの切れない非行少年たち』を読みました。
図書館でも予約待ちが多く、忘れた頃に順番が回ってきたという本でした。

頭に残ったものを一つ。

 著書の宮口氏は、認知機能のトレーニングとして、お金をかけないでも取り組める、社会面のトレーニングに含まれる「感情のペットボトル」というものを紹介されています。これは、「なぜ感情を表現する必要があるか」を説明する教材とされています。
 
 著書の宮口氏によると、その教材は、様々な気持ちを500ミリリットルのペットボトルに貼り、それぞれに水を入れたものとされています。"怒り"の気持ちは最も厄介でトラブルの原因となるため、"怒り"を貼ったペットボトルは2リットルと重く、"うれしい"を貼ったペットボトルは空にするそうです。
 そして次に大きな袋を用意し、これらのペットボトルを入れて子どもに担がせ、とても重くてしんどい―つまり、気持ちを出さずに溜め込むことは、しんどいことだ、と身体で感じてもらいます。
 その後、1本ずつペットボトルを袋から出していき、"気持ちを出すことで楽になる"ーつまり、気持ちを表現することの大切さを体感してもらいます。中でも"怒り"のペットボトルを出すとすごく楽になる―"怒り"を抱え込むのが一番しんどいからと宮口氏は説明されています。

 本書では、この後、"怒り"のペットボトルの出し方―つまり怒りの感情表現方法の重要性についても書かれています。(宮口 2019, p. 167-169)

文献
宮口幸治. 2019. 『ケーキの切れない非行少年たち』. 新潮新書

これを見て、リュックにめいっぱいのペットボトルを担いでいるのが、実際に目に見えると、生き物同志の対応って変わってくるかもしれないなと、ふと、想いました。

「わ!あなた、たくさん抱えすぎ!、降ろせば?というか、降ろすの手伝いましょうか?」というような。
何が一番重いかをみられるのは、恥ずかしいか・・・?

では、相手には見られたくなく、自分だけ見られるとするなら、
なんだったら、休憩道具の一つにしてみたりして。
見えない何かを見るような、探るような状況から、少し離れて、自分を見て、少しでも軽い気持ちを手にできる材料になるかと思いました。
俯瞰して、あ、これほど、「怒」がたまっていましたか・・・。とかでしょうか。

よく分からない心だけれども、その心の色んなことを新たに知れた本でした。




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