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初期衝動の正体

音楽を評価する言葉として「初期衝動」というものがある。「初期衝動溢れる」とかなんとか、タワレコのPOPや誰それがツイートしているライブの感想なんかで見かけたことがあるひとも多いのではないか。
私が好きなバンド音楽でも、度々プラスな評価として「初期衝動」という言葉が使われる。ふと思った。「初期衝動って、何?」なんとなく分かるけど、別な日本語で、バンド音楽を知らない人にもニュアンスを正しく伝えるにはどう表現すればいい?そんなわけで、今日のこの移動時間を使って「初期衝動」の正体を考えてみたい。思い付きで筆を取っている故の駄文であるが、許して欲しい。

「初期衝動」という言葉と近いところで使われる言葉に何があるかと考えると、「勢いのある」「走り抜ける」「メッセージ性」「若さ」などがある。
反対に、対照的な言葉に「初期衝動」の独自性が見られると思い、こちらを考えてみると「テクニック」という単語が浮かんだ。
「初期衝動の中にもしっかりとしたテクニックがあり」とか「テクニックと初期衝動を併せ持った」というようなそれっぽい文章を、どこかで読んだ覚えのあるひとも多いのではないか。
確かにバンドを始めたての「初期」に「テクニック」が乏しいのは当たり前のことである。それ故「初期衝動」という言葉の中に「テクニック」は含まれず、それがこの言葉のある種核になっているように感じる。

電車内でボーッと考えたここまでの内容から「初期衝動」とは何かをまとめてみるとすれば、「細かなテクニックを衝動が上回った結果、技術とは異なる点で強い価値を生み出した音楽を形容する言葉」ではないか。そしてそれ故「伝えたいメッセージ、音楽をやりたいという勢いなどが先行している場合が多い」のではないか。

だんだん何が書きたいのか分からなくなってきた。
「エモい」とか「グッとくる」という感覚を大切に生きたいと思っているわたしとしては「初期衝動溢れる」音楽は大好きである。ただ、「テクニカルな音楽」に興味がないかと言われればそうではない。
またしても感覚的な言葉での説明になってしまうが、「テクニカルな音楽」は「痺れる」で、「初期衝動溢れる音楽」は「滾る」という感覚が最も近いと感じている。

そして言わずもがな、その二つを併せ持つバンドがあればそれは「痺れるし滾る」わけで、つまり最高なわけで、そんなバンドのライブ映像をそっと置いてこの文章を締め括ろうと思う。

映像は埼玉県北浦和のRIDDLEというバンドの2010年のライブ映像。サビ中にダイバーが続出したため、撮影していたスタッフが急遽セキュリティの仕事に周りカメラが放置されるという「痺れる」且つ「滾る」映像となっている。


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