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掌編: 逢瀬

空気中の湿度が上昇し
僕と世界の境目が
曖昧になって溶けていく

漆黒になりきれない
生温い夜の草いきれに
虫の声が響き渡る

夏祭りが始まって
屋台の灯りが眩く光り
軽快なお囃子が心を躍らせた

踊り疲れてやっと来た
お面をつけた妹と
ほんの束の間手を繋ぐ
変わる事のない小さな手には
お気に入りのビーズの指輪

来年も
そのまた来年も
こうやって
会いたいと願った

fin

聞いた話ですが、盆踊りにはお面をつけてご先祖さまたちが、驚かせないようにこっそりと遊びに来るそうです。空気の密度が濃くなる夏は、離れてしまった会いたい人にこっそり会えるといいなと思います。
ki ka

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