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おはなし

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創作した小説や、思いの丈の文章などなど。
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記事一覧

短編小説:睡蓮たち

おはよう おはよう これが彼と交わす唯一の言葉だ。 幼馴染のサトルは大学生で、私は専門学…

ki ka
1か月前
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掌編:睡蓮は夢の中

コポコポと水から空気が出てくる音が、 耳の奥でしていた。 水槽の中の空気を運ぶ機械のような…

ki ka
3か月前
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わたしのはなし:靴下からクッション

with クッションの作り方 この前「ソデからぬいぐるみ」と題して捨てられないお気に入りセー…

ki ka
3か月前
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わたしのはなし:ソデからぬいぐるみ

with ぬいぐるみの作り方 寒い時期に5年ほど活躍していたお気に入りのセーターの、両脇に穴…

ki ka
3か月前
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わたしのはなし:わたしとnote

わたしのnoteが産声をあげたのは2023年5月のこと。記憶は曖昧だが、うららかな日々であったよ…

ki ka
4か月前
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わたしのはなし:柿と狂気から学ぶこと

わたしが住んでいる家は借家で、敷地に柿の木がなっている、柿付きの優良物件だ。 大家さん自…

ki ka
5か月前
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掌編:昨日の海辺

⚠︎少しですが、自傷行為や性的な事柄に触れる表現があります。 千夜は自分の手首の古い傷を見つめ“気になる”と思った。 この傷をつけた頃はその傷が、辛かった時の自分を残しておくための大切な宝物の様に感じていたのに、最近は何だか隠したいと思いはじめるようになっていた。 美しい刺青で覆うのはどうだろう、と何度も考えるが美しく且つ飽きない図案を見出せず、思うだけに留まっている。自分の好きな、フランスの布模様のような枝や花や鳥が良い。 千夜は砂浜にしゃがみ込み、貝殻を探した。 巻貝

わたしのはなし:耳鼻科のヤゴさん

夜の坂道を下り、見慣れた街を横目に見ながら私たちは疾走する。 父の自転車の後ろに乗って鵜…

ki ka
6か月前
24

わたしのはなし:家庭料理と美味しい偏見

わたしが小学3年生の頃、近所の古いアパートに台湾人の家族が引っ越して来た。 かれらは3人家…

ki ka
6か月前
45

わたしのはなし:ちいさいころの言葉たち

母が思い出したように思い出を思い語る時、よく語られるわたしが居る。 昔お付き合いした人に…

ki ka
6か月前
25

わたしのはなし:文字と癒しと虎と馬

Instagramの検索画面に不可抗力で映し出されるおすすめの羅列の中に、とても美しい筆運びで美…

ki ka
7か月前
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わたしのはなし:捻挫と蕎麦屋とかつての同期

「美味しいお蕎麦屋さんが近くにあるんですけど、帰りにみんなで行きませんか」 と彼は声をか…

ki ka
7か月前
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現代アートの見方に開眼した日

2023年9月24日まで開催の、「森美術館開館20周年記念展ワールド・クラスルーム:現代アートの…

ki ka
7か月前
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既存パターンにハマれない件(結婚・恋愛・こども)

ここ数年あるいはずっと悩んでた、わたしのおはなしです。 それは結婚や恋人との在り方、もといわたしの在り方についてです。 取り止めもない私見である事を、ご了承ください。 結婚や恋人の形 わたし自身、結婚、恋人という名前や形にあまりはまれない。というか、向いていないと自覚し始めた。 好きな人は束縛したいけど、程よい距離が必要。 自分の生きたいようにすると、どうも結婚や恋人という形に座っていると居心地が悪くなってしまう。それはわたし自身が“妻はこうせねば”とか、食事は“主菜、副