わたしのはなし:こんな夢を見た(5月30日)
岐阜の実家にいたわたしは、会社に電話しようとして間違い電話をしてしまった。
昔行った旅行先の干物屋さんの電話にかけてしまったのだが「昨日強盗に襲われたため営業の再開目処が立ちません」と泣きながら喋る留守電が流れて驚いた。
調べると、ニュースになっていて、疑っていた兄たちも驚きながら納得していた。父がカゴの異様に大きいスクーターでどこかに行くという、私も来いというので後ろに乗って父のいく先に同行した。まだ明け方のように仄暗い夜の街並みが、青だけで描いた絵の様でとても美しかった。
低い住宅と光り輝く信号。なんとなく地平線を見渡せる景色が気分転換になった。
昼間も家族でどこかに行こうと言われ、父はスクーター、わたしと母はバスで移動した。
若い女の子たちがバスに乗り込んできて、私たちを通り過ぎてそれぞれ座席に向かう。みんなイベントでもあるかのような可愛い格好をしていた。女の子の話す言葉が時折耳に入って来た。
城下町のような風情のある街を歩き、人気のない通りに来ると、コンクリートの建物の間から小道が見え、その先に森のように鬱蒼とした景色が見えた。
わたしの好きな雰囲気に心躍り、たち止まってその小道へ向かった。
天気が良くて新緑がとても美しかった。
黒いレインコートを来た小さなこどもが、わたしの友達に声を掛け、何かを話しかけた。
わたしには聞き取れなかったけど、そのこどもとはさっきもどこかで会った気がした。
小道に入るとすぐ、杉の木が生えていて隆起した根っこが階段のようになっている、その先は思ったより急な坂道になっていて、相当注意しないと転がりそうだった。
先の方に見える森まで、細くて長い道が続いていた。
杉の木の根っこに座ると、根っこにズボンのようなものが掛けてあるのが見えた。確かに、根っこが人の足のようにつるりとしているのが見えた。
そこに座っていると、すぐ隣に建っているコンクリートの建物の一階部分が坂道に対して飛び出た部分と、坂道の境目が窪んで洞窟みたいになっているのが見えた。
ふと、その洞窟のような場所に砂に塗れた指のようなものが見えた。よく見ると、本当に人の指の形をしていて、それがついている先には人の頭があった。
それは白髪混じりのおじいさんで、砂まみれで横たわっていた。ピクリとも動かない姿は、人形にも見えたが、こんなに精巧な人形なんてあるのだろうか。
わたしは焦りながらも携帯を操作して警察を呼ぼうとした。けれど、たった3桁押すだけなのに何度も指が絡れうまく繋がらない、呼び出し音が流れてやっとの思いで119に繋がったと思ったら「こちらは〇〇○間違い電話だよ、911にかけてね」と聞いた事のある陽気な芸能人の声がして通話が切れた。
そうか、911だったか、と掛け直してやっと繋がった。現場付近の目立つ建物を説明をしようとしている時、わたしの方へ近づいてくる人影に気がついた。
振り向くと、大学生くらいの青年が3人立っていた。彼等はわたしの方を見てヒソヒソ会話をしている、わたしが道を塞いで邪魔なのだろうかと思ったが、青年の1人が刃物をチラつかせてゆっくり近づいてきた。この人が犯人だ、と思った。
この距離だと絶体絶命ではないか。
わたしは電話をしながら、一か八かで坂道を転がった、というか落ちに行った。
気が付くとそこまでダメージがなかったので、握りしめていた携帯で通話を再開した。今度は岐阜県警が直接対応してくれた、すぐに捜査本部を、立ち上げてくれたらしい。
刃物を持った青年が隣で倒れていた、わたしを追って転んだらしい。
うつ伏せで倒れていたため、とりあえず青年に馬乗りになって、落ちた刃物に近い青年の手首を足で踏んで、そのまま電話を続けた。あとの青年2人は面倒なのか近づいては来なかった。
近くにあるピザ屋さん(正確にはマックのおしゃれなキッズルームだった)とその隣の建物名を伝える事が出来た。
逮捕の瞬間は覚えてないが、警察が到着して犯人を捕獲してもらった。事情を話し、わたしは外に出た。あの道に心惹かれなかったら、この出来事は無いんだな、と思うと不思議だった。
後日ふと急に、友達に話しかけて来た小さな子供が気になって、話しかけられていたイチコちゃんに確認をしたら、イチコちゃんは何も覚えていなかった。
fin
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