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Art:ワールド・クラスルーム/森美術館

六本木ヒルズ森タワー53階にある森美術館で行われている「森美術館開館20周年記念展ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会 みんなで学ぼう、アートと世界」
(2023年9月24日(日)まで開催予定)
を観に行ってきました。

世界の現代アート作品を観れる貴重な機会!色んな感覚に触れたいな、と思って行ってきました。


感想

ほとんどの作品が、作者の国の情勢や歴史を織り交ぜており、ただ見るだけでは分かった事になど出来ない奥深さを感じました。普段、絵画を鑑賞する際は、なるべく自分の感覚を頼りにしたいので説明を見ずに廻るのですが、現代アートは鑑賞の際に(前後好きなタイミングで)、説明をしっかり読んで作品と対峙する事で、やっと受容する事が出来るのだ、と認識を新たにしました。(一見、穏やかな自然や街並みが並ぶ写真も、戦争や歴史の傷跡が深く刻まれた場所だったりするのです)
作者の意図を理解しながら鑑賞していると、対話をしているような不思議な気持ちになります。

どう感じたの?作る時、どういう気持ちだったの?どうしてこの表現を選んだんだろう…など
を探ったり、伝わってきたり。


観に行けて良かった!また観に行きたいなぁと思える展示でした。

▪️もっと詳しく:展示作品一覧(PDF)

好きな作品

3つの映像作品が印象に残り、とても好きだったので、ご紹介したいと思います。

【▪️もっと詳しく:】にリンクを貼っています。
作家、あるいは作品情報を確認できます。

オーシャン・ビュー・リゾート/ミヤギフトシ


Miyagi Futoshi オーシャン・ビュー・リゾート
2013年 ビデオ、サウンド 19分25秒 所蔵:森美術館(東京)

ベートーベンのクラシック(2023/09/16追記:弦楽四重奏曲15番)と、海辺のホテルの室内、窓から見える景色、海の映像で構成されています。
主人公が英語で物語る声が親密で心地よく、日本語の字幕が流れて行きます。
地元である沖縄での戦時中の祖父の話し、自身が心を寄せる人との思い出。現在の主人公、穏やかで静かで、少し心がざわつくような、エモーショナルな作品。

▪️もっと詳しく:


授業/アラヤー・ラートチャムルンスック


Araya Rasdjarmrearnsook
授業
2005年 ビデオ、サウンド 16分25秒 所蔵:森美術館(東京)

黒板と講師である女性と、生徒である横たわる遺体(様々な事情で引き取り手が無く、遺体安置所で保管されている)。彼女は“死”について、死後の肉体である彼らに淡々と、時に問いかけながら授業を行います。
不謹慎とも取れる内容ですが、文字通り“死”と向き合う彼女の姿に、安心感さえ感じて来るのです。
最後の自身の死についての考え方も、彼女自身の不安や理想が垣間見え、とても印象に残りました。
⚠︎ 何となく耐性もあり、作品として観ているので大丈夫なのですが…人によっては気持ちが落ち込んでしまう【閲覧注意】ってやつかも知れません。以下のリンクをクリックする際は上記の事をご了承の上閲覧して下さい。

▪️もっと詳しく:
(サイト内の写真をクリックすると来歴・作品情報を確認出来ます)


事の次第/ペーター・フィッシュリ │ダヴィッド・ヴァイス


PeterFischli DavidWeiss
事の次第
1987年 ビデオ、サウンド 30分
作家蔵

端的に言えば“激しいピタゴラスイッチ”
倉庫の中(多分)で、ドラム缶やペットボトルなどの身近なものを使った様々な装置が連動して行きます。
何だか危険な薬品を使えてるのも時代性なのでしょうか。途中、途切れる箇所はあるものの…どうなるの?とずっと観てしまいます。

個人所蔵の作品だからか(?)、YouTubeに映像が!ぜひご観覧くださいませ。

▪️もっと詳しく:


・ ペーター・フィッシュリ │ダヴィッド・ヴァイス(今回の作品と作家の情報が少し載ってます)

事の次第/
ペーター・フィッシュリ
ダヴィッド・ヴァイス

あとがき

久しぶりの現代アート鑑賞は、沢山の感覚や歴史に触れる事が出来、とっても良い経験になりました。
そういえば、少数民族の失われた言語の作品も感慨深かったです(気になった方はこちらへ:スーザン・ヒラーの「Lost and Found」のコラム)。
今回の記事が、アート作品を観たくなるきっかけになったら嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!


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