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承認欲求と自己顕示欲とSEIKOの腕時計と。

みなさん、腕時計はつけていますか?
私はつけてます。晴れの日も雨の日も、北海道の雪の日も、それこそ槍が降っても腕時計をつけてます。

私にとって「腕時計」には
2つの役割があって、

1つは単純に「時を確認する」役割。

2つめには「アイデンティティ」としての役割であります。


自分が身につけるものについては、その背景や手に入れた経緯、物への想いなどを語りたいもの。ちなみに私は腕時計を複数本持っているが、たとえばロレックスやパテックのような高額腕時計はさすがに持っていない。持っていないというか買えない。


私がいつもつける腕時計、それは今記事のサムネイル画像にしている「SEIKO ロードマーベル36000」である。みなさんはロードマーベルをご存知だろうか?


時計の仕組みだとか歴史に詳しいわけではないが、この腕時計を私はとても気に入っている。ロードマーベルは1950年代に登場したモデルであり、私が持っているのは1970年生産のモデルなので52年前のものになる。シンプルでありながら気品を感じさせる風格があり、うっとり、ずっと、見てられる。

SEIKOといえば「グランドセイコー」が最高級モデルであるが、ロードマーベルは当時のSEIKO内の準高級モデルだ。

どんな理由でこの腕時計を手に入れたかというと、2013年頃の友人の助言が理由である。親しい友人3人で話している時に、1人がこう言った。




「おい、1990年生まれの俺たちは今年、金の丸い腕時計を借金してでも購入すると運気が上がるらしいぞ」



え、そうなの!?買わなきゃじゃん!

そう思って色々調べた結果、私はロードマーベルにたどり着き素直に購入した。そんなに高額ではなかったから、借金はしなかったけど。この腕時計は1970年の生産で、1970年といえばこの記事に登場する私の母が生まれた年でもある。


「母さんと同い年の腕時計だし、手巻きならほぼ永遠に使えるな。なんだかよさそうだからこれにしよう。なんだかよさそうだから」


こう思って買って以降、仕事中は基本的にこの腕時計をつけている。アクセサリーとしてもなんだか「自分っぽい」から基本的にこれ。ビンテージ?温故知新な感じ?分かってくださる人にだけ分かってもらえればそれでいい。



私は日々、いろんな方と会う仕事をしているが、これまでこの腕時計に気付き、指摘し、褒めてくれた人は「たった1人だけ」だ。


その方は、ある大企業の人事の男性だった。30代後半でその会社には転職で入社してきているらしい。静かな知性がチロチロと滲み出ていた。彼との商談の席について開口一番こう言われた。




「○○さんもお忙しいでしょうから、端的にお話しして30分で終わりましょうか」



そんなことは初めて言われたから、こちらも大学除籍のプライドに賭け「えぇ、臨むところです」となる。商談は30分ぴったりで終わらせ、納得を貰い、契約締結の運びとなったのだが、去り際にこう言われた。




「気になっていたのですが、○○さんのその腕時計、ロードマーベルではありませんか?」



「!!!!(よ、よくぞ…涙)」


指摘されたのは初めてだった。

と同時に驚いた。私以外にロードマーベルを判別できる人が北海道にいるんだ。そう思った。なぜ分かったのか理由を聞くと、



「実は私、前職がSEIKOなんです。ですからその腕時計を見た瞬間、珍しいモデルをつけてるなぁと思ったんですよ。ロードマーベルはつける人を選びますから、○○さん、とても良いセンスです」




嬉しかった。

「良いセンスです」と言われることは捉えようによってはマウントにもなりかねないが、彼は心から褒めてくれた。私としてはこの腕時計の背景も語りたかったが、野暮なのでやめた。



この記事のタイトルに「承認欲求」とか「自己顕示欲」という単語を入れたが、彼のこうした指摘は私の欲求を見事にくすぐってくれて、満たしてくれた。



何が言いたいかといえば、

私たちが普段身につけている物には、必ずその人との物語がある。背景がある。それに気づき指摘し、褒めると、私たちはその瞬間を宝物のようにいつまでもいつまでも大事に覚えているものである。


その指摘をしてくれた彼に会ったのは、今から約5年前だ。商談の場の30分でどんな話をしたかは覚えていない。が、この記事にヘラヘラと書いてあるように、あの瞬間だけはキラキラと覚えている。


誰かのこだわりに気づき、指摘し、褒められる人でありたいところだね。 



ちなみに、



この腕時計を買ってからというもの、マジで私の運気はうなぎのぼりになった。友人の言ってたことは本当だったんだ。

先日、その時の友人3人で集まって食事をしていた時「あの時、丸い金の腕時計を買えば運気が上がるって言ってたよね」という話になった。3人が3人とも左腕には丸い金の腕時計をつけていて「この時計は大事にしなきゃダメだな」と笑った。

1人は結婚して起業し、会社の社長となり、
もう1人も結婚し、勤め先で出世した。
私も結婚して、毎日楽しい。


こういうのは、
馬鹿にできない気がするのであった。


▶︎「こだわり」に気づくことの重要性についてはコチラの記事をご覧ください




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