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3,000万円のプレゼンテーション。

今でこそ人前でお話しすることに対して、
抵抗はあまり感じなくなった。

仕事柄「はじめまして」からスタートすることは何百回もあるし、FNS歌謡祭の会場のようなホテルで講演をさせてもらうこともある。

ラジオで初対面の方とペラペラ話して「あはは」と笑っているが、最初からそれが好きだったわけではない。


人前でお話しすることは、どうも苦手だった。

仕方なくそうなっただけ。

そこには何百回もやってきた試行のレンガが積み上がっているだけのこと。おそらく千回はやってないと思うよ。


と、いうわけだから今日は、
自信を持ってお話しすることが苦手な方に捧げる、パワー系の記事を書いてみよう。


いってみるぜ!


れっつ、パワーーー!!!


◾️前職時代のパワー体験

前職時代にいた業界は、人材とWEBマーケティングを掛け合わせたような業界で、私はそこで営業をやっていた。


売っている商品はWEB広告を筆頭とする無形商材だったが、企業の人手不足を改善するためものだったので、提案難易度は高くはなかった。

なぜなら、

企業のニーズは顕在化しているから。


求人を出しても応募がこない。
人口減少と市場動向の変化が速すぎて、北海道に本社を置く企業は、その流れについていけていなかった。


だから、私は最新トレンドを説明するだけ。


ちょうど、刃こぼれした包丁でトマトが切りづらいと悩む主婦の方に「こっちの方が切りやすいですよ、値段はいくらです」と伝えるようなもの。


おもしろいように契約が結ばれていく。


商工会議所で、大勢の社長たちの前で、偉そうに講釈をたれることもあった。何を偉そうに20代の若者が言ってるんだろう、俺は大学を除籍なのになぁ、と思っていたが、このときでも人前で話すということにカッコたる自信はなかった。



思い返せば誰にだって、はじめてそれができたときの思い出がある。たとえば、自転車に初めて乗れたときのこと。あるいは、初めて2次方程式の解き方が理解できたときのこと。



人前で堂々と話す、ということにおいて、はじめて自信をもって、堂々たる面持ちで話せたときのことを書いてみる。



それは、北海道のある途方もない大企業にプレゼンをするときのことだった。社長を含めた経営陣から「AIを使ったマーケティングの提案をしてほしい」というオーダーがきたのだ。


今から5年近く前のことである。


細かなことは書かないが、AIを使ったツールについては無知だったので、ほうぼう周って調べに調べた。で、提案書にまとめる。


【関連】AI事業の社長に意見を求めたときの話



AIを使ったその提案の金額は?


3,000万円だ。



マーケティング施策に3,000万円。



当時の私が扱っていたのは、数十万円から200万円程度のもの。たくさん調べてどうやってまとめても、金額は3,000万円にしかならない。


ふむ。


これでいくしかない。


このときの気持ちを想像してみてほしい。


公園で歌っていた路上アーティストが、いきなり東京ドーム約5万人の観衆の前にほっぽり出されて歌う感覚に近い。


うーーーん。


いくしかない。



どうやったら、納得してもらえるか。



どうすればいいだろう?




練習した。



プレゼンの練習だ。


自分の姿を録画し、音声も録り、当時所属していた会社の社長、上司、部下に見てもらった。

いま思えば、上司がやれよこれ、と思うのだが、そういうことからは逃げる系の上司だったので、やるしかなかった。

いや、私を成長させる意図があったのかもしれないね。


何度も練習した。


たかが15分のプレゼンのために、
私は何回練習したか。

覚えてる。


82回だ。




ダメ出しを何度ももらった。
ノンキな顔してダメ出ししてくる上司に「いつかぶっ飛ばす」とかは思わなかったけど、その度に改善した。練習あるのみ。改善に改善である。


……



プレゼン当日。


企業へいく。準備してきた資料と、82回練習してきた積み上げをひっさげていく。正直いって自信はなかった。どれだけ勉強しても受験当日は誰でも不安だ。


おごそかな部屋に通される。
練習の成果を見届けるべく、なぜか私の上司もコバンザメのように後ろにいる。やるしかない。


AIを使ったマーケティング施策。


社長たちがやってくる。専務も常務もやってくる。なんかよくわからない本部長みたいな人から平社員までやってくる。先方は7人はいた。


私は思った。


おっかしーな。俺は大学除籍なのに。こんな奴の話を「へぇ」とか言いながら聞くってのは、ずいぶん滑稽なもんだなぁ。


とにかく、やるしかない。


82回の練習の成果を見せるのだ。



プレゼンがいよいよ始まる3秒前。
誰にもバレないように深呼吸をした。

大丈夫、俺には82回の恥ずかしい積み上げがある。大きな声で、ハッキリ断言して、金額を聞かれたらこう言うのだ。



「はい、3,000万円です!」



プレゼンが始まる。
15分だ。


最初のひと言が大事。


私は大きな声で言った。



「今から、この中のどなたも聞いたことがない、
 驚天動地のご提案をいたします!」


……


結論から言うと、このプレゼンは不採用になった。3,000万円と言ったとき、社長たちはどんな反応をするかな、びっくりギョーテンかな、と思ってたけど、全員が納得の顔で最後は拍手だった。


プレゼンが終わった後の上司がおもしろくて。


「イトーさん! 最高だった!」


なーにが最高だ!
寝る間も惜しんで練習しただけだっつーの!



この経験があって以降、人前で話す、ということに対して、前ほどの抵抗感はなくなった。もちろん今でも緊張はする。



何が言いたいかというと、



人前で話すことに抵抗感を持っている方には、こんな言葉を捧げたい。



練習せよ。少なくとも82回。

82回、恥をかけ。

プレゼンでは第一声で大きな声を出せ。

根拠のない自信をもって、威風堂々としていろ。



やるしかない状況に自分を追い込めば、クロールができない人間も、いつの間にか泳げるようになる。

泳げた経験があれば、25m先の壁にだって、余裕しゃくしゃくでタッチできるようになるよ。



ギア3さん!


がんばって!!!!

〈あとがき〉
パワー系の記事です。ブラック系の記事です。人前で話すって、めちゃ緊張しますよね。わかります。克服するためには、経験という積み上げをするしかありません。なんか、いま私が就活をしたらどうなるんだろう、とか思いますが、でも除籍だから書類選考で落ちるな、と苦笑いです。最後までありがとうございました。

◾️とはいえ過去の自分は捨てる必要はないかもよ!

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