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行きたかったところには行ける日が来る
フィリピンで半年、ジョージアで半年以上を過ごした僕は、帰国する前の1ヶ月間、ひとり旅に出ています。
最初はトルコやギリシャあたりのエーゲ海周遊の計画を立てていたものの、いつの間にかバルカン半島を北上し、いくつもの国境を跨ぐことになってしましました。
でも、これは僕にとっては通常運転。
小さな頃からひとり行動が大好きで、特に高校生の頃からは思い立ったその時にひとりで国内外あらゆるところへ訪れていました。
「行ったことのないところに行ってみたい」
シンプルにその気持ちだけが、僕をいろんな場所に連れて行きました。
脇道にそれる楽しさ、つまり計画を逸れた行動をすることで実感する自由さを存分に堪能し、旅を謳歌しています。
今回も同じようにそんな旅をしていくうちに、僕はとある場所に行けることに気づきました。
それはドブロブニク。
クロアチアの南部に位置する、「アドリア海の真珠」の異名を持つ世界的な観光地です。
ジブリ映画の舞台となったことでも知られているため、ご存知の方も多いでしょう。
僕は、小さい頃からなんとなくこの場所の風景を知っていて、いつか行ってみたいと憧れを持っていました。
バルカン半島を北上していくうちに、期間の上でも予算の上でも行ける範囲だとわかり、僕はドブロブニクを目指すことにしました。
憧れの場所についに訪れることになりました。
***
夢が叶う
きっかけが何だったか、記憶には残っていません。「紅の豚」の舞台になったということは、それよりもだいぶ後になってから知りました。
遠くまで澄み切ったアドリア海をバックに、赤い屋根が続くこの美しい光景。ところどころに時計塔や教会の尖塔などが見え、歴史的な情緒も感じる。
一度で良いから自分の目で見てみたい。
かつては夢のような話でした。しかし、今それが現実になろうとしています。
夢は叶いそうになると、逆のエネルギーが働くことがあります。
叶えてしまうと、何かが無くなってしまうのではないか。
しかし、そのふとした感情でチャンスを逃すと、もう一生その機会は訪れないかもしれない。
コロナ禍で自由に旅をできなかった空白の1年半を思い返すと、今ここで行かないわけにはいかない。
そんな気持ちが強くなっていました。
気づいたら、モンテネグロからドブロブニクに向かうバスを予約している自分がいました。
***
ドブロブニクに到着
3月4日、モンテネグロの景勝地・コトルは朝から雨模様でした。
前日とても良い天気に恵まれたため、思っていなかった事態に少しネガティブになってしまいます。
これまでの旅は、幸い一度も雨に降られることがなく、むしろ快晴の日が続いていました。そのため、天気に関する心配事は全く感じていませんでした。
不安はあるけれど行ってから考えよう。バスに乗り込み、ドブロブニクを目指します。
2時間半のバス旅では、アドリア海の綺麗な景色を横目に進んでいました。ドブロブニクのみならず周囲の地域も、海を臨む山の斜面に赤い屋根の建物が並んでおり、どこを切り取っても風光明媚な光景が広がっていました。
それだけに海の向こうまで敷き詰められたグレーの厚い雲が気に掛かります。
ドブロブニクのバスターミナルには15分遅れで到着、ここから宿までは歩いて向かいます。
この時、小雨が降っていたため、小走りで宿まで進みました。
宿に着いてチェックインするも、これからどうしよう、と考えます。まだ時刻は昼だったため、一旦はここで休憩することにしました。
1時間経つ頃には天気は落ち着いて見えたため、外に出てみると、雨はやんで海の向こうに青空が見えました。
やんだ!
一気にテンションが上がり、そのまま街に繰り出します。
***
旧市街散策
ドブロブニクの主要な観光地は旧市街です。ここは外壁に囲まれており、完全に外とは別の空間となっています。
旧市街の3つの門のうち、僕は北側の門から入りました。
中に入ると、ぎっしりと詰まったいくつもの建物が飛び込んできます。そして、正面には長い階段。
異国に足を踏み入れた気持ちを強く感じました。
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階段を駆け降りた先には、プラツァ通りという広い目抜き通りに出ます。
ここはまるで中世ヨーロッパ。
広い通りに沿って建てられた荘厳な建物、白い石畳、突き当たりに見える綺麗な時計塔と教会、おしゃれなオープンカフェのレストラン、街を闊歩する貴賓な観光客。
これがドブロブニクか。
ため息の出るような美しさとはこれのことか、と自分なりに納得し、気分は高揚します。
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その後はしばらく旧市街の中を散策します。
大きな教会を見たり、敢えて路地に迷い込んでみたり、旧市街からすぐにアクセスできる港に出てみたり。
どこを切り取っても美しく、ドブロブニクという街が持つ魅力を存分に味わいました。
旧市街の中では実際に生活している人もおり、スーパーや小さな商店もあります。
これが日常とは。世界にはいろんな人がいて、いろんなところに住んでいるのだと改めて思いました。
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お腹が空いたから飲食店を覗いてみるも、値段は軒並み高額。やはり観光地・ドブロブニクの価格設定は大胆でした。
素直に諦めて、安いパンをかじります。
ベンチに座って休憩しても、目の前にはこのドブロブニクの風景があります。改めて、自分が置かれている場所のすごさを実感しました。
城壁の上を歩けるツアーは、日本円で5000円くらいする超強気設定。貧乏人が来る場所じゃなかった、と思いつつこれも諦めます。
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ある程度街を見終えてから、無料で見れる景色の良いところはないかを旧市街の内外から歩き回って探してみます。
見つけたのは3箇所。
ミンチェタ要塞のすぐ内側にあるバスケットボールコート、旧市街を出て高台に向かったところにある名もなき展望台、旧市街の東側にあるバンニェビーチ。
これらからは無料で素敵な景色を臨むことができました。
特にバスケットボールコートは、地域の子供たちの遊び場になっていて、入りづらい雰囲気はあったものの、とても素晴らしい場所でした。
この頃には天気も良くなっており、日光は差してなかったものの雲はだいぶ薄くなっていました。
16時すぎから徐々に夕方に差し掛かり、綺麗な市街地を見ることができました。
こんな素敵な景色を見れるなんて。
歩き回ってくたくたになった身体でも、この景色でふたたび元気を取り戻した気分になります。
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ドブロブニク1日目、想像以上の体験にとても満足しています。
軒並み強気価格だったものの、お金をつかわなくても十分に楽しめました。
来て良かった。何度でも言いたい。
その夜、幸せな気分のまま眠りにつきました。
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山頂からの光景
2日目の朝、雲ひとつない快晴に恵まれました。
アドリア海沿岸は内陸部よりも気温が高く、外に出た瞬間、暖かさに驚きました。
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これから目指すのはスルジ山。ネットで検索してくると出てくるドブロブニクを上から見下ろす写真は、この山の上から撮られたものです。
山の上へはタクシーか徒歩の2択です。ケーブルカーが設置されているものの、コロナ禍で停止して以来動いてないそうです。
この旅で一度もタクシーを使っていない僕は、ここでも当然徒歩で行くことにします。登山口に着いてから、つづら折りに登っていく本格的な登山道に進んでいきます。
テッサロニキ、メテオラ、プリズレン、コトルとこの旅では何度も山登りをしています。
その中でも、このドブロブニクの登山は、直射日光と山の急な傾斜、そして蓄積された疲労から、それらの登山の中でもいちばんつらいものでした。
しかし、時折吹き付ける風が涼しく、また眼下に広がる絶景に頂上への道のりは楽しく感じられました。
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疲労はあったものの、途中で何人も追い抜かすまでに体力はありました。中高6年間登山部で培った体力は未だに健在かもしれません。
30分で頂上に到達し、要塞の裏側を通って展望台へ向かいます。
そこには夢に見たあの絶景が広がっていました。
燦々と照りつける太陽の下、どこまでも広がる大きな海、その海に突き出した赤い屋根の建物たち、そしてその周りを囲む重厚な要塞。
This is Dubrovnik.
完璧な光景がここにありました。
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息を飲む絶景を見ながらしばらくこの景色を目に焼き付けます。素晴らしい。
その美しさに慣れてきたころ、今度は憧れていた場所に来れた嬉しさをひしひしと感じ始めました。
1年前、海外就職の夢を果たすためにフィリピンに行ったものの、その場所やその仕事にうまく順応できずに逃げるようにジョージアに行き、それでも仕事が上手くいかなく、この度日本に帰ることを決めました。
ここは日本に帰るまでに旅をしようと、ジョージアからバスを10本以上乗ってきてたどり着いた場所。
これまでに味わった苦労の日々も思い出し、ふと感傷的な思いになってしまいました。
それでも生きている。それでも僕は行きたかったとこに来れている。
不安症だし、ネガティブ思考な自分だけど、行動力を味方にここまで来れた。そんな自分に少し誇りを感じた瞬間でもあります。
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最後の瞬間
下山してからは再び旧市街を歩いてみます。
昼過ぎのバスに乗る予定だったため、街を軽く見て写真を撮る程度になりました。
しかし、この青空と太陽の下、全てが画になるドブロブニクの街並みに、気分はとても高揚してきます。
ドブロブニクに来て本当に良かった!
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そんな気持ちを抱いたまま、僕は旧市街を後にします。後ろ髪を引かれるような思いだったものの、最後はスパっと断ち切ってバスターミナルに向かいました。
モンテネグロに戻るバスの中から見た最後のドブロブニクの光景もまた忘れられないものでした。
またいつか来るよ。
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まとめ
ニューヨークのタイムズスクエア、ナイアガラの滝、パリのシャンゼリゼ通り、モン・サン・ミシェル、コペンハーゲンのニューハウン。
僕は今まで、行きたかったところには確実に行ってきました。
ほとんどがひとり旅。しかも貧乏旅行ばかり。だから、その感動はあまり共有できていないし、貧乏旅行ゆえのトラブルも多くあります。
でもその感動に勝るものはありません。
行きたいと思った時、憧れを持った時、それは「いつか行けたらいいな」という夢の世界の話でした。
でも、「いつか」はその時はわからなくても、思い続けていれば叶う時が来る。
僕にはその叶った瞬間のひとつひとつが刺激的で深く印象に残っています。
だからこそ僕は旅にでているのだと思います。
ドブロブニクでの体験は、その絶景そのものもそうだけれど、それまでの長い苦労の時間の先にあったことから、自分にとって特別なものになった気がします。
これからはどんな景色が見れるのだろう?
まだまだ旅は続きます。
旅の様子はこちらにまとめています。
僕のことは以下の記事で紹介しています。
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それでは、また明日お会いしましょう!
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