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【為替介入の波及経路🌟】不胎化介入におけるポートフォリオ・バランス効果とシグナル効果の直感的説明:日経新聞解説🌈2023/10/30

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!

円、急変動はらむ週に 日銀決定会合や介入実績発表、一段の円安誘発も

中東緊迫は円高要因
 今週の金融市場は変動が大きい展開になりそうだ。日米の中央銀行が金融政策を決める会合を開くほか、政府・日銀による10月の為替介入の有無が判明する。
介入がなかった場合は円安が進む可能性がある。中東情勢が急速に緊迫化し、円相場を決める変数は増えた。株式市場の警戒感も強まっている。

 対ドルの円相場は前週後半の26日に1ドル=150円70銭台となり、1年ぶりの円安水準を付けた。
149円台でほとんど動かなかった相場が徐々に動きを取り戻しつつある。今週はさらにその変動が大きくなるとの見方が多い。相場変動要因が目白押しだからだ。

 円高要因としては中東情勢の緊迫化がある。「低リスク資産」として円が買われる可能性があるためだ。イスラエルはパレスチナ自治区ガザでの地上作戦を強化している。
イスラム組織ハマスとの局地的な戦闘から、他の中東諸国を巻き込む展開になれば、円高が進む公算が大きい。

 円安を後押しする材料も目立つ。日銀は30~31日に金融政策決定会合を開き、31日に結果を公表する。
一部で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を予想する声がある。長期金利の上限を0.5%引き上げた7月から3カ月でのYCCの再修正となれば、市場に金融政策の正常化を意識させる。

 ここまでの円安は日米金利差の拡大に沿って進行してきた。仮に日銀がYCCを再修正しても、金利差は大きく縮まず、円安圧力は残る。再修正がなければ円を買っていた投資家が一転して円売りに回る可能性がある。

 さらに財務省は日銀会合と同日の31日、9月28日から10月27日までの為替介入実績を発表する。

 円は3日、150円台を付けた直後に3円ほど急騰する場面があった。1年ぶりの安値を付けた26日も150円台後半から149円台後半まで急伸する瞬間があった。

 政府が150円台を防衛ラインにしているとの見方はくすぶる。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「海外投資家から『あれは介入ではないのか』との問い合わせが数多く寄せられている」と説明する。

 介入を指揮する神田真人財務官は介入について「言わないのが普通だ。得なことはひとつもない」とし、介入の有無をまだ明らかにしない。投機筋を疑心暗鬼に陥らせることで、円売りをためらわせる作戦だ。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは「介入警戒が2~3円ほどは円を押し上げている」とみる。
円売りのマグマがたまっている状態だ。「介入なし」が判明すれば、「防衛ラインは150円台より円安」との見方が浮上し、投機筋の円売りが激しさを増す可能性もある。

 週半ば以降は米国側で重要イベントを控える。
 米連邦準備理事会(FRB)は11月1日まで米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。
利上げの見送りが確実視されているが、「高い金利をより長く」という方針が撤回されるとは考えづらい。金利や為替に与える影響は小さいとの見方につながっている。

 同日に米財務省が今後3カ月間の具体的な国債発行計画を示す。
 最近の米長期金利の急上昇(米国債価格の下落)は、米財政への懸念が背景にある。
米国債が「市場の想定を超えるような大量発行になれば、米長期金利が再び上昇する可能性がある」(野村証券の小清水直和シニア金利ストラテジスト)。その場合はドル高・円安が進みそうだ。

 株式相場は日米の金利動向に振り回される展開が続く。足元では米金利の上昇で米ハイテク株が弱含み、日本株も半導体関連を中心にあおりを受けた。株価指数への寄与度が大きい東京エレクトロンは27日まで2週続けて下げ、合計の下落率は7.5%に達する。

 米国に続き、日本でも上場企業の決算発表が本格化する。150円台の円安は自動車など輸出企業の収益を押し上げるが、好業績はすでに織りこみ済みとの見方はある。
金利は株価を決める起点になるため、金利が落ち着かない限り株も不安定な展開が続きそうだ。

2023/10/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ
出所:楽天証券

記事に対するコメント📝

今回の記事では、為替介入政策について言及があったためピックアップしてみることにしました

引用文で述べられていますが介入を指揮する神田真人財務官は介入について「言わないのが普通だ。得なことはひとつもない」とし、介入の有無をまだ明らかにしない姿勢です

なぜ、日本の通貨当局は「覆面介入」をするのでしょうか?
また、実際の為替レートの動向から「介入」が実施されたのか、どうかが推察されます
そして、後日財務省のサイトより実際の介入データは公開され、私たちも閲覧することができます

為替介入の効果の理論的検討🔥

今回の記事では、学術的補足として「為替介入の効果の理論的検討」についてアウトプットしたいと思います💖

谷内(2008)によれば、以下のように要約することができます
為替介入の結果ベースマネー(したがって
マネーサプライ)が増減する非不胎化介入
は、 為替レートに影響を与え、外貨買い介入は自国通貨安にする効果を持ち、外貨売り介入は自国通貨高にする効果を持ちます

この効果は、 為替介入の効果と言うより
マネーサプライ変化つまり金融政策の効果であるともいえるでしょう📝

本来、金融政策の変更(金利、マネーサプライなど)を伴わない不胎化介入が、 為替レートに影響を及ぼしうるかについては、理論的には2つの経路が考えられます
それは、①ポートフォリオ・バランス効果
②シグナル効果
です

ポートフリオ・バランス効果

為替介入によって民間部門のポー トフォリオにおける国内資産と外貨資産の構成比が変化することになりますが、国内資産と外貨資産が完全代替的でない場合には、民間部門は最適なポートフォリオ構成を回復しようとします📝

通貨当局が外貨買いの介入を実施した場合には以下のようなプロセスをたどります
民間部門は最適なポートフォリオを再構築しようとして、国内資産を売り、外貨資産を購入しようとします

その結果、外国為替市場の取引を通じて外貨高・自国通貨安となります

しかし、不胎化介入では理論上金融政策は変更はありませんので、期待為替レート(市場における将来時点の為替レートの予想)は変化しないことになります

したがって、外貨高になると、これから先の外貨の増価率(=期待為替レート-現在の為替レート)が小さくなり、その分外貨資産の期待収益率(=外国金利+外貨の増価率)が 小さくなるのです

なお、不胎化介入なので金融政策は不変ですから、国内金利は変化ないと想定されるので
金利裁定の関係から国内資産のリスクプレミアムは上昇することになるのです

このプロセスを通じて、 外貨買い介入は
外貨を増価させる効果を持つと考えられます
これが、不胎化介入におけるポートフォリオ・バランス効果による為替レートへの影響と考えられてます

なお、国内資産と外貨資産が完全代替的である場合には、ポートフォリオ・バランス効果は相殺されることになります

したがって、不胎化介入が為替レートに与える影響は何もなくなるはずであるのです💦

シグナル効果

不胎化の為替介入が為替レートに影響しうる
第2の経路は、将来の金融政策に関するシグナル効果です

今回の日経新聞記事でも、シグナル効果に関連する議論があったのではないでしょうか?🤔

これは、為替介入が将来の金融政策の変更を示唆するシグナルとして、市場が受け取るならば、為替レートが変化するというものです📝

例えば、金融当局が外貨売り介入(円買い介入)を実施することによって
今後金融政策(YCCなどの撤廃)を変更して
金利を上げるというシグナルを市場に送るケースが考えられます

この場合、為替介入が不胎化されて現在の金融政策に変更はなく、したがって現在の金利は
不変でも、将来の金利上昇予想、将来のインフレ低下(≒デフレ)予想から、市場の期待為替レートが自国通貨高になると想起されます

そして、このようなメカニズムは
カバーなしの金利裁定の関係から、市場は将来の為替レートが自国通貨高になると予測し
期待為替レートの自国通貨高は、内外の金利が一定ならば、現在の為替レートの自国通貨高を引き起こすことになるからです

また、カバーなしの金利裁定が成立せず、リスクプレミアムがある場合でも、リスクプレミアムが一定なら同じことが起こり得ます📝

なお、シグナル効果は、前述したポートフォリオ・バランス効果と異なり、国内資産と外貨資産の完全代替性の有無にかかわらず生じうる点に留意する必要があることを覚えておいてくださいね

ただし、このシグナル効果には
以下のような疑念が残ります

そもそも金融当局は、なぜ為替介入を通じて、金融政策の変更のシグナルを市場に送るのかという点についてです

通常、為替介入を行ったかどうかは、介入時には公表されないので、 なぜそのようなわかりにくい方法で金融当局はシグナルを送る必要があるのでしょうか??

本当に金融政策の変更を市場に伝えたいのならば、記者発表その他を通じて行うほうがより
直接的で有効ではないかと考えるのが自然だとも言えるのです

以上で見た理論的に考えられる介入効果の経路は、現在の日本における為替介入および金融政策運営の制度的仕組みのもとでは、どの程度重要なのでしょうか??

この点を明らかにしておくことは為替介入政策を理解するうえで非常に大切なように思います

前回ご紹介した記事💖

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