【投資の質的転換✨】一帯一路構想が直面する課題と目指すべき今後の展望🌏:日経新聞解説📰2023/10/19

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!

一帯一路10年、軌道修正 中国・習氏演説「量から質へ」 融資焦げ付きコロナで急増 参加国、薄れる期待

 【北京=川手伊織、多部田俊輔】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は18日、広域経済圏構想「一帯一路」をめぐり、質の高い投資を推進する方針を示した。
かつて規模を優先し焦げ付きが急増したことなどを背景に、路線を修正した格好だ。習氏が重視する経済安全保障も判断の軸に据え、投資効率を高める戦略とみられる。

 習氏は、4年ぶり3回目の開催となる一帯一路の首脳会議で基調演説した。同構想を主導する中国として取り組むべき8項目を挙げた。
 参加国への投資で量から質への転換をめざす。小規模で優れた民生プロジェクトなど「現実的で、実りある協業を進めていく」と訴えた。インフラやエネルギー、交通などの案件で、環境に配慮したグリーン投資を促進する。

 習氏は2013年に一帯一路の構想を表明した。
当初は、豊富な資金力で参加国への投資規模を膨らませた。誤算は、新型コロナウイルス禍で新興国経済が疲弊したことだ。

 中国からの融資は、焦げ付きが急増した。米調査会社ロジウム・グループによると、20~22年に融資条件の再交渉などに応じた事実上の不良債権は17~19年の4.5倍に膨らんだ。問題債権の累増に伴い、外貨の融通など資金援助せざるを得ない例も少なくない。

 こうした中国にとっての負担が、質への重視に軌道修正する一因とみられる。
 習氏は演説で、参加国との連携を深めていく方針も強調した。「中国が追求するのは独善的な現代化でなく、多くの新興国とともに現代化を実現していくということだ」と理解を求めた。

 中国は参加国との貿易を拡大させてきたが、貿易で稼ぐ恩恵は中国側に偏っていた。参加国との貿易に限った中国の黒字は、23年1~8月に2000億ドル(約30兆円)を突破した。貿易黒字全体の4割を稼ぐまでになった。

 参加国からみれば、中国市場へのアクセス拡大といった期待は薄れている。
 習氏は演説で、製造業の外資規制を緩和する地域を国内に設けると打ち出した。参加国を中国市場に引き込み、求心力を保ちたいとの思惑が見え隠れする。
 中国は一帯一路網の構築で、国際的な影響力を高めてきた。
米国との覇権争いが念頭にある。習氏は18日の演説でも「一方的な制裁や経済的な脅迫、デカップリング(分断)に反対する」と力を込めた。

 米国との対立が先鋭化するなか、一帯一路の投資基準としてより重視されそうなのが経済安保だ。エネルギーの安定調達に欠かせない中東への投資は、戦略的な重要性が高い。

 原油の海外依存率が、10年前の6割弱から7割強に高まるなか、中東が輸入全体に占める比率は約半分。中国が環境対応から輸入を拡大する液化天然ガス(LNG)の調達も増える。

 米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)によると、中国の一帯一路投資のうち中東・北アフリカ向けは22年、26%を占めた。
サハラ砂漠以南や西アジア向けを逆転した。中国石油大学の孫仁金教授は、中国メディアに「一帯一路で中国と中東のエネルギー協力は活発になっている」と述べた。

 中国国有石油大手の中国石油化工集団(シノペックグループ)と中国石油天然気集団(CNPC)が、この1年間で相次いでカタール国営エネルギー会社のカタールエナジーとLNGの長期契約を結ぶとともに、ガス田の権益も取得した。

 中国の太陽光発電大手も、9月にサウジアラビアに3億ドルを投じて太陽光発電プロジェクトを実施すると発表した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、サウジアラビア政府は中国国有原子力大手による原子力発電所建設も検討している。

2023/10/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ

記事に対するコメント📝

本日は、習氏によって提唱された経済圏構想である「一帯一路」構想について取り上げることにしました

「一帯一路」とは、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が2013年に提唱した中国と欧州やアジアを結ぶ広域経済圏構想です

この名前の由来は、かつての交易路であるシルクロードになぞらえたもので、中国から中央アジアを経由して欧州へ陸路でつながる経済ベルトを「一帯」、南シナ海やインド洋を通って欧州に向かう海路を「一路」とすることにあります

そして「一帯一路」構想の目的は、インフラ投資などによって域内の経済を発展させると同時に、親中国圏を拡大しようという狙いがあるとされています

そして、現在はアフリカや南米などにも関与エリアを広げていることが国際情勢のなかで注目を集める理由なのではないでしょうか?

加えて、中国政府は一帯一路構想を推し進めるため「シルクロード基金」を設立したほか、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立も主導しています

これらは、一帯一路に関与する国がインフラ建設に向けて資金を確保するための環境整備であると思われます

しかし、何事にも懸念点はつきものです
一帯一路構想の下、融資を受けた新興国のなかでは債務問題が目立つようになってきているのです
「債務の罠」などという言葉を耳にしたこともあるのではないでしょうか?

中国の支援を受けて同国につながる鉄道を開通させたラオスは、対中国を中心とした債務の大きさが通貨安を招き、通貨安がラオス経済に対する不安を高める悪循環に陥っています💦

また、スリランカは22年に債務不履行(デフォルト)に陥り、このほど大きな貸し手である中国の政府系銀行が債務再編に応じる方針で合意したという事態になりました

この記事でも言及されていましたが、参加国への投資で量から質への転換を目指している一帯一路において、インフラやエネルギー、交通などの案件で、環境に配慮したグリーン投資を促進することの必要性が高まっていることに間違いはないでしょう

前回ご紹介した記事💖

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