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震災と復興の読書記

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震災と復興のための読書記録です。 災害関係、復興関係の本を追加していきます。
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読書記スクラップ[震災・災害]08_「津浪と村」

読書記スクラップ[震災・災害]08_「津浪と村」

08「津浪と村」山口弥一郎:著/石井正己・川島秀一:編

先日の記事に関連して、山口弥一郎のこの著書を手にとる。
東日本大震災後の2011年6月に、氏の後の新聞寄稿などが追加されて、復刻版として出版されている。

山口弥一郎は、地理学を田中館秀三に、民俗学を柳田国男に学び、昭和8年の津波の被災地をつぶさに回って記録、思考し著したのが本書である。昭和18年とのこと。昭和の津波から10年後のことだ。

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読書記スクラップ[震災・災害]07_津波のあいだ、生きられた村

読書記スクラップ[震災・災害]07_津波のあいだ、生きられた村

07「津波のあいだ、生きられた村」饗庭伸/青井哲人/池田浩敬/石榑督和/岡村健太郎/木村周平/辻本侑生:著/山岸剛:写真

3月3日。
今であると、「もうすぐ東日本大震災から○年」と言う報道が増える。今年は10年ということで、ことさら多く感じる。
しかし、実は今日3月3日は、昭和三陸津波が発生した日だということが、そういう中ですっかり埋没しているのだ。
1933年(昭和8年)3月3日。今から88年

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読書記スクラップ[震災・災害]06_地震の日本史

読書記スクラップ[震災・災害]06_地震の日本史

06「地震の日本史-大地は何を語るのか」寒川旭

引き続き、災害史を紐解いている。
それで、この日本の地震史に関する本を。

著者は地震考古学の専門とのこと。
日本各地の遺跡の中でみられる、断層、地割れ、地滑り、液状化現象などの痕跡を追い、当時の地震の年代などを割り出している。
液状化の跡、遺物の歪みやズレなどが写真で登場するが、素人目にもわかりやすいものだった。

本書は、縄文時代から現代に至る

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読書記スクラップ[震災・災害]05_あの日につづく時間

読書記スクラップ[震災・災害]05_あの日につづく時間

05「あの日につづく時間」高橋親夫

2015年に出版された一冊の写真集をご紹介したい。

著者(撮影者)の高橋親夫氏は、仙台市の沿岸部に生まれ育ち、震災後に被災沿岸部を訪ね、膨大な写真を撮影している。

実は、かつて私がお手伝いした仙台沿岸部の南蒲生地区の「震災以前」の写真も多く撮影しており、それらは今や貴重な記録となっている。

以前、ご本人にお話を伺った際に、その動機として

「自分の生まれ

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読書記スクラップ[震災・災害]04_巨大津波は生態系をどう変えたか

読書記スクラップ[震災・災害]04_巨大津波は生態系をどう変えたか

04「巨大津波は生態系をどう変えたか」永幡嘉之

副題として「生きものたちの東日本大震災」と付いており、これにはっとさせれて本書を手に取った記憶がある。
2012年4月に出版されている。
「復興」が急務で、中でも被災された方々の生活の再建が最優先事項だった頃だ。

さて、この津波の中で動物たちはどうなったのだろうか。
そんなことが、この副題で呼び起こされた。

被災後、津波の被害に遭った各地をまわ

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読書記スクラップ[震災・災害]03_災害・崩壊・津波 地名解-地名に込められた伝言

読書記スクラップ[震災・災害]03_災害・崩壊・津波 地名解-地名に込められた伝言

03「災害・崩壊・津波 地名解-地名に込められた伝言」太宰幸子

ここのところのいくつかのポストで、災害を防ぐためには「忘れないこと」だと書いた。

色々な方法があろうが、先人が伝えようとしていたことが、実は地名に残っている。

本書の冒頭にはこうある。

地名は、そこに暮らしてきた人々の、小さくても、一人一人の大切な生きざまや歴史を伝えている。教科書に記されているような、国を揺るがすような大きな

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読書記スクラップ[震災・災害]02_地震の科学

読書記スクラップ[震災・災害]02_地震の科学

02「地震の科学」地震学会編

カラーブックスのシリーズに地震を扱ったものがあったので、手に取った。
(確か古本屋で購入したと思う)

「はじめに」では、編集・出版の目的と経緯が語られるが、これには、全国の友の会からの寄付の有効活用の一環である旨がしめされた上で、

地震という現象がどんなふうに研究されているかを紹介することを中心テーマとして、一冊の本を出版しようという方針が打ち出された。しかし、

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読書記スクラップ[震災・災害]01_天災と国防

読書記スクラップ[震災・災害]01_天災と国防

01「天災と国防」寺田寅彦

昨日、地震に関する記事を書いたので、この本を読んでみた。

寺田の全集や随筆集から再構成されたものだそうで、昭和初期に書かれたものが並んでいる。
その中で、印象に残った部分を、いくつか抜き出してみる。

文明が進むに従って人間は次第に自然を征服しようとする野心を生じた。そうして、重力に逆らい、風圧水力に抗するような色々の造営物を作った。そうしてあっぱれ自然の暴威を封じ

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