#5 戦略を実現するための施策の出し方について
この記事は、NETFLIXで最高製品責任者(CPO)を務めていたGibson Biddle 氏によるプロダクト戦略に関するエッセイ、5. Working Bottom-up の翻訳記事です。(翻訳許可取得済み)
ここまでのあらすじ
プロダクト戦略を考えるためのフレームワークとしてDHMモデルをご紹介しました。
Delight : 顧客に喜びを届ける仮説は何か?
Hard-to-copy : 他社に模倣されにくくするにはどうすべきか?
Margin-enhancing : 利益を生むにはどうすべきか?
「2. DHMモデルからプロダクト戦略へ」「3. 戦略からメトリクス、戦術へ」では、Netflixの戦略を例に出しながら、DHMモデルから生まれた仮説を戦略に落とし込む方法について触れました。
また、戦略の良し悪しを測るための「プロキシメトリクス」の考え方についても4つ目のエッセイで扱ったのでした。
2005年のNetflixの戦略 / プロキシメトリクス / 戦術
5回目となる今回のエッセイでは、「戦略はできてきた。施策をどうやって出していこうか」というタイミングでの、Gibson氏の考え方を扱っていきます。
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戦略から指標、戦術がそれぞれ密接に結びついていることは戦略の実現のために非常に重要なことです。DHMモデルを使ってプロダクト戦略の仮説を出したり、戦略の効果を測定するためのプロキシメトリクスを設定したりすることが重要なのは言うまでもありません。
そして他にも重要なのが、プロキシメトリクスを向上させるような施策 (プロジェクト) の出していくことです。このプロセスで行き詰ったら、以下のような方法を実践してみるといいかもしれません。
ボトムアップでプロジェクトを出すこと
私はよくチームに、「自分たちが重要だと信じているプロジェクトをすべてリストアップしよう」と話します。そして、出てきたプロジェクトをアイデアリストに追加していきます。
例えば、「シンプルな体験」の戦略に取り組むチームの場合、重要だと考えているプロジェクトは以下のようなものでした。
・テキストや説明を減らすしてわかりやすくする
・新規ユーザーのための使い方ガイドを作成する
・カスタマーサポートのデータを見ながら、ユーザーの誤操作を分類する
・使われていない機能を消す
・ユーザーの状態に応じた情報の提示
・ヘルプページの導線をより強化する
このアイデアのリストを見ながら、共通のテーマを議論し、「シンプルな体験」実現するようなプロジェクトの仮説をつくりだしていきました。
現在のNetflixのヘルプページは、検索やFAQなど情報の優先度が
明確に決まっている
トップダウンでプロジェクトを出すこと
一方、Netflixでの「パーソナライズ戦略」は、トップダウン型でプロジェクトを決めた例です。
私たちは、「パーソナライズされた体験にすることで月額課金の継続率が向上する」という戦略の仮説を定め、プロキシメトリクスを決定し、その指標を向上させるためのプロジェクトのブレインストーミングを行ったのです。
プロダクト戦略をつくるためのエクササイズ
自分が必要だと思うプロジェクトのリストをつくり、それを分類して、テーマを洗い出してください。これらの特定したテーマは、潜在的な製品戦略となります。
そして、これまで出してきた戦略やプロキシメトリクスと照らし合わせて、「戦略/プロキシメトリクス/戦術がきちんとつながっているかどうか」を確認しましょう。
次のエッセイでは、Netflixの「パーソナライズ戦略」を例に、どのようにチームで戦略を推し進めていくのかについて扱っていきます。
次のエッセイ:6. Netflixにおけるパーソナライズ戦略
このシリーズの索引
0. いかにプロダクト戦略を定義するか
1. DHMモデル
2. DHMモデルから製品戦略へ
3. 戦略からメトリクス、戦術へ
4. 事業仮説を正しく測るプロキシメトリクス
5. 戦略を実現する施策の出し方
6. Netflixにおけるパーソナライズ戦略
7. 戦略からロードマップへ
8. 製品ビジョンを探索する強力なチームづくり
9. 組織のフォーカスを決めるGEMモデル
10. 戦略を議論する場の設計について
11. プロダクト戦略のケーススタディ:Chegg
12. プロダクト戦略作成の手引き
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