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12. プロダクト戦略作成の手引き (テンプレートつき)

この記事は、Netflixで最高製品責任者(CPO)を務めていたGibson Biddle 氏によるプロダクト戦略に関するエッセイ、12. Step-by-Step Exercises to Define Your Product Strategyの翻訳記事です。(翻訳許可取得済み)

今回のエッセイについて

これまでのエッセイやエクササイズの総集編になります。プロダクト戦略をつくるためのスライドテンプレートもついています。

これまでのあらすじ

元Netflix CPOのギブソン氏が、自身のNetflixでの経験を踏まえて、DHMモデル、GLEeモデル、GEMモデル、などプロダクト戦略に関わるいくつかのフレームワークを紹介してきました。

そして、Netflixの次にジョインした教育系スタートアップ、Cheggでのプロダクト戦略の実行例をまとめています。Cheggでは、ギブソン氏がジョインした年の年間売上は150億円になったのでした。

今回はこれまでのエッセイをまとめて、プロダクト戦略をつくるためのエクササイズ集に再構成したものとなっております。

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以下は、私の戦略エッセイのそれぞれからの、演習の全てです。

また、戦略をすばやく定義できるように、スライドを用意しました。
スライドには、必要なすべてのアクティビティと例が用意されています。

□ 日本語版スライド (Figma)

□ 英語版スライド (Google Presentation) ※ 元データ


そして、これまでのエッセイのハイライトが以下になります。

1. DHMモデル ー コピーされにくく、顧客が喜ぶ、利益を高めるプロダクト戦略

プロダクト戦略のアイデアを出すための観点、DHMモデルについて紹介しました。顧客の喜び、コピーのされにくさ、利益の向上、それぞれについてNetflixでの例を交えて解説されています。

✍️  DHMモデル (プロダクト戦略の仮説を出すためのフレーム)
Delight : 顧客に喜びを届ける仮説は何か?
Hard-to-copy : 他社に模倣されにくくするにはどうすべきか?
Margin-enhancing : 利益を生むにはどうすべきか?

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Netflixのコピーされにくい理由

まずは、以下の3ステップにしたがって、戦略のアイデアとなるものを出してみましょう。

演習1. 顧客の喜びを見つける (Delight)

あなたのプロダクト/サービスが現在の顧客をどのように喜ばせるかを書き留めましょう。それから、あなたが将来どのように彼らをさらに喜ばせるか、いくつかのアイデアを追加してください。

演習2. コピーされにくい要素を見つける (Hard to copy)

上記のNetflixの例を参考にして、競合からプロダクトが真似されないようにする方法を書き出しましょう。

演習3. 利益を増やす (Margin-enhancing)

あなたのプロダクトについて、今後1〜3年間で検討する可能性がある価格とビジネスモデルの実験をいくつか挙げてください。

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2. DHMモデルからプロダクト戦略へ

演習4. プロダクト戦略の選定

演習の1~3で行った、あなたのプロダクトが「どう顧客を喜ばせるのか (Delight)」「他社に模倣されにくくするか (Hard-to-copy)」「利益を生み出すのか (Margin-enhancing)」という仮説の中で、来年または再来年にテストしたい4〜6つの仮説は何ですか?

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3. 戦略からメトリクス、戦術へ

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Netflixの2005年の戦略

演習5. 戦略/メトリクス/戦術 を洗い出す

戦略の概要、戦略に対するプロキシメトリクス (戦略が良かったのかを判断できる指標) を決めていき、具体的に実行するべきプロジェクト/戦術を明確にします。

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4. 戦略を良し悪しを見分ける「プロキシメトリクス」という考え方について

演習6. 2種類の指標の決定

6-1. North Star Metric (最重要指標) の作成
あなたのプロダクトでも、Netflixの「毎月の継続率」に当たるような、サービスにおいて最も重要な指標を決定しましょう。

次に、各戦略の良し悪しを判断するための指標 (プロキシメトリクス) を作成します。ポイントは、最重要指標 (North Star Metrics) と、プロキシメトリクスが結びついていることです。

6-2. プロキシメトリクスの作成
以下を参考に、戦略ごとに測定可能なプロキシメトリクスを設定しましょう。

[ある期間]までに
[ある操作やアクション]を実行した
[新規ユーザー/リピーター]の割合。

プロキシメトリクスを設定したら、改めてそれらが最重要指標 (North Star Metric) と結びついているかを確認しましょう。

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5. 戦略を実現するための施策の出し方について

演習7. 施策の発散

7-1. アイデア出し
自分が必要だと思うプロジェクトのリストをつくり、それを分類して、テーマを洗い出してください。これらの特定したテーマは、潜在的な製品戦略となります。
7-2. 戦略から戦術がつながっているかを確認
そして、これまで出してきた戦略やプロキシメトリクスと照らし合わせて、「戦略/プロキシメトリクス/戦術がきちんとつながっているかどうか」を確認しましょう。

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6. Netflixにおけるパーソナライズ戦略

演習8. 各戦略での最重要な指標を改めて決定

組織内の各戦略について、各戦略のリーダーが向上させるべきプロキシメトリクス、つまりチームの最重要指標を、戦略、プロジェクトとともに決めましょう。

※ この作業は各戦略のプロダクトリーダー (プロダクトマネージャー)が行うことが理想です。

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2005年ごろのNetflixのパーソナライズ戦略

パーソナライゼーションチームのトッププロキシメトリクスは、「6週間以内に、50の映画を評価したユーザーの割合」でした。

チームは、このメトリクスを向上させられれば、最終的に継続率 (Netflix全体の最重要指標) を改善できると信じていました。最終的に、パーソナライゼーションは保持率を向上させることが証明されました。

Netflixのパーソナライゼーションは、リリース当初2%しか使われていなかったが、現在は80%以上使われており、それに応じて継続率も向上しているのです。

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7. 戦略からロードマップへ

演習9. 四半期ごとのロードマップの作成

Netflixの例を参考にしながら、各戦略について、直近の4四半期で実施するプロジェクトの概要を明らかにしましょう。すべてのプロジェクトを上記のようなロードマップにまとめられると良いです。

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2005年のNetflixのロードマップ


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8. 製品ビジョンを探索する強力なチームづくり

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GLEeモデルをNetflixで適用してみた例

演習10. GLEeモデルを使って製品ビジョンを言語化する

以下の3つのステップで、製品ビジョンを明らかにしていきましょう。

10-1. 会社を成長させるプロダクトは何か? (Get big on 〇〇)
・会社や事業が最初の3〜5年間で「大きくなる (Get big on)」ことを可能にする最初のプロダクトは何ですか?
・NetflixでいうDVDレンタルサービスのように、DVDプレーヤーやECの波に乗って、プロダクトが急速に伸びる傾向はありますか?
・あなたの会社に言い換えると、乗るべき波と波に乗るためのプロダクトは何ですか?
10-2. どんな流れを牽引するのか? (Lead 〇〇)
・どんな潮流やトレンドを引っ張る存在になりますか?今後3〜5年で、あなたの製品や会社が乗るべき次の波は何ですか。
・Netflixでいうストリーミングに相当するようなものはなんですか?
10-3. 大きく拡大するにはどうすべきか? (Expand 〇〇)
・あなたのプロダクトが大きく成長し、ある程度のポジションを確立した時、それをさらに拡大 (Expand) するにはどうすればよいでしょうか。
・ブランドやネットワーク効果、規模の経済、プロダクト自身がこの時点で持つ独自のテクノロジーや競合優位生を考えると、次に乗るべき波は何ですか?

上記の質問への回答を反映して、あなたの会社のGLEeモデルを以下のように完成させます。

✍️  製品ビジョン (GLEeモデル)
どうやって大きくするか (Get big on):
どの潮流をリードするか (Lead):
どう拡大していくか (Expand):

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9. GEMモデル - 組織の拡大に対して、ぶれない軸をつくる方法

演習11. 全社の優先度の決定

11-1. GEMモデルでの優先度決め
あなたの企業やプロダクトの現状を鑑みて、グロース、エンゲージメント、マネタイズ、のどれを優先するのかを決めてみましょう
11-2. 優先度高いものへの解像度を上げる
そして、その優先順位の高いものをどうやって計測していくかというメトリクスを決めましょう (メトリクスについての参考はこちら)
12. プロダクト戦略に関わるメンバーで認識を揃える
もしCEOとプロダクトマネージャーや各部署のリーダーなどで意見が違うなら、揃えるためにディスカッションをしてみましょう。定期的に行うことで、部署間、職種間のずれが劇的に改善されるでしょう。(優先度の見直しは半年がちょうど良い)
📝  参考:NetflixでのGEMモデルに基づく優先度 (2005年)
1. Monetization : 粗利やLTVを計測し、事業の収益性を最優先
2. Engagement : Netflixの最重要指標であり、プロダクトの品質を評価する指標でもあった「月次の有料会員継続率」を次に優先
3. Growth : (2005年は)ユーザーの成長率は最も優先度低く捉える

最後に

以下のリンクから、あなたのプロダクト戦略設計をサポートするスライドをご覧になれます。


上記のスライドを参考にしながら、プロダクト戦略プレゼンテーションを作成してください。

戦略の下書きを作成したら、それを同僚と共有し、フィードバックを求めます。

※ 英語で作成して gibson616@gmail.com へ送るとフィードバックが返ってくるかもしれません

これまで12編に渡るエッセイを楽しんでいただけたでしょうか?
お役に立てたなら幸いです。

Gibson Biddle

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翻訳後記

今回のエッセイを翻訳した kenji です。これらのエッセイを読んだ時、Netflixのカルチャー、戦略、どれをとっても素晴らしく、衝撃を受けたことが翻訳のきっかけになりました。

自身がスタートアップでプロダクトマネジメントをしていることもあり、日本にもっとプロダクトマネジメントに関わる知見が増えるといいなと願い、翻訳を行いました (当初思ったよりずいぶん大変でした...)。

戦略やロードマップに悩める方々へ、少しでもお役に立てると嬉しいです。

よろしければtwitterもフォローしてみてください。

このシリーズの索引

0. いかにプロダクト戦略を定義するか
1. DHMモデル
2. DHMモデルから製品戦略へ
3. 戦略からメトリクス、戦術へ
4. 事業仮説を正しく測るプロキシメトリクス
5. 戦略を実現する施策の出し方
6. Netflixにおけるパーソナライズ戦略
7. 戦略からロードマップへ
8. 製品ビジョンを探索する強力なチームづくり
9. 組織のフォーカスを決めるGEMモデル
10. 戦略を議論する場の設計について
11. プロダクト戦略のケーススタディ:Chegg
12. プロダクト戦略作成の手引き









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