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環境問題から考えるスニーカーブランドのサステナビリティについて

グレタ・トゥーンベリさんのスピーチを改めて読んでいてすこし思うことがありいろいろと呟こうとおもっていたのですが、長文になりそうだったので一旦noteにまとめてみようとこれを書きはじめました。

より正確に言うと、思うところがあったのは彼女のスピーチに対してではなく、彼女のスピーチに対してのさまざまな反応に対して、でした。

とくにわたしが考えさせられたのは、彼女や彼女の行動に対しての否定や肯定などのはっきりとした意見に対してではなく、「じゃあどうしたらいいの?」という、行方のない途方もない一言に対してでした。

たしかに環境問題、日常のなかに確かに存在するものの、日々の営みのなかで常に意識しているかと言われればそうでもない。 しかし昨今の異常気象や天災の際には改めてそのことが頭をかすめたりする。 その程度の強度で認識していることであれば、たしかにそうならざるおえないのかもしれない、とそれはそれで納得はできました。 なにを隠そう、わたし自身もそのうちのひとりだからです。

そしてわたし自身もそれらのひとたちと同様に、たしかに具体的にどうしたらいいんだろう?と改めておもったのです。

様々な情報が氾濫するなかで、より正確な情報を得るだけでもリテラシーが要求される現代において、正しく環境問題について理解し、それに対してその時々に適切と考えられる行動していくことをできるようにするには、いったいどうしたらいいのだろう?とおもったのです。

しばらく考えたのち、わたしが日々追っているスニーカーに落として考えてみたらどうか?とおもいました。


下記がいまのところのわたしの結論です。

「わたし自身の日々の営みのなかで、社会を動かすような大きな変化をもたらすことはできないかもしれないけれど、少なくともわたしは選ぶことができる。 日々の営みをどのようなものに囲まれて過ごすかについては、わたし自身で選びとることができる。」


そこで、これまで取り上げてきたスニーカーのなかで、特に環境問題に対してそのブランドなりの回答をもたらしてきたブランドをまとめようとおもいます。

今後のスニーカー選びのご参考となれば幸いです。



native

カナダはバンクーバー発のネイティブは最初期からサステナビリティへの意識が高く、靴の作りにもその意識を反映していたようにおもいます。

サステナビリティを意識したからといってプロダクトが変わるわけではないし、プロダクトが変わらなければ環境への影響も変わりません。 しかしそのプロダクト自体を変えるのがとてつもなく大変だから、さまざまな企業がそちらの方向に舵を切れずにいるのです。

ネイティブはもとからその意思を持っていました。 なのでそこから生み出される靴は元からその意識を具体的な素材や設計にも反映させることができていたのです。 ラバーの配合を再生可能なものし、アッパー材をなるべくゴミの出ないものにし、染料は水をなるべく使わない染色を、ブランド最初期からおこなっていました。

その細かな積み重ねと姿勢がブランドが広く受け入れられるきっかけになったことは確かですが、その積み重ねがThe Remix Projectに結実しているのが現在のネイティブのひとつの成果だとおもいます。

2023年までにnativeのシューズを100%リサイクルできるようにすることを目指すこのプロジェクト。 先にも触れたとおり、ネイティブの靴のゴムの配合が特殊で再利用可能にしてあるため、回収した靴のラバーは椅子やフロアマット、緩衝材などさまざまなものに再利用されています。



allbirds

今年の1月に日本に店舗をオープンしたことでも話題になったオールバーズ。 もういろんなところで同ブランドの生まれた経緯などは語られているのでここでは割愛しますが、こちらもネイティブと同様にブランド設立時からサステナビリティを具体的にプロダクトに落とし込むことを実践しているブランドのひとつです。

同社のひとつ目のプロダクトであり、同ブランドがここまでおおきく拡がったキッカケとなったウールランナーはアッパーにはメリノウール、レースや細かいパーツは再生ポリエステル、ソールの配合も天然油を用いるなどの徹底ぶり。 以降のプロダクトも天然素材やリサイクル材でのものづくりを徹底している、サステナビリティを地でいくブランドになりました。

ここまでサステナビリティに対して徹底した姿勢であるにも関わらずそれ自体はメインに打ち出さず、あくまで「コンフォート(快適)である」こと自体を打ち出していることにとても好感がもてます。

これはつまり特別に環境のためになにかをするのではなく、シンプルに自分にとって快適であることが環境にとっても快適であるようにすること、そうあることですこしづつ世界は変わっていくのだという、そういうブランドの姿勢がとても品のいい形で反映されていることなのだとおもいます。

もちろんその裏にはちゃんそうなるような「仕組み」があることは、忘れてはいけないわけですけれども。



Tread by Everlane

エバーレーンはもともとエシカルなブランドとしてその名前を拡めたブランドですが、そのブランド特有の方針はそのビジネスの透明性にありました。 

たとえばスニーカーひとつとっても、そのアイテムの価格がなににどのくらいかかっていてその値段になっているのか?をひとつひとつ開示しているのです。 これは旧来のアパレルビジネスの仕組みではできなかった取り組みであり、このブランドの姿勢を表すひとつの指針となりえるわけですが、当然のことながらサステナビリティに関しても徹底した取り組みが行われています。

製造の過程で出る廃棄物はもちろんのこと、その過程で発生するエネルギー使用量も削減し、徹底的に環境への負荷を最小限にしています。 にも関わらず、それでもなくすことができなかった二酸化炭素の排出量のぶんだけ、カーボンオフセットを行うという徹底ぶり。 しかも色によって値段もちがうという徹底ぶり(2回目)、染色しているぶん当然といえば当然なのですが。。。

当初、アパレルでできても靴でできるだろうか?特にスニーカーで、と考えていたのですが(というのも、服や革靴などに比べてスニーカーの製造工程はあまりにも複雑で、あまりにも環境配慮の観点ではよろしくない工程や素材が使われていることが多いからです)、ついに昨年エバーレーンがトレッドというスニーカーブランドをスタートしました。 それもエバーレーンの思想がそのまま詰まった形で。



Veja

最初期からサステナビリティを意識したプロダクトを生み出すということを一番最初に取り入れたスニーカーブランドは、おそらくヴェジャではないかとおもいます。 というのもブランド名である「Veja」、ポルトガル語で「見る」という意味であり、そのスニーカーの向こうになにが見えるのか?そのスニーカーを通してなにを見るのか?といった問いかけがブランド自体に課されている稀有なブランドでもあります。

その名前を冠するとおり、ものづくり自体が「見る」ことからはじまります。 原材料がどこでどのようにつくられているのか? それがどのように加工されて素材になりえているのか? それらがどのように取引され、輸送されているのか? その素材からどのようにスニーカーを生産するのか? 徹底的に「見る」ことから生み出されたプロダクトにも関わらず、その徹底ぶりは広告を打たないというポリシーやタックスヘイヴンに支店をもつ銀行とは取引しないなどの、ビジネス上のプロセスにおいても徹底されています。

他の新興サステナブルブランドと比較しても長い歴史を持ち、それゆえ他のそれよりも徹底したサステナビリティを実現しているのにもかかわらず、日本ではあまり知名度がありません。 ヴェジャこそ、もうちょっと日本で知られてもいいブランドなのになとおもいながら、こちらで紹介させていただくに至りました。



Nike

先に触れたとおり、最初からサステナビリティを意識してプロダクトの生み出すことよりも、すでにあるプロセスのなかでサステナビリティを意識したものづくりに切り替えることのほうが数段難しいのです。 それはざっくり言うとプロセスが異なるから。 求められるビジネスの大きさが大きいほど、そのプロセスを一度止めて、再度構築し直して、再び走らせるということがしづらくなります。 良くも悪くも資本主義。 だから既存のブランドが舵を切りきれずにいるのです。

しかしスニーカーブランドのすごいところは、その最大手トップ2がもっとも動きがはやく、もっとも大胆で、もっとも革新的であることではないかとおもいます。 そのなかでもスピードの早さで言ったらナイキが一番ではないでしょうか。

ナイキはいち早くサステナビリティへの取り組みを行い、それをオープンにすることで全体への啓蒙を開始しました。 もちろん早すぎるが故に、言っていることに対して内容が伴っていなかったり、よくよく調べると逆に環境に悪いことが判明したりといったこともありましたが、それらに対してのリカバリーすらも早い。

そしてナイキのもっともすごいところは、各社が細かく生産背景を追求してサステナビリティをプロダクトに落としていくのに対して、あくまでそのコンセプトをイノベーションで根本的に解決してみせるという姿勢ではないかとおもいます。

0か100かではありませんが、細々と70点80点出していくよりも、0点かもしれないけど100点、もしくはそもそもの価値基準、判断基準自体がひっくり返ってしまうほどのことをしてやる、という気概がすごい。 こんな先鋭的な姿勢の業界最大手の産業ってほかにありますかね?



Adidas

ナイキのように革新的な進め方もすばらしいし、他のブランドのように地道に詰めていくことも求められる、その両方を同時にしているのがアディダスです。 昨年最大限の驚きと共にご紹介したフューチャクラフトループはプロダクトとしてはもちろんのこと、そのプロセス自体も革新的なものでした。 一方で通常のプロセスにおいても細かい部分で環境負荷に対しての対策が取られている部分がアディダスのすごいところだとおもいます。

https://www.adidas-group.com/

同時にパーレイとの海洋廃棄プラスティックへの対応についても、プロダクトへ転化し、産業として成り立たせることによって経済を回し、エコノミーとしての継続性に繋げることに成功しています。

またイノベーションの面から言っても、ナイキとは異なる方向性で新たな可能性を示したのが4Dでした。

その製法とイノベーティブな部分にフォーカスされがちですが、既存の量産方法から考えても圧倒的な環境負荷が軽くなる方法であることは間違いなく、あとは量産体制とソフト面でのアップデートが期待されますが、間違いなく未来は一定量こちらの方向に向かうのではないかとかんがえています。




他のブランドでも上記のブランド、もっというと市場の変化に対応してすこしづつ動き出しているのが垣間見れます。

リーボックはアディダスグループなので、アディダスからの影響も強く、独自のサステナビリティの方向についての模索をはじめています。

またサロモンも独自のサイクルを自社内で完結できる形でのトライアルが施行されています。

もちろんある程度知名度があるブランドだけでなく、サステナビリティを中心に据えた新興ブランドも続々と生まれてきています。




まだまだ他にも独自のサステナビリティを実践するスニーカーがたくさんあります。

ポイントはそれを選ぶ際に、そのひとつひとつがどうやってできているのか? どういった思想に基づいて生まれているのか? を知ろうとすること。

そしてその背景を知りながら身につけることは、その思想ごとご自身のスタイルに取り入れること、もっと言うと「どういう自分でありたいのか?」のひとつの表現方法に繋がり得ることなのではないかとおもうのです。

スニーカーは個々人が自由にたのしむべきものです。 それは大前提です。 

でも冒頭にも触れたとおり、わたしたちはいま多数の選択肢から自分の意思で選ぶことができる時代に生きています。

仮にもしこれを、環境問題やサステナビリティについてがキッカケで読んでいただけたとしたら、こんな視点があること、こんな選択肢があることを知っていただければうれしいですし、また今後のスニーカー選びのひとつの視点として考えていただくことができれば、こんなにうれしいことはありません。

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デザイナー/ライター。映画のなかで一瞬だけ出てくる靴のカットの意味を語る #映画のなかの足下 、旅のなかで交わされたことばを都市ごとに切り取った #世界の足下から などの #ZINE をつくっています。本屋 #靴箱文庫 を #Butnotforme 内にて期間限定で開店中。