【分析してみた】”良い”教育に必要なコトとは?
分析してみた
”良い”教育に必要なコトとは何か?をデータの観点から分析してみましたのでシェアしてみます。
どの立場からモノ言ってんの?というのを示すのは大切な気がするので自己紹介すると、、、日々仕事ではBtoBマーケティングに携わっていて、データ分析のチカラを使っています。日本にある何十万以上の企業の情報を分析して自社商材に興味を持っているお客様を探したり、webサイトやメルマガを分析してお客様に役立つコンテンツを作ったりしています。
ゴリゴリの文系出身なので分析が好きなわけじゃないんですが、事実を正しく知ることは目的地に最短で到達するために必要なコトの1つなんだろうなという想いのもと、渋々長年向き合っています。
プライベートでは子供が通う幼稚園で役員をやっていたり、小中高でスポット的に授業やそのサポート(金融経済教育、ITサポーターなどなど)をやっていたり、教育の現場になるべく足を運ぶようにしています。事実を知るには自分の目で見て肌で感じるのが重要という想いのもと、現場感を大切にしています。
子供が産まれたときは1ヶ月ですが育休を取って妻の実家にお世話になり育児修行をするなど、それなりに教育に興味を持って行動している人間だと思っています。
そんなデータ分析+教育現場の感覚を交えて”良い”教育に必要なコトって何だろうという課題に向き合ってみたのでシェアしてみます。
結論=都市部ほど教育施策の成果が得やすい
まず結論から述べよ、とかよく言われるのでシンプルに結論を言うと・・・
問い ▶ ”良い”教育に必要なコトとは?
答え ▶ 都市部であること
です。あくまでデータ分析による結論であり、また後述しますが良し悪しの基準は自治体担当者の主観です。
”良し悪し”とはそもそも個人の価値観に基づくものであり、かつ他との相対的な比較です。なので主語を「自分の家族や子供にとって」としたときと、客観的・俯瞰的なものとしたときとは必ずしも合致しません。合致しないそのギャップこそ意志であり個性・多様性とも言えます。
なので”良し悪し”を決めつけるものでは無いですが、あくまで1つのデータから見えた傾向として分析結果をシェアします。
データ分析結果によると、都市部ほど教育施策の成果が得やすいという結論になります。
横軸:地域特性=交通の便が良いこと
縦軸:自治体担当者が教育の成果を実感しているか
をプロットすると↓のようになります。
交通の便が良い地域ほど、教育施策の成果を感じやすい傾向がはっきり見えています。縦軸と横軸の関係性の強さを示す指標である相関係数(※)は0.85、データ分析の観点からはかなり関係性が強いと言えます。
たった1つの切り口からの分析では事実らしさを語るには不十分過ぎるので、他の切り口でも分析しています。その結果からも「都市部ほど教育施策の成果が得やすい」ということは言えそうです。分析したことと論理の関係性は↓です。
以上のことから
問い ▶ ”良い”教育に必要なコトとは?
答え ▶ 都市部であること
という仮説は一定の信憑性があると考えました。
理由=予算やチャレンジの多さ?ヒト・モノ・カネの多さ?
理由としては以下のような仮説構造が考えられます。これは単なる想像なので数値的根拠はまだありません。
都市部である ➡ 自治体の予算が多い ➡ 教育予算が多い ➡ 様々な教育施策にチャレンジできる ➡ 成果を実感できるケースが産まれやすい
都市部である ➡ 教員が多い ➡ 生徒1人1人に目が向きやすい ➡ 教育施策が芽を出しやすい
都市部である ➡ 周囲に多様な施設があったり多様な人がいたりする ➡ 子供の柔軟性が増す ➡ 教育施策が届きやすい
とある高校の教師に話を聞いたところ、教育現場に強い想いがあったとしても必ずしもその想いを実行にすら移せていないケースがある・・と教えてもらいました。
似たような教育スタイルでありながら大きな成果を出し、メディアで大々的に取り上げられている高校を例に挙げながら、あの学校は大きなスポンサーがついているから予算&トライできることの数とスケールが違う、トライの数が多いから成功事例が産まれやすいのではないか・・そんな話を伺いました。
身も蓋もない話ですが、いくら教育の熱があったとしてもそれを具現化するにはヒト・モノ・カネが必要であって、それが環境的に揃っている場所にただ存在しているだけで大きな違いが産まれるのではないか・・・というのを熱い想いと忸怩たる想いを交えて語る教師の瞳から感じました。
他にもこんな仮説があるかも!?こんなデータ見たら仮説検証できるかも!?などあればコメントもらえると嬉しいです。分析して深掘ってみるかもしれません。
分析に使っているのは「ベネッセ教育総合研究所」のデータ
今回の分析に使っているデータはベネッセ教育総合研究所の「明日の子育て・教育を考える」です。日本を代表する教育関連企業であるベネッセコーポレーションが運営する研究所の調査なので、一定の信頼性があるデータだと考えられます。
このデータの注意点は、あくまで自治体担当者向けのアンケートである点です。以下のような点に留意が必要です。
自治体担当者向けである ➡ 親や生徒の意見はデータに直接的に反映されていない
アンケートである ➡ 客観的・定量的なものではなく、主観的・定性的な回答を数値化したものである
特定のタイミング(2023年)の瞬間的な情報である ➡ 長期的な成果や影響がどこまで含まれているか不明
教育の良し悪しを測るために使えそうな客観的かつ定量的なデータを日本のさまざまなwebサイトを巡って探してみましたが、論理的な分析に使えそうなものはありませんでした。
例えば総務省 統計局に教育関連のデータはありますが、中身は都道府県別の学校・教師の数などであり教育の結果どんな成果や影響が産まれたかを推測できるようなデータは見当たりませんでした。
マーケティングや事業経営ではロジックモデルという思考法が使われます。
現在の状況 ➡ 活動 ➡ 短期的な成果 ➡ 長期的な影響
物事はザックリいうと↑のような構図になっている、左ほど現在・右ほど未来を表している、現在と未来の因果関係を明らかにすることで、求める未来を手に入れるため現在やるべきことを明確にする思考&分析手法です。
教育に関するデータでいうと「現在の状況」に関するデータはあるものの、「活動」「成果」「影響」にあたるデータは公開されていない印象です。どこかの研究機関などでクローズドに持っているのかもしれないし、もしかしたらそもそもデータ化されていないのかもしれません。
そんな状況の中、それでも最低限の分析ができそうなデータとして確認できたのが自治体の自己評価に関するデータであり、本分析はそれをベースにしています。
その他の詳しい分析データ
本分析においては自治体の教育担当者が成果を感じているかを軸に分析をしています。自治体向けのアンケートで問われている成果は以下3つです。これらの自己評価が高い=教育の成果と定義しています。
社会力・公共心育成のための特別な取り組み(ボランティア活動の充実、福祉教育など)
芸術・文化活動充実のための特別な取り組み(子どもが舞台芸術等に参加する機会の創出など)
スポーツ活動充実のための特別な取り組み(総合型地域スポーツクラブの支援、クラブ活動・部活動への地域人材の活用、学校施設の開放など)
記事上部のグラフは社会力・公共心についてでした。他の2つ芸術・文化活動、スポーツ活動にについても交通の便が良いことと強い関係性が見られます。
都心部になるほど一般的には自然の豊かさは失われると考えられます。自然の豊かさと教育の成果の成果の感じやすさをグラフにすると↓のようになります。
3つの切り口からみても共通的にいえるのは、自然が豊かな地域ほど教育施策の成果を感じにくい傾向があるということです。逆にいうと自然が豊かでは無い地域ほど成果を感じやすいということです。
以上を踏まえて、都市部の自治体ほど教育の成果を感じやすい傾向があるという結論を導いています。
まとめ
”良い”教育に必要なコトとは何か、マーケティングで得たノウハウをもとに分析してみました。
マーケティングや事業経営など仕事はもちろん、人生においても事実を正しく知り、それをもとに適切な行動の量を増やし、未来を自分の手で変えることは大切です。
自分なりの子供の教育との向き合い方を発信してみましたが、どこかの誰かにとっても役立つ情報であれば嬉しいです。
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