記事一覧
3 九郎に恋した私です〈Ⅱ〉-(2)
〈Ⅱ〉あのね、九郎は、ね (2)
8 月 6 日(木)
台風9号が通り過ぎ、降った雨が飼育舎のテントの屋根にたまりました。その雨を突っついて取り除くため、2mほどに短くなった古い旗竿をもって飼育舎へ向かいました。
出かけるとき、九郎の声はするけれども姿は見えません。帰ったときにも声はするのに姿は見えません。
声がした辺りで、私は旗竿を近くの木に立てかけ、ポケットからビスケットを出します。
3 九郎に恋した私です〈Ⅰ〉(カラス)
この夏、1992年、何の前触れもなく、一羽のカラスがK小学校にやってきた。性別不詳ながら、愛を込めて「九郎」と名付けた。 しかし、九郎との出会いからわずか1か月半で、彼との永久の別れが訪れた。 なぜ?どのようになって? この疑問は永遠に溶けることはない。彼の残した愛くるしく鮮烈な思い出も、また、消えることはない。私とK校の教師たちと子どもたちの中で。
〈Ⅰ〉 九郎と出会ったのは、ね
九郎