3 九郎に恋した私です〈Ⅱ〉-(2)
〈Ⅱ〉あのね、九郎は、ね (2)
8 月 6 日(木)
台風9号が通り過ぎ、降った雨が飼育舎のテントの屋根にたまりました。その雨を突っついて取り除くため、2mほどに短くなった古い旗竿をもって飼育舎へ向かいました。
出かけるとき、九郎の声はするけれども姿は見えません。帰ったときにも声はするのに姿は見えません。
声がした辺りで、私は旗竿を近くの木に立てかけ、ポケットからビスケットを出します。彼の好きなクリーム入りです。2~3声鳴いてやっと下りてきました。ところがどうした