地方のまちづくり、商店街再生の鍵を握る飲食、「誰の」ために「誰が」やるのか?
つの未来会議「都農町の商店街を再生するためには?」シリーズ5回目のゲストは、都農ワインの株主、塚田農場で有名なエー・ピーホールディングスの創業メンバー、取締役の里見順子さん。
いつものように、会場には町長や議員、役場職員、民間、町外と多様な人たちが40人近く集まっていただき、話し合いをはじめました。
1.都農ワインとの出会い
里見さんたちが、2007年に塚田農場を立ち上げたとき、仕入れていた宮崎の地頭鶏だけではなく、宮崎の食と酒を掘り下げていこうと思い都農ワインを訪れたのが初めての都農町訪問だったそうです。
2016年10月14日、都農ワインが民営化を発表、宮崎県庁からの紹介を受けエー・ピーホールディングスは出資、2017年から民営化しました。現時点で出資比率は50%。すぐにコロナになったこともあり、本格的な連携はこの1年ぐらいから。1つのアクションとして、昨年9月にベーカリーをオープン。
2.飲食店の廃業率
里見さんから会場の参加者に「残念なお知らせ」
好きじゃなきゃできないし、コツコツビジネスのきわみだと。
ただし、まちづくりのデベロッパーからみると、飲食は集客の最大のフックでコンテンツにもなるため、里見さんの会社にも、面白い飲食を出店してほしいというオファーは多いそうです。
3.都農町の飲食の課題
人口1万人のまちで飲食店を増やしてくことは、そもそも人のいないところに人の流れをつくるロケーション開発なので難易度は高い。
その前提で、里見さんは6つのポイントを挙げられました。
コンセプトがずれないように、長期目線でつくっていくことが大事。飲食のプロを入れてリサーチすれば箱はつくれるし、素敵なお店もつくれるけど、誰がやるのかが一番大事、という話に腹落ち。結局は人。
ぼくが都農町の飲食店経営者のみなさんに、課題や成功の秘訣を聞いてみたところ、それ以前の前提として即答されたのが3つです。
4.都農町の可能性
町長と都農ワイン小畑社長も加わって、参加者の皆さんと対話形式で都農町の可能性について話し合いを進めます。
都農ワイン 小畑社長
Q.里見さんは投資家として都農ワイナリーをどう見ていますか?
Q.都農ワインを強みに飲食店づくりへどう活用できるか?
Q.生存率が低いのに飲食にこだわる理由は?
Q.1万人のまちでマーケティングは成立しますか?
飲食店を考える際、「誰を」ターゲットにするかが「誰が」やるかと双璧で重要なテーマです。「誰を」については、個人的には移住者と若い人かな、と思ってます。
移住してまる3年経ちますが、飲食店について地元の人からはあまり不満や要望は聞いたことありません。聞くとすれば、多くは若い女性や移住者。フォークとナイフ使う店ないなぁとかw、必ず誰かに会っちゃうとか。
町民の25%が町外出身者で、これからもその比率はあがることを想定すると、ターゲットの捉え方は変わってくるんじゃないでしょうか。
里見さんからは、客観的には都農町のような規模の町の場合、まず家賃が安いため、売上がそんなに高くなくても利益は出せる可能性があるとのこと。
県内最古の歴史を持つ一之宮都農神社と縁起のいい、例えば焼きたてのバームクーヘンや、抹茶みたいな和のスイーツカフェなど、神社と親和性のあるストーリー感は大事。
せっかく来たんだからこれにしようという決定打を与える必要があります。都農ワインや都農神社など、町最大の強みを活かしたストーリーづくりがヒントになると思います。
5.商店街に飲食店を増やすために
商店街の飲食店を増やすために必要なことは?という問いに対して、銀行勤務の方から「地元の覚悟」が大切と提案。
これは、飲食店が出たら、軌道に乗るまでは地元の人たちが通い続け、買い支える、そんな地元の人の覚悟が大切だと。参加者一同、共感が高まった感じがしました。
終了後に配布したアンケートで、商店街に欲しいお店BEST5は
全体的に夜の店が欲しいという声が多数。その中で、都農ワインが飲める店への要望は具体的に複数出ていました。一つの可能性だと思います。
あとは、農の都、くだもののまちを表明しながら、都農町のとれたて野菜やフルーツを使ったスイーツが食べられる店も現状は少ないため、もう一つ、わかりやすい可能性なのでしょう。
最後に、「つの未来会議」恒例の、町長から次世代へのバトン。
今回バトンを受けったのは、宮崎市出身で、都農町に移住したパティシエの小野さん。BUNMEIのチャレンジカフェでケーキを販売中ですが、小野さんのような若いパティシエが、商店街で自分の店を出したいと思え、出せるしくみづくりがぼくらの目標です。
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