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【大学生の日常】【#61】抱っこ、ダメ、ゼッタイ!!
正直言って、抱っこしてあげたい。
「先生抱っこ〜〜」
「抱っこしないとやだやだ」
(両手を僕に向けて伸ばしながら)「んんっ」
キラキラした目🥺でこんなんされたら…
いくらでもだっこしちゃうよ〜〜〜
🐶
小学校でのボランティア中、そんな気持ちがしばしば生じる。
でも、絶対に抱っこしてはならない。
一度差し出しそうになる手を引っ込めて、担任の先生や主任の言葉を思い出す。
『抱っこはしないでくださいね、もう、幼稚園生じゃないんで』
(そうそう。もう幼稚園生じゃない。小学生なんだ。)
心の中で復唱していく。
『チーム学校として、抱っこしない方針で統一していきましょう』
(そうそう。自分はあくまでもボランティア、学校の先生方のサポート。その子の親じゃない。自分ルールで動いてはならない)
『一人抱っこしたら、みんなも抱っこしないといけないです』
(そうそう。僕は一人の先生ではない。みんなの先生でなければならない)
「抱っこはできないよ〜みんなで遊ぼうね」
落ち着いて生徒たちの目を見ながら、最新の注意を払って優しい声で返した。目は笑っているが、心は鬼になっている。
「ヤダヤダヤダ〜〜〜もう動かないヤダヤダヤダ」
生徒の一人が地べたに寝そべって、手を付けられない状態になってしまった。
僕の心はまたまた大混乱。この前の嘘つき問題に引き続いて、自分の対応力のなさを痛感する。
「ごめんなぁ」
力なくそう発しながら、優しく手を取るのが僕の思いつく最大限だった。
その後しばらくして、担任の先生が近づいてきて、生徒に少しきつめの注意をし、クラスに運んでいった。力づくではなく、さらに抱っこでもなく絶妙な姿勢で。
こんな風にはできないんだよなぁ
生徒たちを上手く注意し、上手く褒める先生を見ながら、ボランティアの限界と、自分の力量のなさを痛感した。
🐶
抱っこ問題、どうしようか。
ボランティア後ずーっと考えた。心理学の本も読んだし、先輩に連絡もした。大学に登校した際には、教授に相談もした。
そうしているうちに、ようやく解決の兆しが見え始めた。
”代替行動で満足させれば良いのではないか”
本や先輩からヒントをいただき、教授のアドバイスから導き出された対処方法(※抜粋)だ。
この対処方法を聞いたとき、僕は自分がこれまでどれだけ抱っこをやめさせる方法しか考えていなかったかを思い知った。
『〜をしない方法ではなく、〜の代わりとなる、してあげられる何かを考えよ』
抱っこ問題を通し、僕が一番学んだことだ。
🐶
抱っこ問題発生から1週間。ボランティアの日がやってきた。
「先生、抱っこ〜〜」
疲れてくる中休み前になると、やはり生徒数人が寄ってきた。
(抱っこしたいけれど、今日の僕は違うぞ)心に決め毅然とした態度で生徒に挑む。
「これはどうだっホイホイ」
「タイフーーーン」
生徒たちが食いつきそうな掛け声とともに、軽く体を上下左右に揺らす。決して、抱っこにならないように。
「わはははは面白いも一回も一回!!!」
「僕も僕も」
想像以上の大好評だ。
「ちゃんと並んでくれたら、やるぞ〜〜〜!!」
驚くほどスピーディーな整列。みんなすごいじゃん。やればできるし、地べたでだだをこねてたあの子も、みんなに順番を譲ってる。
それに。目を疑うようなことも起こった。
チャイムがなると、子供達が自然と席に戻っていく…!!
あんなに教室に戻りたがらなかったのに。抱っこじゃなくて、欲しかったのは愛情だったんだね。「〜しないで!」という注意じゃなくて「〜なら良いよ」だったんだね。こうやって、ちょっとずつ大人になっていこうね。
今日もたくさんのことを学ばせてもらった。
愛情、イイ、タップリ!!
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