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3-10.神の照らすクロスロードに悪魔はたたずみ、エルフは道をためらう
俺の前には二つの道がある。
一つの道は、ミエコちゃんとの関わりを捨て、俺がずっと大切に育んできた流動性の生活へと帰る道だ。
もう一つの道は、ミエコちゃんという外部性を俺の生活の中に取り入れ、土着性を育むことだ。
今の俺はどちらの道も選ぶことができる。
そしてどちらの道のほうが「より正しい」ということは言えないから、どちらを選ぶかは俺の胸算用一つで決まる。
かつて電車の中で見た、ある中年の夫婦
3-6.俺は性的な人間である
俺は自分の性的な側面について、朗らかに言う事もできるし、病的に言う事もできる。
朗らかに言うならばこうだ。
女と性的な交流を持つ時、俺は深い幸福と満足、そして開放感を感じる。
俺は普段の社会的生活の中で、自分はどんな人間だろう、男らしくあるとは何だろうという事を常に自分に問い続けているが、女と全裸で抱き合う時、その突きつけられた問いが融解する瞬間がある。
人ごみを避けるために朝十時の開場
3-4.ウェスト・東京
俺が冬の装いを好ましく感じる理由は、夏服が体の上に「乗せる」ことによって体を飾るのとは違い、体を「包む」ことによって一種の謙虚さが表れるからだ。
その日、ギャラリーの外に先に出てで待っていた俺のもとに出てきたミエコちゃんは、紺のウール地でできた変形のピーコートのような上着と、首にはベージュのマフラーを巻いていた。
西洋が数百年にわたって語ってきたコードにもとづいたその冬の装いは、彼女が理性的な文