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フランスで見た英語の授業(アクティブラーニング実践例)

以前の記事でフランスの学校に訪問した時のことを書きました。

そこで見学させていただいた英語の授業がとても素晴らしかったので
今回は英語のアクティブラーニングについて書いていきたいと思います。

フランスでは20年ほど前からアクティブラーニングの実施が推奨され始めたそうです。
その流れもあり、授業内では英語を「使うこと」を視野に入れた授業展開が行われているように感じました。

授業の内容は以前に僕が参加したBritish Councilの研修で教わったものに近かった気がします。
イギリスが近い分、英国式の教授法が広まっているのかもしれません。

アクティブラーニングの基本は少人数であることです。
今回見学したクラスも例に漏れず少人数でした。
最大でも20人強の生徒で実施されていたと思います。

さて、英語のアクティブラーニングを実施しようとするとまず頭に浮かぶのが「恥ずかしくないの?」という感覚だと思います。
日本人は恥ずかしがりやすく、欧米人はそんなことないと思われがちかと思いますが、
フランスの先生方は口を揃えて
「みんな最初はとても恥ずかしがってた。」と言います。

見学した授業内でも高校生がプレゼンを恥ずかしがっている様子を見ました。
恥ずかしさを隠すために笑って誤魔化したり、友達とふざけてみたり
僕が先生をしていた時もよくみた光景でした。

フランス人も(おそらく他いの国の生徒も)
ミスすることや人前で発言することを恥ずかしがるのは同じなようです。

🔶フランスで見た英語の授業


さて、では早速フランスで見たアクティブラーニングの授業について書いていきたいと思います。
今回は
個人的に良いと思った授業の流れ(アジェンダ)を1つ
具体的なアクティビティを2つ
紹介していければと思います。

個人的に良いと思った授業の流れ

最近日本でもよく聞くようになったアクティブラーニング
それを英語で行う場合はインプット(特にリスニング)からスタートして、
アウトプット活動につなげていくのが定石ではないでしょうか?

今回見学した授業ではその流れがスムーズに行われていたので書いていきたいと思います。

<授業の流れ>
※オールイングリッシュでした。
1)オーラルイントロダクション

前回までの復習を質問形式で行います。誰かを指すことはほとんどせずに生徒がどんどん答えていきます。(これも最初からスムーズに答えてくれたわけではなく、徐々に徐々に回答してくれる生徒が増えたんだとか。)
また、本時の導入として生徒が知っているであろうレベルの質問をしていきます。(今回はアートについてだったのでピカソのゲルニカを例に行っていました。)

2)リスニング
動画を使ったリスニングを実施していました。
アートに関する1,2分ほどのアニメーション動画を見せて、聞こえた内容やフレーズ・単語を尋ねます。生徒同士で聞こえた内容を確認しつつ2,3回と繰り返し聞き取り練習を行います。
実はここまでで50分が終了します。
(ここで達成感を与えるために穴埋め・ディクテーションやシャドーイングを実施しても良いかもですね。)

3)理解度確認
ここでリーディングです。
プリント授業だったので、プリントに書かれた500ワードくらいの文章を読みます。内容に関する質問が5問ほど用意されており、その質問に個々人で答えていきます。
個人の時間の後に周りの友達と内容確認を行います。
最後は先生と全体で答え合わせを行います。

4)意見交換・ディスカッション
(このパートは実際に見ることができませんでした。先生に聞いた話をもとに書きます。)
リーディングパッセージもしくは動画、あるいはアートというトピックに対してディスカッショントピックを提示し、生徒同士での意見交換を行います。
簡単なものから順に行い、徐々にレベルを上げます。
(日本で行う場合はまず自分の意見を英文にする作業から始めても良いかもしれません。)

5)プレゼンテーション
基本的に最後のアウトプットはプレゼンテーションを行うそうです。
個人orグループ、全員の前or少数など様々なパターンで行うんだとか。
評価対象にする場合もしない場合もあるそうです。評価にならない方が気楽で良いですね。笑
(個人的にはプレゼンだけでなく、パフォーマンステストやライティングも織り交ぜてみても良いかと思いました。)

上記のような流れで実施しているそうです。
この流れが以前に僕が参加したBritish Councilの研修で教わったものにそっくりだったので驚きました。

インプットからアウトプットの流れを意識するだけでも
おそらく生徒が目的意識を持って学習に取り組めるのでとても効果的な流れだと感じました。

クラスによると思いますが、
生徒たちは前半のインプット活動で集中力が切れながらも、しっかりと必要事項をメモしたり友達と理解度を上げてアウトプット活動に備えている印象でした。

具体的なアクティビティ

さて、こちらではフランスで見た授業内で先生方が実施していた楽しそうなアクティビティを2つ紹介したいと思います。

1)2チーム連続プレゼン

プレゼンテーションの1つの形式です。
僕の個人的な経験ですが、プレゼンってなかなか生徒のモチベーションが上がらず、また聞いている時間が長くなってしまい、うまくいかないことが多かったです。

しかし、今回見たプレゼン形式はプレゼンターだけでなくオーディエンスも緊張感を持って参加することができると感じました。

具体的な例をもとに紹介していきます。

今回のテーマは「カナダの大学コンペ」でした。
カナダの大学というのはフランスの高校生にはそれなりに興味関心のあるテーマらしく、生徒もモチベーションを上げやすいのではないかと先生が判断し実施したそうです。
(ここで生徒の意向などを入れられるとよりモチベートできるのかもしれません。)

生徒たちは3人1グループでカナダの大学を1つ選び調べ学習を行います。
発表時には2グループ6人が前に出てコンペティション形式で大学のプレゼンテーションを行います。
合同学校説明会で学校の広報担当の先生方がプレゼンする気分ですかね。

オーディエンスはそれを聞いた上でどちらの学校が良いかを決めなければいけません。
なのでわからなかった点や詳しく聞きたい点は積極的に聞いていかなければいけません。

質問を終えた上で先生がランダムにオーディエンスに意見を聞いていきます。どちらの大学が良いと思うか、なぜそう思うのか、より詳しく聞いてみたいことはあるか、など。

オーディエンスの質問に答えられない場合は調べ学習不足が露呈してしまいますし、
オーディエンスも集中して聞いていないと的外れな観点で優劣を決めなければいけなくなります。(その場合はもちろん先生に突っ込まれます。)

プレゼン形式の1つとして、
どの役割の人もちゃんと意味があり、積極的な関わりが求められる点がとても素敵だと感じました。

また、実際のビジネスシーンや社会にも結びつけやすいです。
例えば企画コンペやビジネスコンテストなど
様々なシーンに使えそうです。

2)ゲーム感覚のインタビューアクティビティ

次に紹介するのはクラスメイトにインタビューを繰り返すアクティビティです。
今回見学した授業ではハロウィンも近かったためか
「人間のパーティーに紛れたモンスターを見つけろ」
という面白そうな内容でした。

事前準備として、いくつかのモンスター(フランケンシュタインやドラキュラなど)について調べ学習を行い、授業内で情報共有をしておきます。

授業が始まったら人間サイドとモンスターサイドに分かれます。
人間サイドは共同で質問を作成し、どのモンスターが紛れているかを探します。
モンスターサイドは自分の特徴を再度確認し、できるだけバレないように質問に答える準備をします。

パーティーの時間は15分ほど
人間サイドの生徒は全てのモンスターに質問し、誰がどのモンスターかをメモしていきます。
回答が出来上がったら先生のもとに行き、答え合わせです。

こちらは基本的な授業を行った後に行うファンアクティビティとして実施していましたが、
人間サイトは自分達で質問を考え繰り返し聞くことができる良い機会になり、
モンスターサイドは即興の質問に対して、嘘は言わずに曖昧な回答をするという高度な対応力が鍛えられます。

15歳の生徒たちが意気揚々と楽しそうに行っていました。
日本の中学生はもちろん、高校生でもテーマを変えて実施できそうです。

例えば犯人探しや歴史上の人物当てなど応用を聞かれれば色々なテーマが考えられますね。

🔶まとめ


いかがでしょう?
使えそうなものはありましたか?

僕が教員だった時はアクティブラーニングといってもワンパターンになりがちで、なかなかバラエティを持たせることができませんでした。

しかし、様々な先生方の授業を見学させていただくことで幅広いアイデアに出会うことができています。
また教員に戻る日が楽しみです。😆


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