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【オープン探究】簡単な探究を教師が行うことで、生徒の探究が一気に創造的になる

以前書いた記事の通り主体性を育むためには、
1)オープン探究
2)テーマ探究
3)環境
の3つが大切になります。

今回はそのうちの一つ『オープン探究』についてです。
オープン探究を実施している学校の先生方に話を聞くと、
始めたばかりのころは「生徒の意欲関心を引き出す」ことによく悩まされたと言われます。

生徒にテーマ何にするか聞くと
・いい生徒(興味はないが、社会的に意味のあるもの)
・友達と一緒(友達と一緒に活動するために友達に合わせる)
・特にない(生徒から案が出ない)
などがよくあるそうです。

そこで、この記事では生徒の意欲関心を引き出す方法の一つについて書いていきたいと思います。


🔸理想(課題設定)

生徒が興味あるものを見つけ、それについて学んだり活動したりできるようになること

盲目的に戦場に向かう兵士を育てるための戦前教育に辟易していた当時の先生方は、戦後「自由研究」という授業を作りました。
1960年代になることには戦後の想いは薄れ、高度経済成長に向けた詰め込み教育が重要視されるようになってきました。
それでも先生方は「自由研究」の大切さを捨てきれず、現在では夏休みの宿題としてのポジションに落ち着いたと聞きます。

どんなテーマを選んでも良い、興味関心をもとに好きに課題設定を行い、自分なりに活動しアウトプットする。
この学習スタイルの重要性は多くの先生方がロジックではなく、感覚的に理解しているところではないでしょうか?

しかし
「好きなものは何?」「将来したいことは?」と聞かれた時に
目をキラキラさせながら答えられない生徒がいることも事実かと思います。

そんな生徒たちが、
ふんわりとでも、なんとなくでも、興味あるものを見つけ、それについて学んだり活動したりできるようになることが今回の記事を通した理想の状態です。

🔸行動(実例)

簡単な探究をまず先生が行うことが、生徒のやる気に火をつけるきっかけになるかもしれません。

これは大阪府の私立学校の先生に聞いた話なのですが、
その学校では、生徒があまり探究に意欲的でないことが当時の課題としてあったそうです。
先生方の仮説としては、以下の観点が邪魔をしているのではないかと考えていたそうです。
1)プロジェクトと聞くと壮大なものをしなければいけないのではないかという不安
2)社会的に意義のあるプロジェクトをしないといけないという固定観念
3)他の生徒に馬鹿にされたくないというプライド

そこで、先生方は
「まずはどんな内容でもいいから先生方が探究プロジェクトを立ち上げて生徒に発表する」
という方法で、生徒のマインドを変えられないかと考えました。

実際に行った先生の探究プロジェクト例は以下の通りです。
・学校付近のラーメンマップを作る
→密かにラーメン好きだった先生が学校周辺のラーメン屋をめぐり、それぞれのお店の特徴をまとめ、発表。

・週末農家への道
→定年が近い先生が、退職後の趣味として考えていた野菜の栽培を一足先に実践開始。畑を見つけるところまで発表。

・プチダイエット
→ダイエット企画を立ち上げ、間食を減らせるように活動開始。結局体重は変わらなかったが、自分がどういう時に我慢できずに間食するのか、その傾向を発表。

本当に日常の中で行えるレベルの探究テーマを立ち上げ、それを実践し発表したそうです。

生徒の反応は、狙い通りで
「え?そんなんでいいの?」というものでした。
それどころか、普段あまり自己開示をしない先生方が意外なプロジェクト活動を発表してくれたおかげで大盛り上がり!
ラーメン好きの生徒が話しかけてくるようになったり、
威厳のある先生のプチダイエット企画に親近感が湧いたり、
大いに沸いたそうです。

この活動があってから
生徒のプロジェクトに対するハードルは一気に下がり
興味関心ベースでどんどんアイデアが出るようになりました。

生徒が最初に出してくるプロジェクトテーマは
・格闘ゲームのスキルを上げる
・韓国風メイクを習得する
・早起きの習慣を作る
・英単語を覚える
など、普段の生活の中から湧き上がる本当に素朴な疑問でした。

これらのテーマを生徒が出した時
おそらく先生によってポジティブとネガティブ2通りの反応があると思います。

ポジティブな面としては、
・生徒が自分の意見をいうようになった。
・それなりにワクワクたのしそう。

ネガティブな面としては、
・このテーマで進めても遊んで終わる
・このテーマからでは社会課題につながらない

もちろん最終的には生徒の教科的な学びにつながったり、
社会的に意義のあるプロジェクトに取り組んでくれたら、
と思いつつ
初期段階として、まずは自分の興味関心からテーマを見つけ、活動に移す経験を行えると良いのではないでしょうか?

実は紹介した大阪の高校では
先生方が探究プロジェクトを実践することで
先生方のマインドにそんな変化が起きていました。
つまり、
「探究学習って最初はこれでいいんだ」
と、探究に対するハードルが下がったそうです。

先生方が自らテーマ設定を行い、
そのテーマに沿ってプロジェクト活動を実践する。
さらにそのプロジェクト発表を生徒が承認し、面白がってくれた。
プロジェクト活動をする過程でも、各々の学びがあることを知ったことも大きな理由だったのではないでしょうか。

探究を担当されていた先生は、
生徒の変化よりも、先生方のマインドの変化に驚いたそうです。
もちろん上手くいく保証はありませんが、
一つの方法としてご参考にしていただければです。


まとめ

今回は、オープン探究をする上で非常に重要になってくるテーマ設定について
生徒が自分の興味関心に沿ってテーマ設定をするために
心理的ハードルを下げる方法を紹介しました。

もし「試してみました!」という方がいましたら、
コメントに感想もらえたら嬉しいです!

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