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Withコロナ時代の3つの「ない」社会、企業と個人に必要な進化とは?〜マネプロ#26

新年あけましておめでとうございます!
DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第26回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、今回は2022年の初回記事なので昨今の時流に合わせて、Withコロナ時代における変化をマネジメントの視点から考察したいと思います。

ズバリ、『会えない・繋がらない・気づかない』という3つの「ない」社会の中で、組織と個人は何に向き合うのか?これが今回のテーマです。

目次はこちら!

<Withコロナ時代の3つの「ない」社会>

コロナ禍に入って以来、私たちの社会は「会えない・繋がらない・気づかない」がデフォルトの社会を生きるようになっています。

リモートワーク、またはリアルとリモートのハイブリットが新常識となり、出社して直接顔を合わせることが「当たり前」のものではなくなりました。

ちなみに、私のいるDeNAはリモートワーク率が90%を超えていた状況から、大きなヒカリエのオフィスを離れ、Weworkでのフリーアドレスの働き方へシフト。オフィスの自分の席に行くといつもの顔ぶれが…なんてことはなくなってしまいました。これが「会えない」社会です。

zoomで会議のセッティングがされるのは用件が決まった状態です。オンライン会議の前後での会話は生まれにくい。飲み会や合宿ができない状況で、雑談や談笑がしにくい。このようなことから余白のないコミュニケーションが増えました。

そうやって物理的距離が離れると、それにつられ心理的距離も離れるもの。出社の道中でばったり出くわした同僚と、家に帰る方向が同じのあいつと、隣に座るあの人と、そんな会話が久しいものに。ちょっと寂しい…。これが「繋がらない」社会です。

そうなると当然、暗い顔して悩んでそうな人に気づき声をかけたり、嬉しそうな顔をした同僚に気づいて何か良いことがあったのかを聞いたりするのも難しい。また、物理的・心理的な距離が離れていると直接指摘を受ける機会も減るでしょう。つまり、五感に響く情報や刺激を得られにくくなります。これが「気づかない」社会です。

<いま、リーダーが感じていること>

3つの「ない」社会で
リーダーが感じていることはなんでしょうか?

不確実さ:仕事の過程に目が届かず見えにくい
曖昧さ :仕事の中で本音や本気が見えにくい
複雑さ :情報や刺激が限定されて見えにくい

社会において「VUCA」の時代と呼ばれてきたものが企業と社員の関係性に影響を与え、見えない不安を感じやすくなったのではないでしょうか。

物理的・心理的な距離が離れれば、企業と社員の関係に遠心力が働き、求心力が働きにくくなります。

そのため、リーダーには、企業と社員をつなぐ期待役割を担い、求心力をつくる動きが求められているのではないでしょうか。

これからの社会では、企業と社員の関係性が変わり、一人ひとりの意識に働きかけるニューノーマルが必要になる、ということです。


もう少し具体的に次の章から説明していきます。


<企業と社員の関係性の変化>

企業に対して自発的な貢献意欲が湧き出るようなエンゲージメントは、社員が企業に所属しただけでは生まれません。

リモートワークが進めば、企業との接点や社員同士の直接の接点は減り、エンゲージメントの概念は薄れています。

エンゲージメントリングから想像するような、結婚をしたら毎日一緒に過ごすのが当たり前というあり方が、3つの「ない」社会において、企業では通用しなくなります。

もしかしたら、企業と社員の関係性は、結婚でいえば週末婚(週に1・2回会う)、恋愛なら遠距離恋愛(月に1度会えるかどうか)のような関わり方でもエンゲージメントしていくマネジメントを考えなければいけない、と言えるかもしれません。

そうなると、もはやマネジメントにおいて「エンゲージメント」という言葉は使われなくなり、別の新しい概念が生まれるのだと思います。それは、社内向きの「ウェルビーイング」や社会向きの「パーパス」が融合した新しい概念が生まれるのではないかと予想しています(果たして…)。

<いま、企業が社員に提供する価値>


以前、マーケティングの新4Cの話を書きました。

これはSNS時代に企業が消費者に届ける価値のことでしたが、企業が社員に対して届ける価値にも同じことが言えるのではないでしょうか。

リモートワークでは、顔が見えない分、従来よりコミュニケーション障壁が上がります。そこで、企業は社員に「働きやすさ」という「快適性のある関わりができるコミュニティ」としての価値を提供する必要があります。

人事部や管理部門は、企業での働き方にアウェイさを感じさせることなく、心理的安全性の要素に代表されるような、社員がホームを感じられる心地よい状態をつくることが大切です。

そして、「働きがい」という「夢中や熱中を生み出す体験」としての価値の提供が重要です。道のりは大変かもしれないけれども、没入できる面白さのある器や仕事をつくれるかが問われます。

誰かが決めた仕事をこなして時間を過ごす経験だけでは「働きがい」を感じられないですよね。一人ひとりの社員にとって、目の前の仕事に意義があり、真にやりたいことになっていなければ「働きがい」を得るのが難しいことは明らかです。

<個の「ものの見方」を変える存在>

さきほど

リーダーには、企業と社員をつなぐ期待役割を担い、求心力をつくる動きが求められている

と書きました。

これからの組織には、働く個々の目指すところと会社のパーパスをつなぐ役割を担う、いわばツアー・コンダクターのような、あえて名付けるなら「エクスペリエンス・コンダクター」ともいえる存在が必要かもしれません。

エクスペリエンス・コンダクターは、新たな「ものの見方」を付与することで目の前にあることの価値を書き換えてしまいます。

ツアー・コンダクターなら、住んでいる人からすれば単なる街の風景でしかないものに「歴史」や「地元情報・裏話ネタ」を付与して、旅行者の目の前にあるものを、価値あるものとして認識させてくれます。

同じように、対話によって個人が企業の中で担う仕事について「私にとってこんな意味がある」「絶対にやりたい」ものとして見えるよう気づきを与えるのがエクスペリエンス・コンダクターの役割と言えるでしょう。

リーダーの仕事は、まさにそのような位置付けに当たると考えています。

一人ひとりの意思を起点にして、企業への自発的な貢献意欲で仕事に向かい、ちゃんと企業の成長につながる形に結びつける。

社員の仕事に彩りを与える働きかけ。それができるエクスペリエンス・コンダクターなる人材が、いま必要とされているのではないでしょうか。

<個の「尊重」は「自律」が前提>

ここまでは「3つのない社会」で企業やリーダーに求められることを見てきました。

個々の意思の尊重・感情の尊重・多様な働き方の尊重、一言でまとめるなら「個の尊重」となるでしょうか。

では、反対に働く側の社員から見て、
個人に求められることはなんでしょうか?

私は「自律」であると考えます。
「自立」ではなく「自律」の方ですね。

1人で仕事をこなせるように自立するだけではなく、しっかりと自分の軸を持ち、さらなる高いレベルを目指して自分を律しながらパフォーマンスを出すこと

そして、自分が足りない部分を自覚して周りに頼り、力を借りることもできること

これが「自律」です。

企業が個としてのあなたを「尊重」しようとしても、あなた自身が自分の求めること・できること・目指す方向性を知らなかったら、周囲からもサポートのしようがない。ですから、個の「自律」があって「尊重」が活きるのだと思います。

そして、今の時代に「自律」が求められると伝えた最大のポイントは、他者との協働・共創にあります。

リモートワークの定着は、場所や時間を共有しない働き方 / 関係性の促進を意味します。コミュニケーションの不足や連携のしにくさによるデメリットは、感情や価値観の共有を失う働き方 / 関係性にもなりかねません。

そうなれば、もはや会社の一員には感じず、頼れる仲間も生まれず、パフォーマンスも上がりにくいでしょう。個人にとっても孤独や孤立から不安を感じやすくなります。

このような変化にどのように対応するか。実は、企業以上に、個人が本気になって向き合うものだと私は思っています。

マネジメントの視点では、1人のカリスマの指示命令に従っていれば成果が約束されるビジネス環境ではなくなってきているからこそ、自律した個による、個性と個性のコラボレーションによる新しい価値の創造が必要なのではないでしょうか。


<今年のマネプロと私の新たな挑戦>

ということで、新年1つ目の記事では、今の社会の変化から「企業」「リーダー」「個人」が求められる進化についてを探求して書いてみました。

2021年のマネプロは「戦略」を軸にして企業におけるマネジメントをテーマに展開してきました。2022年のマネプロは「個」を進化させるマネジメントについて探求する年にしたいと思います。

今回はその橋渡し的な記事になってましたかね?

そして、今回は新年記事なので私の新たな挑戦や新年の抱負についても共有させてください(笑)

「個」のマネジメント領域について
私自身も2022年から新たな挑戦を始めます。

それは、社外の起業家・リーダーにもコーチングを提供する、コーチの仕事を本格的に始めることです。

先ほど「エクスペリエンス・コンダクター」の話をしましたが、これからの気づかない社会では、自分の思考や感情をオープンに対話ができる相手、「気づきを起こすパートナー」が必要だと思うのです。

というのも、ほとんどの人は自分の思考や感情を自分だけではうまく認識できていないからです。コーチングの世界でオートクラインという言葉があるように、人は話をしながら自分自身の理解を深める傾向があります。自分がしたい行動、価値観からくる反応の裏にある「ものの見方」を自己認識するのは難しいものなのです。

自分1人では考えても辿り着けないものに気づき、自分が心からやりたいことを実現するための新たな発見や変化を起こすコミュニケーション。それがコーチングでやることです。

というわけで、2022年はマネプロとともに、「変化をリードするコーチ」として、個の進化について探求します、というのが新年の抱負です!

坪井のコーチ/コーチング、またHR経験者限定のコーチコミュニティ運営をしているので、これらに興味ある方がいたらTwitter(@tsubot0905
のDMでご連絡くださいね!

<今回のQuestions>

以上が26回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!

<次回にむけて>

次回は『チームが自然に生まれ変える』を出版され、多くのリーダーやコーチを育てている李英俊さんとの対話を通じて、個の「目標」に関するテーマから進化のマネジメントを探求します。

お楽しみに!

次回は2週間後の水曜日。
良かったらnoteのスキ/フォローをお願いします。

最後まで読んでもらいありがとうございました!

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