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思考の部屋

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疑問に思ったことや考えたことを文字に起こし整理しようとして書いた偏見まみれのエッセイ。 暇な方、議論や哲学、考察が大好きな変人はぜひ。
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2020年4月の記事一覧

ナイルの水の一滴

私には、好きな文がある。

志賀直哉の「ナイルの水の一滴」だ。

「人間が出来て、何千万年になるか知らないが、その間に数えきれない人間が生れ、生き、死んで行った。私もその一人として生れ、今生きているのだが、例えて云えば悠々流れるナイルの水の一滴のようなもので、その一滴は後にも前にもこの私だけで、何万年遡っても私はいず、何万年経っても再び生れては来ないのだ。しかも尚その私は依然として大河の水の一滴に

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「夢」で旅する

こんなご時世なので、どこにも行けない。

地元に帰省したいが、高齢者が多い田舎なので気が引ける。

外出も、食材を調達する程度。

本当に退屈だ。

しかし、読書とトレーニング、そしてこの記事のメインである「妄想旅」によって自我を保っている。

読書はいうまでもなく面白い。

トレーニングは楽しい。

しかし、「妄想旅」?

説明しよう。「妄想旅」とは、過去に訪れた地を写真や記憶等を駆使して振り返

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「なんもない」を体感した日

若者の言う「なんもない」は「都市部と比較してなんもない」だと定義した。

しかし私自身、1度だけ「なんもねえ」と感じた経験がある。

それは東北と北海道を車中泊で旅していたとき、秋田県能代市を通ったときのことである。

友人の出身地であり本人から再三「なんもない、行かなくていいよ」と釘を刺されていたが、私は「それは出身者だからそう感じるのだろう」と言っていた。

しかし、実際に行くことでその言葉が

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「なんもない」の考察

知り合った人の出身地を聞き、どんな魅力があるのかを聞くと、だいたいこう返ってくる。

「いやあ、なんもないよ」そんなわけない。なぜなら人が生きているという時点で、なんもないわけはないから。

では、この「なんもない」とは、どういう定義で決められるのだろうか、考察してみた。

まず、「なんもない」というのは、同世代の若者に出身地の魅力という質問を投げ掛けると返ってくることが多いように感じられた。

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