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#003_建築から学ぶ「美しいシステム」とは? ~ITアーキテクトの役割~

改めて建築家とアーキテクトの役割をまとめてみました。

建築が、意匠、構造、設備という3つの要素で設計し、施工していくように、システムもハードウェア・ネットワーク、データベース、アプリケーションという3つの要素で設計し、構築します。

建築と比較して、システム開発は役割分担があいまいで、やはりITアーキテクトの不足感は否めません。これが、日本ではまだまだ「美しいシステム」になりきれていない原因だと考えています。

そこで、大変恐縮ながら「美しいシステム」構築に向けて、現状を打破するための提案を考えてみました。

①ITアーキテクトを探し出す!

これは、IT事業者の起業家に対してのメッセージかもしれません。開発ベンダーは建築で言えば施工業者であって、アーキテクトとは限りません。

起業家がイメージする仕組みを具現するシステム構築では、プロダクト品質はもちろん、開発スピードも重要です。なぜならば、経営環境が創造を超えるスピードで目まぐるしく変化するからです。そうした環境下で集めた資金を最大化するためは、イメージしたシステムをスピード感もってリリースし、そして一気に利用者を増やす必要があります。そうしないとその事業はあっという間に淘汰されます。その為には、起業家がイメージするシステムを「美しい」仕上がりにしてくれる確かなアーキテクトを仲間に加えることが一番の近道だと思っています。

私の専門であるHRテックのスタートアップ企業で、とてもいいアイディアがあって、開発コストを削減するために優秀なプログラマをオフショアで抱えていましたが、試用版から何年経っても商用版をリリースできない企業がありました。

これは明らかに、ITアーキテクト不在のまま、日本側にブリッジSEをおいて進捗管理だけしていた、建築で言えば、建築家不在で施工業者だけで開発している体制です。これではせっかく資金調達した資金をドブに捨てているようなものです。なにより、本来そのサービスを期待している潜在的なユーザの期待を裏切ることにもなります。

ぜひ、ITを活用した事業のスターアップ経営者の皆さんは、建築家の役割を頭に置きながら、妥協せず信頼できるアーキテクトをなにがなんでも探してください。妥協したら、間違いなく失敗しますよ!

②ITアーキテクトを育成する

ITアーキテクトは、建築が大型施設、住宅専門、木造建築専門、リフォーム専門など、専門性が多様化しているように、対象業務によってその専門性は多様化します。

例えば、私の専門とするHRテックは、生産管理や営業管理、会計システムとは明らかに業務要件が異なりますし、処理数やデータ量も異なります。

但し、システム開発の基本的なスキルは必要です。従って、応用情報処理技術者を取得を前提に、開発現場や時には転職や副業で越境学習で経験値を積みながら、ITアーキテクトとして目指すべき専門性を高めていってもいいかもしれません。

私自身、SIerでキャリアをスタートしましたが、某商社での人材管理システムをきかっけにHRの世界に入り、そこでいかに運用しやすいシステムにするかを四苦八苦しながらも対応する中で、HR業務に対する理解を深めることができました。

③ITアーキテクトの社会的なポジションを確立する

先述した①②で「美しいシステム」を構築するための直接的なアプローチはご理解いただけたらと思います。建築家を目指す子供たちがいるように、私は、ITアーキテクトが子供たちが憧れる職業にする必要があると思っています。そのためには、ITアーキテクトの役割の定義、訴求、そして彼らの生活を豊かにする報酬も大切です。

昨年、メジャーリーグの大谷翔平選手が、日本の子供たちに6万人分のグローブを提供した話がありましたが、有名なITアーキテクトが小学生に次世代デバイスを配布する、なんていうことができるようなプロフェッショナル職として地位を確立するイメージです。

実際、私自身、会社勤めをしているサラリーマンエンジニアでしたが、一人のプロフェッショナルとして、起業することで報酬も自分でコントロールできるようになりました。

もちろん、すべていい話ばかりではありませんが、プロの世界は芸能やアスリートに限った話でなく、身近なものであり、自らの裁量と責任でいくらでも可能性を広げられるというプロフェッショナリズムの認知度を向上することも憧れをもってもらうためには重要だと思います。

というわけで、「美しいシステム」構築のために、特にとりわけ日本のHRテックに寄与する一人のITアーキテクトとして、私も上記の提言を自ら推進して行きたいと思います。

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