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#禅
禅語の前後:秋雲秋水兩依依(しゅううん しゅうすい ふたつながら いいたり)
いまから千年ほど前の中国にいた禅僧法演は、今も日本で続く臨済宗の中興の祖といわれていて、高名な僧の師匠筋にもあたり、自身でもいろいろと書き残している。
文学的な才能もあった人のようで、こんなふうな秋の別れの歌も残っている:
送黃景純 法演 黃景純を送る
秋雲秋水兩依依 秋雲 秋水 両つながら依々たり
寒雁聲聲度翠微 寒雁 声々 翠微を度る
多向洞庭青草岸 多くは向こう 洞庭青草
禅語の前後:円空(えんくう)
円、えん、まどか。丸、完全さ、和やかさ、を意味する。
空、くう、そら、から。何も無いこと、を意味する。
円空、完全に何も無い。これが、禅に繋がる大乗仏教の、コアなコンセプトであるという。
何もない、というのをことさら重要視するというのは、奇妙な話ではある。いったいなんなんだろう、と、ちょっと歴史を追ってみたら、この二〇〇〇年の間にいろいろな解釈が生まれたもののようだ。
紀元前三〇〇年、
禅語の前後:山花開似錦(さんか ひらいて にしきに にたり)
「山はいま錦の綾なす花ざかり」というと、めでたく春めいて聞こえる。
咲いて散る、とくに桜の花などには、滅びの美学などを重ねることもできる。「ねがわくは花のしたにて春死なむ そのきさらぎの望月の頃」は、西行法師の有名な歌である。その歌の通りに、西行法師が二月の満月のころに亡くなられたというニュースは、当時の京の都に一種異様な興奮をもたらしたという。
花見酒もいいよね。…話がそれてきた。
元
禅語の前後:大道透長安(たいどう ちょうあんに とおる)
何か儀式的なことをしたほうがよいかと二人で話して、僕と彼女は互いの両親の顔合わせと結納とのために、ホテルの離れを借りて宴席を設けた。
離れは茶室としても使える部屋で、「大道透長安」の掛け軸が用意してあった。ホテルの人が、門出を祝うような意味合いを込めてくれたのだろう。
これは唐の時代の有名な禅僧、趙州の逸話から来た言葉だという。「道とは何でしょうか」と若い僧に尋ねられた趙州は「道なら、うん