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かなりショート

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1,000文字程かそれ以下の超ショート。気休めに書いた物。
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記事一覧

杏佳、結婚するってよ

杏佳、結婚するってよ

 明日、杏佳の結婚式があるって。
 明日? 明日の土曜日? 嘘でしょ? 何でまたそんな急に……用意が何にも出来ないよ。

「明日だって。どうしよう」
「何着て行こう」
「すごい急だね」
「どうしようどうしよう」
「先生に聞いてみよう」
「先生に聞いたら黒いスーツで良いって」
「わかった、黒のスーツなら持ってる。しょうがないそれで行くしかないね」
「明日だからね」
「わかった」

 私、パーティード

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私のマガジンご紹介

私のマガジンご紹介

私は隙間時間に小説を書いている人です。
物語を考えて文字にしている時は俗世を忘れられるのです。そして自分でにやにやしています。なんと贅沢な時間の使い方。幸せー

そんな私の記事が少しずつ増えてきたのでマガジンのご紹介です。

【メイン】

全て2,000字程の短いお話。
男主人公だったり、女主人公だったり、恋愛、ホラー風、グルメ、阿呆、不思議…いろいろあってちょっとよくわかりません。作風は定まって

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そちらに傾いている

そちらに傾いている

 ダイは長年連れ添ったパートナー。

 十年以上は連れ添っているかもしれない。ダイとはとにかく長い付き合い。
 馴れ初めというか、何でパートナーになったのか……初めの出会いの部分があまり思い出せない。そもそも側にいたから……とかそんな感じだったかもしれない。振り返ればそこにいたのだと思う。それくらい近くにいた。
 ダイは手頃だった。重くもないし、軽くもない。私にとって都合が良い。こいつで良いかって

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彼女は何も悪くない

彼女は何も悪くない

 私、面倒くさがりな人でして。

 ドアtoドアで最短距離で移動するのを良しとしています。
 なので、乗る電車の車両もだいたいいつも同じですし、良く使う駅のエスカレーターの位置とか把握しているわけです。(いくつか迷路のような不可思議な駅もありますが、それはまた別の機会に)
 したがって、駅のホームで乗る電車を待つ立ち位置もだいたいいつも同じなわけです。

 そうすると、いつも決まった時間の電車の決

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帰り道の冒険

帰り道の冒険

 朝までしとしとと降っていた雨は止み、空はウソみたいに晴れ渡っていた。むわっとしたまとわりつくような空気が体を覆っている。汗が背中を下りていった。
 図工で使うかもしれないと思い、持って行った絵の具セットは結局使わずに持って帰って来た。ロッカーにはあまり荷物を置いて帰ってはいけませんと先生が言っていたから。
 絵の具セットと長い傘と、水筒と。今日はまるで金曜日かと思うくらいの荷物だなと思った。

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