勝田順子

オーストラリア・NSW州弁護士。Katsuda Synergy Lawyers代表。S…

勝田順子

オーストラリア・NSW州弁護士。Katsuda Synergy Lawyers代表。Sydney Law School LLM。法律情報の共有コミュニティー・LawShare経営。スナックLIMEのママ

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    スナックのママは弁護士。シドニーで始まったスナックの話です。

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飲食店の新人スタッフの離職と給与の支払い義務について

事務所に寄せられたクライアントさまのご質問にお答えします。 Q:  勤務開始から2日目に「働き続けられません」と新人スタッフから連絡がきました。トライアル後に続ける意思があることも確認してから採用し、1日(8.5時間)の勤務をしています。この1日勤務のみで退社となりました。 弊社での仕事はお客様の数も多い事もあり、上記のように新人スタッフには予想外の労働環境で、稀に当日に離職するスタッフが出てきてしまいます。 まだ上記のように辞職の意を伝えて退職するケースはましですが、

    • 誰にだって羽目を外したいこともある

      皆さんそれぞれ、社内での立場、社会的ステイタス、家庭での役割など色々な顔を持っていると思います。でも、それは本当の自分でないと思うこともありませんか? 弁護士として働いていると、堅い、真面目、優等生、お高く留まっている、育ちがよい?、、、などの先入観で見られることが多いです。会議室では、時間レートでチャージされるからと世間話もままらなないこともしばしばです。すごく寂しく感じます。 先入観を壊してみたい野心が「スナックLIMEのママ」かもしれません。 クライアント様が描い

      • ゴール達成には2種類ある

        スナックLIMEを始めてから、よく聞かれる質問の圧倒的1位は、「なぜスナックを始めたんですか?」 です。つまり、スナックを始めた目的を聞かれるんですが、どうにもこうにもシンプルには答えられません。皆さま、すみません。 本業(弁護士)とスナック経営がかけ離れているから、聞きたくなる気持ちは分かります。 (逆の立場だったら私も絶対同じことを聞きますね。) 「こういうこと(=スナックのママをすること)をやってみたかったんですか?」ともよく聞かれますが、スナックのママをやりたいと

        • 【労働法改正】カジュアル雇用の定義と運用が変わります。

          2021年3月22日、フェアワーク法を改正する法案が議会によって承認されました。議会承認後の必要な手続きを経て、間もなく改正された内容が施行されることになります。 この改正の大きなポイントは、その定義を含めてカジュアル従業員に関して法律上の権利義務がはっきりしていなかった部分を一定程度明確化したという点です。法改正前は、下記に紹介する2020年判決のルールをもとに運用しなければならず、不確定な点が多く残されていました。これを払拭するという意味で画期的な法改正だといえます。

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        記事

          スナックLIMEは皆様の健康をサポートします。営業時間に込められた想い。

          3月25日は、お店に55インチのモニターを持ち込んで、皆さまとサッカー日韓戦を観戦しました。 実は、このテレビ観戦は、落ち着いたお店の雰囲気を壊したくないレストラン・オーナーとの間で押し問答の末に認めてもらったテレビの持ち込み企画でした。 掲げたテーマは「優雅にサッカー観戦」。そんな環境をいかに作るかに全神経を使って準備して、「人数は制限」「立ち見は無し」「照明は落とす」「お洒落なお酒を飲んでいただく」など、やることはやって、いざキックオフ。 日本代表が最初のゴールを入

          スナックLIMEは皆様の健康をサポートします。営業時間に込められた想い。

          試行錯誤の上でたどり着きました。カナッペ3品と1ドリンクのLIMEセットでお待ちしております。

          3月4日のソフトオープンから3回の営業日を終え、改善点は山ほど見えました。 その中でも最重要課題に挙げられたのが、料金設定やパッケージとフードの問題です。 初日は、$50でボリュームあるフードとドリンク2杯をセットにしましたが、次の問題が発生しました。 ① 2次会利用のお客様には、料理が多すぎる。 ② 2杯込みのパッケージは、誰が2杯目か3杯目かを把握が難しい(初日はお客様の愛の自己申告で乗り切りました) 2日目は、「テーブルチャージ$20でカワキもの付き」と「Lim

          試行錯誤の上でたどり着きました。カナッペ3品と1ドリンクのLIMEセットでお待ちしております。

          AgreementとDeedの違いについて

          オーストラリアで契約を締結する場合、「agreement」と「deed」の2の形式があります。日本ではこのような形式の違いがないこともあり、agreementとdeedの違いが何を意味するのか疑問に思われる方も少なくないのではないでしょうか。この記事では、agreementとdeedの違いに焦点を当てて説明をします。 __________________________ 1.Agreementには、当事者双方からの利益の提供が必要 ―――――――――――――――――――――

          AgreementとDeedの違いについて

          【会社法改正】「会社を不死鳥のように蘇らせることを禁止する」とは?

          ~Illegal Phoenixingを取り締まるオーストラリア会社法改正が施行~ フェニックスとは、死んでも蘇ることで永遠の時を生きるといわれる伝説上の鳥です。寿命を迎えると、自ら薪から燃え上がる炎に飛び込んで死ぬが、再び蘇るとされており、“不死鳥”とも言われています。 この不死鳥の名前に由来する“illegal Phoenixing”という行為は、次のような一連の行為を指します。 Illegal Phoenixingとは ① 会社の取締役らが、債務を免れるために新

          【会社法改正】「会社を不死鳥のように蘇らせることを禁止する」とは?

          法律事務所のマーケティングで核となるもの

          あるクライアント様からこんなメールをいただきました。 **(転送したメールの抜粋)** 勝田様 毎度お世話になっております。 先ほど、●●さんと一緒にランチをいたしました。勝田先生には会社設立のお力になっていただき、本当に有難かったと言っておりました。 **(後略)** マーケティングに関連して思うところがあったので、次のコメントを添えて、事務所内で共有しました。 ということで、今日の記事は、事務所内ではこんなマーケティングの話をしたという内容です。 **(転送

          法律事務所のマーケティングで核となるもの

          「無料なのに、こんなに丁寧に回答していただいてありがとうございます。」無料のQAに全力で回答するモチベーション。

          「新型コロナウイルス関連 COVID-19​事業主のための法律情報共有サイト」では、無料でコロナに関する事業主様からの質問にお答えしています。 かれこれ2020年3月20日前後から続けている活動です。 #もうすぐ1周年 「無料なのに、こんなに丁寧に回答していただいてありがとうございます」というのは、回答をした後によく質問者から返信いただく言葉です。 「いえいえ、とんでもないです。」「力になれて何よりです。」などと返信しています。これらは偽りの気持ちではありませんが、それ

          「無料なのに、こんなに丁寧に回答していただいてありがとうございます。」無料のQAに全力で回答するモチベーション。

          人を雇い続けて思う、一緒に働く人に求めたい資質。

          めずらしく、夜中に筆がスラスラ進みました。 職場では、業種や職位を問わず、どの組織からも求められる人は、こんな資質を持っている人なのではないでしょうか? (順不同です) 1.柔軟さ・適応能力 どんな職場もユニークで、同じ職場なんて2つとありません。正しい方針や仕事の方法も1つではないし、絶対的にいい企業文化なんてありません。もし、今の職場のやり方や考え方、カルチャーがよくないと思ったり、肌に合わないのであれば自ら去ればよいのであって、自分の知っているやり方や考え方が正し

          人を雇い続けて思う、一緒に働く人に求めたい資質。

          スナックLIME、始まりました。

          2021年3月4日、木曜日限定の社交場、「スナック LIME」が始まりました。 この日をソフトオープンとぼんやり決めたのはその1週間ほど前です。スナック経営どころか、接客業もど素人の私たちは、自信が持てるまでひっそり営業をしてみるつもりでした。ところが、初日ふたを開けてみると30名を超える方々のご来店! 「スナック LIME」のことを聞いた近しい方々が、みんなで集まって盛り上げてくれました。感謝しかありません。 お花もいただきました。みんな、ほんとに優しい。 ただ、正

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          オーストラリアにも警察による人種差別はある

          「Black Lives Matter」ー 黒人の命は大切だ アメリカで、人種差別に抗議するデモや暴動が起きている。 2020年5月25日、白人の警察官が、黒人であるGeorge Floydを逮捕する際に、無抵抗のFloyd氏の首を膝で8分以上押さえつけて窒息死させた。SNSで拡散されたその時の様子は、見るものに現実を突きつけた。未だ人種差別で人が死ぬ社会だという事実に、多くの人が怒っている。 オーストラリアにいる私たちも、この話とは無縁ではない。 それは、人種差別への反対する気持ちが世界共通だから? いや、それは、警察による人種差別がオーストラリアにもあるから。 冒頭のビデオは、奇しくもFloyd氏の事件の1週間後にシドニーのSurry Hills(サリーヒルズ)で起こった出来事です。警察官が、17歳のアボリジニーの少年を逮捕する際、足を蹴りはらい、体が宙に浮いた少年は顔面から地面にたたきつけられる様子が収められています。 *************************************** ▼オーストラリアの拘置所や刑務所で死亡したアボリジニー*************************************** 明るみになっている事件として、古くは1987年に、アボリジニーのArthur Moffatt氏が酔っ払って電車で寝ているところを逮捕され、警察の拘置所に入れられている間に死亡しました。死因は低血糖発作です。看守が食べ物を与えたり、適切な医療措置がなされていれば命を落とすような病状ではなかったはずでしたが、救急車が呼ばれたのも遅く死に至りました。 2015年には、26才のアボリジニーの受刑者が、George Floydと同じように胸を膝で押さえつけられ、「I can't breath」と同じ言葉を最後に死亡しています。 1991年以降、統計で分かっている範囲で432人のオーストラリア先住民が拘置所や刑務所で命を落としています。 *************************************** ▼いびつな先住民の刑務所人口 *************************************** 2020年6月現在、オーストラリアの先住民の人口は、全体の3%です。一方で刑務所で服役中の受刑者の中では先住民が30%を占めています。 このいびつな数字の差の分だけ「逮捕や裁判プロセス自体に人種差別がある」と言うのは安易な結論ですが、少なくとも、オーストラリアには、社会構造に編み込まれた「負の連鎖」や「人種差別」に先住民の方が今なお苦しんでいることは否定できないでしょう。 アメリカで起きているGeorge Floydの事件を、オーストラリア人も話題にしますが、まるで対岸の出来事として語れるほど自国の現状を知らない様子は、オーストラリアに存在する差別問題の根深さを物語っているのかもしれません。

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          テナントと大家で痛み分け ~オーストラリアの家賃問題の解消法~

          オーストラリアでは、大家とテナントが家賃の交渉をすることを強制し、大家が提示すべき家賃免除の割合などが連邦政府によって決められました。新型コロナウイルスの感染拡大で家賃の支払いが困難になった事業者に対する支援策の一環です。 対象になるのは、商業用の賃貸借契約のうち、入居している事業主の年商が50億豪ドル(約35億円)以下で、かつ、売上が2019年の同じ月か四半期の売上から3割減の場合です。 *************************************** ▶

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          コロナの法律情報を無料提供する理由

          オーストラリアにもコロナの波が押し寄せ、政府がどんどん政策を打ち出し始めた2020年3月半ば、事務所にも、大量のお問い合わせが届くようになり、すぐさま「コロナの法律情報の共有サイト」(www.lawshare.community)を立ち上げました。 配信登録いただければ、ご利用は完全に無料です。 コンテンツは情報提供だけではありません。質問にも回答しますし、動画で質疑応答のコミュニケーションもあり、テンプレートも公開しています。しつこいですが、これらのコンテンツは無料です

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          弁護士が専門家と言われる理由

          オーストラリア政府がJobKeeper制度(制度の内容はこちら→https://www.lawshare.community/infosheet)を発表してから、弊所にも色々な質問が来ます。「こんな情報があるんですが、本当ですか!?」という情報確認系の問い合わせもあれば、「弁護士に説明してもらわなくても、自分で調べる!」ということで、「関連する情報源を教えてください」と言われることもあります。そんな時は、「本当に自分で調べるのだろうか。。」と半信半疑で情報だけとにかくお渡しす

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