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オーストラリアの法律

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記事一覧

飲食店の新人スタッフの離職と給与の支払い義務について

事務所に寄せられたクライアントさまのご質問にお答えします。

Q: 

勤務開始から2日目に「働き続けられません」と新人スタッフから連絡がきました。トライアル後に続ける意思があることも確認してから採用し、1日(8.5時間)の勤務をしています。この1日勤務のみで退社となりました。

弊社での仕事はお客様の数も多い事もあり、上記のように新人スタッフには予想外の労働環境で、稀に当日に離職するスタッフが出

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【労働法改正】カジュアル雇用の定義と運用が変わります。

2021年3月22日、フェアワーク法を改正する法案が議会によって承認されました。議会承認後の必要な手続きを経て、間もなく改正された内容が施行されることになります。

この改正の大きなポイントは、その定義を含めてカジュアル従業員に関して法律上の権利義務がはっきりしていなかった部分を一定程度明確化したという点です。法改正前は、下記に紹介する2020年判決のルールをもとに運用しなければならず、不確定な点

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AgreementとDeedの違いについて

オーストラリアで契約を締結する場合、「agreement」と「deed」の2の形式があります。日本ではこのような形式の違いがないこともあり、agreementとdeedの違いが何を意味するのか疑問に思われる方も少なくないのではないでしょうか。この記事では、agreementとdeedの違いに焦点を当てて説明をします。

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1.Agreementに

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【会社法改正】「会社を不死鳥のように蘇らせることを禁止する」とは?

~Illegal Phoenixingを取り締まるオーストラリア会社法改正が施行~

フェニックスとは、死んでも蘇ることで永遠の時を生きるといわれる伝説上の鳥です。寿命を迎えると、自ら薪から燃え上がる炎に飛び込んで死ぬが、再び蘇るとされており、“不死鳥”とも言われています。

この不死鳥の名前に由来する“illegal Phoenixing”という行為は、次のような一連の行為を指します。

Il

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