【小説】アラサー公務員と仕事サボりのプロ・第1話【フィクション】
6月下旬、まだまだ梅雨空が続く金曜日。
この日の鈴木は、とても憂鬱だった。
「これ、絶対佐藤さんだよなぁ……」
鈴木はとある市役所で働く地方公務員だ。
大学新卒で入庁して10年目。そろそろ中堅職員と呼ばれる年代だ。
「こんなの見つけなきゃよかったなぁ……」
冷房の効いた室内で誰にも聞こえないように一人つぶやく。
今は昼休みで、職員のほとんどは、一時的に仕事から解放された時間を楽しんでいる。
市役所の昼休みは、活気と静けさが共存する場所だ。
机の上には手作り弁当や仕出し弁当が並