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年収800万借金まみれの男の話

或る九州男児

男は三年前、地元のある九州を飛び出し
関東に流れ着いた。男と職を共にする女と同学年、同い年であり気安く話しかけてくる偉そうな態度が疎ましい。

男は死にものぐるいで違う世界の仕事を覚え、夜の街を掌握する仕事から、日中陽を浴びて金を稼ぐ仕事に馴染むよう努力を重ねた。

狡猾な男は、自分の欲の為や立場を保つ為に職場の人間関係をクラッシュすることを厭わない。夜の世界で甘いも酸いも味わってきたのか、嘘を吹聴し人の印象を操作することに非常に長けており、大口を叩き自分の事を必要以上に大きく見せ、他人を前にしバリアを張る。

人より仕事ができる為、社長の信頼を得た男は仕事上では組織に欠かせない人物となっている。そこに漬け込んだ男は社長をATMの如く使い、その借金は100万円超に膨れ上がっているのである。

長距離に出るから金がない、やれ3万円
年増の彼女に追い出され家を弟名義で借りる、やれ50万円。ネットで知り合った女を呼ぶから新幹線代、やれ3万円。皆んなで麻雀代やれ5万円。

そんな男はピーク時手取り70万円ほど給料としてもらっている。金を使い果たす理由は博打である。だから社長に金を借りる。
麻雀、パチスロ、競馬、競艇
忙しい合間を縫い、あらゆる博打に金を溶かす。人より多く税を納め、人より多く金を稼ぐ。しかし手元に金はタバコ銭ほどしかない。

全く、男の博打のセンスのなさには失笑するしかない。

男がもしクレジットカードを作り、サラ金で金を借りる事ができる身分ならば、きっと借金まみれで首が回らなくなり、もう既に関東にはいないだろう。

そんな男を甘やかし、金を貸してやっている社長の堪忍袋の緒が切れるのはいつだろうか。
人から借りた金で偉ぶる小物じみた生活のくせに、上から目線で潰すような物言いをしてくる傲慢な男を嫌う女は、男が会社から消えるのを、世から抹殺されるのを今か今かと待ちわびている。

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