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形而上エッセイ「分かる人にしか分からない話」

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#考える

交わりはただ始まってただ終わる

別れについて以前書いた(気がする)。もう一度同じようなことを書く(ことになるかもしれない)けれど、いったん交わりを結んでも、もしもなんか違うなと思ったら、交わりを断って構わない。そうして、新しい交わりを探しに行く。それは不実なナンパヤローの振る舞いのような気がするかもしれないが、そうではなく、ただ、その交わりが短命だっただけのことである。「あの人を見誤っていた、あんな人と付き合わなければよかった!

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日に三回じゃ足りない反省

曾子《そうし》という昔の偉い人の言葉に、「われ日にわが身を三省す」というものがある。自分がつまらないことをしてないかどうか、一日に自身を三回省みるというのである。こういう日めくりのカレンダーに書かれているような眠たげな言葉には、実は、人の目を開かせる力があって、先日、つくづくとこの格言について思い知ることがあった。

詳細は省くが、わたしはここでちょくちょく勢いのあることをぶち上げているにも関わら

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わたしが矛盾していたら、それは世界のせいだ

同じようなことばかり書いているような気がする……という枕詞を以前に使ったことがあったようななかったような、多分あったような気がするが、そのときは、なにやら同じようなことばかり書くことに関して言い訳したかもしれないが、面倒なので、もう言い訳はやめる。同じようなことばかり書いているのは、同じようなことしか考えないのと、あとは、前に書いたことをはっきりと覚えていないからである。

同じようなことならまだ

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美人の条件 ~日常に美を求めること~

只見線という鉄道路線が人気である。只見線は、福島県会津若松市の会津若松駅から新潟県魚沼市の小出駅までをつないでいるものである。絶景の秘境路線ということで海外にまで知られるようになっているらしい。せっかく福島に住んでいるので、そのうち乗ってみようかと思っているのだけれど、なかなか機会を得ないでいる。

ただ、いざ乗るとなれば、できるだけ人がいないときに乗りたいものである。人気路線だから、人がいないと

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生き方は決して間違えることができない

自分の生き方が間違っているんじゃないかと、たいていの人が考えたことがあるのではないか。ああもできた、こうもすべきだったと過去を後悔し、このままでいいのかいけないのかと未来を悩む。ハウツー本を読んでも何となく納得できず、宗教に従おうとしても信仰心が起こらない。

なに、そんなに悩むことは無い。間違いというのは、基準ありきの話だ。何か一つの基準があって、それに適合すれば正解、不適合だったら間違いになる

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自分の頭で考えるヒント10 ~自分の感覚を手放さない~

何を考えるにしても、自分の感覚を手放さないことが大切である。たとえば、何でもいいのだけれど……えー、例によって何にも思いつかないので、またYAHOO!ニュースのランキングが高いところから引っ張ってきます。日刊スポーツの記事です。

「人手不足で24時間は限界」と2月1日から自主的に営業時間を短縮、本部から違約金約1700万円とフランチャイズ契約の解除を求められた大阪府東大阪市のセブン-イレブンオー

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自分の頭で考えるヒント9 ~問題を一般化しないこと~

ある事件を聞いたときに、人はその事件から、事件そのものを見ずに、自分がその事件から問題だと思うものを見る傾向がある。それは考えるとは言わない。見当外れのことを思い悩んでいるだけである。いや、わたしは、事件から問題を正確に把握することができるという自信がある方は、ちょっと以下のニュースを読んでもらいたい。2月26日(火)の千葉日報のニュースである。

松戸新京成バス(松戸市紙敷)の路線バスの男性運転

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noteを読んでもらえるのはありがたいが、

ただ読んでもらうだけでは何もありがたくはない。ただ消費されるための文章を書いているつもりは全く無い。読んだからには、何かを得て帰ってもらいたい。その何かとは「問い」である。納得なり反感なりは、まあ勝手にすればいい。しかし、そんなものを得ても何にも意味が無いということは以前書いた。大事なのは問い。問いとは、そこから自分で考えることができるきっかけのことだ。

あるnoteを読む。読んだnoteから問

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自分の頭で考えるヒント7 ~自分の感覚を信じる~

生き方に関して、世の中にはいろいろなアドバイスがある。

いわく、「自分が好きなことをしろ」
いわく、「当たり前のことに感謝せよ」
いわく、「明日死ぬと思って今日を過ごせ」

などなど。

これらのアドバイスについては、納得できるものはそれを受け入れればいいだろう。しかし、納得できないものについては、受け入れてはいけない。たとえば、「自分が好きなことをしろ」というアドバイスに従ってみたとする。しか

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自分の頭で考えるヒント6 ~あるものとその比喩の関係~

人生は旅のようなものだ、という言葉を聞いたことがないだろうか。どちらも、一つ所に立ち止まることはできず、次に何が起こるか分からないというような意味である。そう聞くと、なるほど確かになあという気持ちがする。納得、納得。

さて、しかし、この、「○○は△△のようなものだ」という言い方に少し気をつけてみよう。人はあるものについて考えるときに、それと類似する物について考えることで、安心する。人生とは何かと

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自分の頭で考えるヒント5 ~相対主義を取らない~

価値相対主義という言葉をご存知だろうか。何も難しいことはない、みんな違ってみんないい、というヤツである。一人一人価値観は違うのだから、何を正しいと思うかは人それぞれだ、という考え方のことを言う。よく聞くんじゃないかな。あるいは、知らず知らずのうちにそういう考え方をしている人が多いのではないか。

実生活を送る上では便利な考え方なので、それに従っておくに越したことはない。「わたしはわたしが正しいと思

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自分の頭で考えるヒント4 ~分かった振りをしない~

昔、孔子という偉い人が、分からんちんの弟子にこんなことを言った。

「『分かる』ということがどういうことかを教えてやろう。分かることは分かることだと認め、分からないことは分からないことだと認める。これが、『分かる』ということだ」

なにやら、分かるような分からないようなお説教である。これを聞いた弟子は師の意図するところが分かったのだろうか?

人は分かるということが大好きである。特に難しいことを分

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自分の頭で考えるヒント3 ~本は要約するな~

自分の頭で考えるためのヒントとして、今回は、読書の仕方について書きたい。みんな、読書は好きだろうか。わたしは好きで、ちょこちょこと読んでいる。まあ、活字が無いと生きられないというような中毒者ではなく、たしなんでいる程度であるが。

自分の頭で考えるということを徹底すると、本も読まなくていいということになるけれど、一人の頭には限界があるということもまた事実である。その限界を突破するために、本を利用し

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