自分の頭で考えるヒント10 ~自分の感覚を手放さない~

何を考えるにしても、自分の感覚を手放さないことが大切である。たとえば、何でもいいのだけれど……えー、例によって何にも思いつかないので、またYAHOO!ニュースのランキングが高いところから引っ張ってきます。日刊スポーツの記事です。

「人手不足で24時間は限界」と2月1日から自主的に営業時間を短縮、本部から違約金約1700万円とフランチャイズ契約の解除を求められた大阪府東大阪市のセブン-イレブンオーナー松本実敏さん(57)。午前6時~翌日午前1時の19時間営業にして1カ月が過ぎました。

これに対して、全国各地のコンビニオーナーから激励の手紙や電話が届き、直接話がしたいと同店に赴くオーナーまでいるようです。一方で、

「おまえらコンビニやろ。24時間やれよ! 何を言うてんねん。おまえら奴隷でええんじゃ!」

という非難の電話もあるようです。

この「人手不足でコンビニ24時間営業は限界」という問題に関して、あなたはどう思うだろうか。「現に人手不足で限界だっていうなら無理でしょ」と思うか、「いやいや、これまでやってたんだし今も立派に24時間やっている店もあるんだからやれよ」と思うか。「どっちでもいい、そもそも、コンビニ行かないし」と思うか。どう思ってもいいのだけれど、自分の頭で考えるためには、そのとき、そう思った自分の感覚を決して手放さないようにすることが大切である。

この点、自分の感覚に固執する人は、視野が狭い人だとして非難される傾向がある。一方で、自分の感覚に固執しない人、「わたしはこう思うけれど、あなたはそう思うんですね。なるほど、わたしの意見とは違いますが、あなたの意見も尊重します」という人は、視野が広い人だとして尊敬を受ける。もしも、あなたが自分の頭で考えるのではなく、ただ他人の考えをコレクションしたいというのであれば、そのように視野を広くするだけでいい。視野を広くして、自分の意見も肯定せず、他人の意見も否定しないという姿勢であれば、色々な考えがあなたのもとに集まってくることだろう。しかし、それは自分の頭で考えているとは言わない。

他ならぬあなたの頭で考えたいというのであれば、自分の感覚に固執することが重要である。しかし、ただ固執しているだけでは、それも考えているとは言わない。ただ固執するのではなく、徹底的に固執する。たとえば、この問題に関して、「いやいや、これまでやってたんだし今も立派に24時間やっている店もあるんだからやれよ」と思ったとする。その思いは決して手放さない。誰に何と言われようと、頑として曲げない。そうしておいて、しかし、自分がどうしてそういう思いを抱いたのかということを、じっと見つめるのである。

そうすると、コンビニの24時間営業を当然だと思う気持ちの裏には、たとえば、自分が深夜コンビニに行くことが多いので営業していないと困るという個人的事情や、労働は美徳なんだとする社会的価値観など、透けて見えてくるものが必ずあるはずである。そうすれば、そこからさらに、自分の個人的事情をコンビニに押しつけることの是非とか、労働は美徳だという価値観の是非とか、そういう問題を考えることができる。その問題は、他でもない自分の問題である。自分の問題を考えることが、自分の頭で考えるというそのことだ。そのためには、自分の感覚を手放さないこと。知るべきことは、他人の意見の中にではなく、自分の感覚の中にある。

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