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SDGsならぬIDGsってみなさまご存知?

【追記】書籍化決定しました!

去る4月29日に開催された、Inner Development Goals(IDGs)の国際会議、IDGs Summit 2022にオンラインで参加してみました。
今回はサミットのレポートの前にIDGsについての記事にしてみようと思います。
Summit公式ページ

入門記事

IDGsとはなんぞ?

もうすっかり世の中的にSDGsは定着した感がありますが、SDGsだけでは足りない、精神、内面(Inner)も同時に高めなければ、世の中は良くならないし持続可能な社会は実現できない。内面の成長を促すことは必要不可欠だ。と内面の成長目標を国際的に策定しようという試みのようです。とはいえまだ枠組み自体を検討の最中。
今後どうなっていくかわかりませんが、コスタ・リカではすでに国を挙げて枠組み策定に乗り出しリーダーシップを発揮し、ルワンダも積極的に推進し始めています。
アカデミックでは、ハーバード大学やストックホルム大学などが、実業界からはGoogle、IKEAなど世界的な企業もパートナーとして参画。
サミットもポジティブな空気が流れ、会場を巻き込んだ講演が続き異様な盛り上がりの中終了しました。
今後目が離せない展開になりそうです。

Inner Development Goals公式ページ

IDGsについては、上記リンクも参考ください。現在フレームワークが策定され23のスキルと資質を5つのカテゴリーで整理されています。
このフレームワークは、1,000人を超える人々が関与する広範なアウトリーチ協議の後に、国際的な研究者のチームによって開発されたとのことです。

しかしながら、日本ではまだまだ認知度も低く情報源も少ないです。
ご参考のリンク:キャリこれ研究所の水野様の記事

なぜ内面の成長なのか?

少し寄り道しながら、なぜ内面の成長が必要なのか氷山モデル(後述ご参考)を用いながら書いていきます。
世の中の出来事や行動は、時系列で観察するとパターンが見えてきます。突発的に見える事象もよくよく観察すると何かの因果関係が見えてきてパターン化できたり、予兆があったりするのが常です。
その1.出来事は断片的に見るのではなく、時系列で見ていくとパターンとして認識することが出来ます。
その2.出来事のパターンを発見することが出来たら、次にそのパターンを生んでいる構造すなわちシステムを明らかにしていきます。

出来事のパターンは、構造的なものが生み出しています。
システムを構造的に考える方法はシステム思考と呼ばれ近年はビジネス業界のみならず、ソーシャルセクターでも必要性が高まり認知度が高まっていると思います。
有名どころでは、ザ・ゴールの著者ゴールドラット博士が提唱していた制約理論(TOC)もシステム思考が使われています。
その3.構造の裏に隠れているのは関係者のメンタルモデル。
構造は何から生み出されているか?システムを生んだ人やシステムに関与している関係者のメンタルモデルです。メンタルモデルは、マインドセットに近い言葉ですが、「頭の中にある「ああなったらこうなる」といった「行動のイメージ」を表現したものである。」とwikiでは出てきます。

氷山モデル

上記は氷山モデルと呼ばれ、学習する組織でもメンタルモデルの理解が大事な領域として語られています。

SDGsの課題も根っこを辿れば、個人個人が持つメンタルモデル(内面)が構造を生み出し、構造がパターンをそして出来事を生み出しているということ。
技術的な解決策や、政策等で構造への介入も有効で必要ですが、同時に個々の内面の成長が不可欠ということになります。
ここに一つ付け加えるとしたら、メンタルモデルと構造はお互いに影響し合っているだろうということです。
構造はメンタルモデルの反映であるが、メンタルモデルは構造の影響も受けているはずです。
社会学にお詳しい方は、ブルデューのディスタンクシオンあたりを思い出されるのではないかと思います。ブルデューさんは、ハビトゥスという言葉で身体に刻み込まれた、行動・知覚・評価の図式のことを表現しました。
ハビトゥスは社会構造によって条件づけられると。
私たちは自由に趣味を選んでいるつもりで、実は育った環境や親の影響、経済的な環境の影響を受けて狭い範囲で趣味を選ばされていると言います。
つまり、私たちのメンタルモデルは、社会構造や生活環境によって身体に刻み込まれていくと言えるのではないでしょうか。

もう一点追記しておくと、人類の活動が地球環境へ無視できないほど大きな影響を与えるようになり、人新生の時代と言われるようになりました。
人新生の時代になったからこそ、人類のもつメンタルモデルが世の中に与える影響が大きくなり、改めて内面の重要性を見直すタイミングと言えると思います。

日本のDXとデンマークの事例

内面の重要性を示唆する例を挙げてみます。
足元をみると日本においては、政府の電子化がなかなか進んでいません。
進んでいると言われる欧州はどうでしょうか?気になって調べた時の書籍を紹介します。
デンマークのスマートシティ:データを活用した人間中心の都市づくり
です。

デンマークでは、電子化がかなり進んでいるようです。2019年の書籍ですが、デンマークの様子をうかがい知ることができるこちら。
「デンマーク近代教育の父」と言われるグルントヴィの教育改革の話から始まり、政府の電子化やイノベーション創出のプラットフォームなどデンマークの事例を学ぶことができる書籍です。
デンマークについては、興味を抱き一時期調べていたことがありますので、過去調査の情報を載せておきます。一つ一つの根っこにある考え方の違いを伺い知ることができるでしょうか?

デンマークのエコビレッジ建設プロジェクト

我々も「緑の再構築」を。

デンマーク×ヒュッゲ×女性の社会参画×新型コロナウィルスへの取り組み

デンマークの理念、グルントヴィ の教育思想から生まれたフォルケホイスコーレ。

日本でもデンマークのような動きをして欲しい。

楽しみながら核心に迫っていく雰囲気。こんな学校があるデンマークはやはり見習うところたくさんありそうです。

デンマークの働き方。まずはヒュッゲの概念を認識することから。

結論:内面(精神面)と外面(物質面)の両面の成長が必要

つまるところ、欧州の国々は、自治を勝ち取ってきた歴史があり、自治や自己認識の仕方が現代の日本人とかなり異なっているということ。積極的に関わる自主的な意識があるからこそ、電子政府や医療の電子化など進んでいると言えそうです。うまく行っている国や企業の技術や枠組みだけ導入しても本末転倒で、関わる人の意識がないと成功しないのは、よくあることではないでしょうか。
少し、遠回りしましたがなんとなく理解いただけたでしょうか。SDGsも目標だけ設定しても関わる人がビジョンに共感してコミットしなければ、絵に描いた餅になって違った結末を迎えてしまうということです。
だからこその、IDGsということではないでしょうか。

今回は、IDGs Summit 2022の参加レポートの前に、なぜIDGsなのか、デンマークの事例を交えながら紹介してみました。
次回、IDGs Summit 2022の紹介に入りたいと思います。

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