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音楽を通して伝える笠間の民話

5/18かさま歴史交流館井筒屋と、昨日6/15枯星森安息所で開催されたこの公演。この3,4年の間に琵琶奏者と石引康子さんと作ってきた新しい形で地域に伝わる伝説や伝え話、歴史などを届けてきています。

枯星森安息所にて

この公演をするに至ったのは、2020年の夏頃に地元の民話の本を読んでいた時に、はたして今現在これはみんなに読まれていて、知られているものだろうか?このスマホ依存のような時代に地域の本を読んだり、地元の昔の話を知る高齢の方々からお話を聞いたり、なんてことはあるのだろうかと考えることがありました。そして、個人的に琵琶が語る平家物語がとてもかっこよくて、琵琶という楽器に惹かれていたこともあり、康子さんに相談して、作曲とかなにもしたことはなかったのですが、この形を作ることをやり始めました。音楽を通して幅広い世代やエリアの人に、自分がこの話は後世に残って欲しいと思うものを、自分なりの発信方法で知ってもらえたら、と思っています。

井筒屋にて

こういう公演をしていると嬉しいのは、地域の歴史に詳しい方、そしてその民話が生まれた里の地理に詳しい方、など音楽や民話そのもの以外の方向から切り込んで下さる方々に出会えることです。
井筒屋の公演の前には、片庭の姫春蝉について取り上げるということで、井筒屋館長の梅原さんに笠間のジオガイドさん達にその周辺のまつわる場所を紹介していただき、みんなで歩きました。その土地を歩くと、たとえばどの道のりを歩いて、どのくらいの思いで弘法大師を姫は追いかけてきたのか、など肌で感じて分かることも多かったりします。音楽はそれぞれメンタルなり、そのイメージなりとリンクする部分がとても多いので、こういった体験はとても身になりました。

井筒屋で使用した、民話の里歩きの報告付きプログラムの一部

歴史の方向から見ても、史実にこういうことがあるということは、実際はもしかしたらこの話関連の出来事だったのかもしれない、とか、照らし合わせることで物語にさらに深みが増したりもします。
コンサートに来る皆さんと、こういった分野の方々との交流もまた、それぞれの視野が広まるという素晴らしい化学反応もあったりして、この形はこれからも続けていきたいなと思ってます。

民話の語りという伝え方も、多くの方々の間でとても人気で、笠間や茨城にも色々な会が存在しますが、高齢の方々がとても多く、今しか聞けないものが沢山存在しています。それを継承する人もまただいぶ年配層だったりすると、だんだんとそれが高齢コミュニティだけの小さな世界なものになってしまう心配を少しだけ感じています。できれば、20,30代の世代にもこういうものが存在するんだよという情報だけでも興味を持って知っててもらえるだけでも、地域に伝わる話はその後も知られ続けるんじゃないかと自分は感じていて、こういった活動を通して、できる話には限りがありますが、取り上げ続けて知ってもらえたらいいなと思ってます。

枯星森安息所にて

会場や演目によって来る方々も変わりますし、それによって知られる世代も変わります。そして様々な情報をくださる方々の話に耳を傾けながら、できる限り偏りなくさまざまな会場でこの公演を2人で続けていけたらいいなと思ってます。そして、こういったものを初演するのに大切なのは、それを面白がって受け入れてくださる聴衆の皆さんで、笠間の皆さんがそれをあたたかく受け入れてくださっているのがとても嬉しいです。

そしていつも素晴らしい演奏と、この企画を理解して一緒に演奏してくださって、一緒に作ってくださる石引康子さんにも本当に感謝感謝です。

井筒屋にて

ちなみに次回は少し脱線して、落語とコラボした怪談になります。落語とは一眼国や孫帰る、2人では葵上を演じる予定です。ぜひ、この形を体験していただけたら嬉しいです!

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