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春分の満月、西行の桜と如月の望月。【二十四節気・春分】

2019年の春分は満月と重なる、「だけ」ではない。

桜の開花宣言も出て、暖かく春らしい日差しが麗らかな今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

今日は日本の祝日「春分の日」。この「春分」とは、二十四節気の一つで、太陽が黄経0度(春分点)に達することを言います。この日の太陽は、真東から昇って真西に沈み、昼と夜との長さがほぼ等しくなります。

2019年3月21日は、春分と満月の日が重なる日ですがが、今日はもうひとつ、今日の満月と関わる興味深い和歌のお話をご紹介します。

「願はくは花の下にて……」西行の和歌に詠まれた日


「願はくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ」(西行)

もし願いが叶うなら、春、桜の花の下、旧暦二月の満月(十五日)頃に死を迎えたい。

平安時代の歌人・西行法師は、武家の家に生まれた後、出家して和歌の旅に出て、数々の名歌を詠んだ中でも、特に有名な晩年の一首です。

如月(きさらぎ)の望月、つまり旧暦二月十五日(現代の暦では3月頃)は、釈迦(ブッダ)の入滅日(命日)とされています。桜の歌を数多く詠み、仏教に帰依して出家し、武士から僧となった西行らしい和歌と言えるでしょう。

そんな西行、実際にはいつ亡くなったのかというと、旧暦二月十六日。誤差は僅か一日と、奇しくも自らが詠んだ和歌の通りの最後を迎える事となり、その見事な生き様は、同時代に生きた藤原定家や慈円といった歌人にも絶賛されました。

そして、2019年3月21日の春分の日は、ちょうど旧暦二月十五日にあたり、満月だけでなく、西行が歌に詠んだその日とも重なる日でもあるのです。

この機会に、古の人も心を寄せた月や花に眼を止めてみたり、西行のように理想の在り方について改めて考えたりするのも良いかもしれません。

「春分」の内の七十二候

雀始巣(すずめはじめてすくう)3/20〜3/24頃
スズメが巣作りを始める頃の意。紫式部による王朝文学の名作『源氏物語』には、紫の上が飼っていた雀が逃げてしまう有名なシーンがあるなど、雀はとても古くから親しまれてきた鳥です。

桜始開(さくらはじめてひらく)3/25〜3/29頃
その名の通り、桜が咲き始める頃の意。今年の桜の開花宣言は例年より4日ほど早いそうですが、桜の時期は地域だけでなく、桜の花の種類によっても様々です。開花宣言にも使われている染井吉野は例年4月頃が見頃ですが、河津桜など2月〜3月に見頃を迎える桜もあります。
香道で行われる香遊びのひとつ、組香には、古今集の紀貫之の和歌「桜花咲きにけらしもあしひきの山のかひより見ゆる白雲」にちなんだ、その名も「桜香」というものがあり、この季節になるとよく使われます。

雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)3/30〜4/3頃
春は天候が不安定になりやすく、雷が鳴り響く頃の意。春になり暖かくなってきている頃とはいえ、突然の雪や雹に見舞われる事もあります。

次の「清明」は4/5頃に更新予定です。
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春の天気は気まぐれで変わりやすいので、花冷えに気をつけて、暖かくしてお過ごしくださいね。

madoka 拝

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