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DJM-ドイツ柔道部物語-

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ドイツでの柔道指導や柔道事情に関する記事をここにまとめていきます。
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記事一覧

十八本目 「ドイツ柔道連盟の柔道家の育成指針〜昇級・昇段審査の教則モデル〜」

十八本目 「ドイツ柔道連盟の柔道家の育成指針〜昇級・昇段審査の教則モデル〜」

今回のDJMでは、ドイツ柔道連盟(以下DJB)が2022年7月に昇級・昇段審査の内容とコンセプトを大きく改定したので、その新しいシステムについて翻訳を進めながら自分なりの解釈を交え解説をしていきます。

最近、全日本柔道連盟から「長期育成指針」が発表され、ドイツ柔道連盟のこの教則モデルは「長期育成指針」の比較対象になるかなと思い、大まかでまだ完全に咀嚼できていない部分もありますがざっと調べてみまし

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十七本目 『トレーナーアカデミー』

十七本目 『トレーナーアカデミー』

今回の記事では2020年7月からこれまで三年間に渡ってドイツのアカデミーで学生となって勉強してきて、「Diplom-Trainer」というドイツオリンピック連盟が定めるスポーツ指導者として最高位のライセンスを取得したことについて書いていきます。

おそらくためになる知識などはなく、ただただ自分にとってとてつもなく困難な挑戦であったドイツのアカデミー(大学に相当)で勉強をやり切ったという喜びを表現し

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十六本目 『柔道サマースクール@リンダウ(Lindow)』

十六本目 『柔道サマースクール@リンダウ(Lindow)』

今回は8月7~13日にベルリン郊外のリンダウという街で開催された柔道のインターナショナルサマースクールについてのレポートです。

それでは参りましょう。「はじめ!」

柔道サマースクールとは柔道のサマースクールと言われても、あまりピンとこないとは思いますが、ドイツの夏休み期間中にスポーツ学校などで開催される柔道の講習会・交流イベントのことです。

今年で47回目の開催となったこのイベントですが、今

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十四本目 『海外での指導のメリット』

十四本目 『海外での指導のメリット』

今回のDJMは海外での柔道指導を通じて、自分自身の役に立った経験をつらつらと書いていくだけの記事です。

何かのメソッドとかではないですが、ご興味あれば目を通して見てください。

それでは参りましょう。「はじめ!」

柔道の多様性まず1番のメリットとも言えるのは日本で生まれた柔道という武道が世界でどのように広まって教えられているのかを身を以て知ることができたことでしょうか。

国が違えば文化も違う

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十三本目 『ヨーロッパの技術指導』

十三本目 『ヨーロッパの技術指導』

今回のDJMでは、僕自身が技術指導をするときに重要視していることについて書いていきます。

早速キーワードだけ書いておきます
①分析→細分化
②仮説思考→根拠づけ
③単一的→複合的

これらのキーワードをもとに自分がドイツでどのように技術指導をしているのか紹介したいと思います。

それではまいりましょう。「はじめ!」

日本とドイツの指導方法の違いまずは日本とドイツの指導方法と教育制度の背景を比較

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十二本目 『背負投による肘関節損傷の予防方法の提案』

十二本目 『背負投による肘関節損傷の予防方法の提案』

今回の"DJM"では背負投による肘関節損傷の予防方法について自分なりの考えをまとめていきます。

それでは参りましょう。「はじめ!」

この記事を書こうと思った動機これまで背負投を練習してきた柔道家の中には同じような問題を抱えている方も少なくないと思いますが、僕自身も今現在、右肘に爆弾を抱えている状態で不意に肘関節に負荷がかかると肘の内側の靭帯に激痛が走り、まったく力が入らない状態になります。

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十一本目 『ランデストレーナーのお仕事(1)』

十一本目 『ランデストレーナーのお仕事(1)』

今回のDJMは僕自身の仕事内容についてです。
その仕事は多岐に渡るのでもっと詳しいことは今後何回かに分けてゆっくり書いていきます。

海外の指導者がどのような仕事をしているのか、また海外で指導者になるにはどのような能力が求められているのか、「将来海外で指導をしてみたい!」という方の参考になれば幸いです。

ついでに自分のするべき仕事を再確認するためにこの記事を書いています。笑

それでは参りましょ

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十本目 『自分の柔道スタイルについて考える(後編)』

十本目 『自分の柔道スタイルについて考える(後編)』

さあやってまいりましたDJM記念すべき第十本目!!
気がつけば最初の記事を書いてから半年が経っていましたね。
なんというスローペース。笑
まあ気楽に自分のペースで更新していきます。

前回は「自分の柔道スタイルはどうのようなものか?」を考えるために、自分の柔道のコンセプト、各方向への投げ技、組手・状況別の序列を書き出すという作業を行いました。
↓詳しくは前回の記事を参照してください↓

今回の後編

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九本目 『自分の柔道スタイルについて考える(前編)』

九本目 『自分の柔道スタイルについて考える(前編)』

Frohes neues Jahr!!(あけましておめでとうございます。)

めちゃめちゃ久しぶりのDJMです。

ドイツでは昨年11月から再びロックダウンに突入し多くの選手が畳の上での練習ができない状態が続いております。国内国外で感染者が増え続けている状況をからまだまだ終息の目処は立っていません。

これまでの2ヶ月ほどは仕事も大学の講義もオンラインですることがほとんどだったので11月には有給を

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八本目 『合理主義国家ドイツで学んだTTAとは』

八本目 『合理主義国家ドイツで学んだTTAとは』

Herzlich willkommen zu DJM!!(←DJMへようこそ!!)

今回の"DJM"では僕がドイツで指導者になってから知ったドイツ柔道界の驚きの文化について書いていきます。

それでは参りましょう。「はじめ!」

TTA?なにそれ?おいしいの?みなさんの頭にたくさんの???が浮かんでいるのが想像できます。

TTAとは…

Technisch-(技術的)
Taktisches(戦

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七本目 『ドイツで柔道指導者の駆け出し時代にやって良かったこと・悪かったこと』

七本目 『ドイツで柔道指導者の駆け出し時代にやって良かったこと・悪かったこと』

Hallo zusammen!! (←Hello Everyone!!のことです)

"DJB"の江口貫拙です。今回もよろしくお願いします。

前回・前々回と技術的な考察を記事にしましたが、今回は指導者になってからの自分の起こした行動・失敗談などを振り返りつつ、自身の経験をつらつらと書いていこうと思います。

それではまいりましょう。「はじめ!」

英語 or ドイツ語?やってよかったことの1つ目

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六本目 『柔道衣の握り方の考察』

六本目 『柔道衣の握り方の考察』

久しぶりの更新になりました"DJM"『ドイツ柔道部物語』

前回の記事は思っていたよりも反響があり、様々な柔道関係者の方々からご意見やご感想をいただきました。本当にありがとうございます。

さて今回は、前回に引き続き柔道衣の握り方についてさらに考察していこうと思います。

それでは参りましょう。「はじめ!」

Twitterでのご意見前回の記事をTwitterの方でも掲載したところ非常に興味深いご

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五本目 『柔道衣を中指・薬指・小指で握る理由』

五本目 『柔道衣を中指・薬指・小指で握る理由』

約一週間ぶりの更新となりました『ドイツ柔道部物語』通称"DJM"
今回は柔道家なら一度は聞いたことがある道衣の握り方についての僕の考えを書いていきます。あくまで僕個人の意見なので「ほえ〜こんな考え方もあるんやな〜なるほど〜」ぐらいの気持ちで読んでください。

それではまいりましょう。「はじめ!」

なぜこの三本?よく言われるのが、
「中指・薬指・小指でしっかり握り、人差し指・親指は道衣に添える程度

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四本目 『目指せブンデスリーガ~Mission2020~』

四本目 『目指せブンデスリーガ~Mission2020~』

DJM『ドイツ柔道部物語』第四本目は前回に続きブンデスリーガについて書いていこうと思います。と言っても今回は僕自身がブンデスリーガで試合をするに至るまでの経緯を知ってもらおうという内容です。

それでは参りましょう。「はじめ!」

すべてはここからはじまった! -Bezirksliga-Bezirksliga(ベツァークスリーガ)とは前回説明したように、デュッセルドルフ市とその近郊の町にあるクラブ

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