Kansetsu Eguchi

2013年渡独。2019〜2022年ドイツNRW州柔道連盟で女子ジュニア監督。2022…

Kansetsu Eguchi

2013年渡独。2019〜2022年ドイツNRW州柔道連盟で女子ジュニア監督。2022年5月〜ドイツ柔道連盟でケルンNTC女子シニアコーチ。ケルントレーナーアカデミー27期生。主にドイツの柔道事情や指導者としての活動、大学での勉強、たまに海外子育て事情などを書いています。

マガジン

  • DJM-ドイツ柔道部物語-

    ドイツでの柔道指導や柔道事情に関する記事をここにまとめていきます。

  • Cologne Trainer Academy

    ドイツの大学(トレーナーアカデミー)で勉強した内容をアウトプットするためのツールとしてゆるーく書いて行こうと思います。

最近の記事

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『ドイツ柔道部物語』始動!

お初にお目にかかります。江口貫拙(えぐち かんせつ)と申します。 このnoteでは、柔道で最強を志すも、自分の才能に限界を感じ一度柔道を投げ出した男がいかにしてドイツで柔道を通じてキャリアを築き上げて来たかということを主に書いていこうと思います。 経歴(日本)京都のお寺に4人兄弟の次男として生まれる。だからこんな名前、でも非常に気に入ってる。図らずも海外の柔道家から名前をすぐに覚えてもらえる。嬉しい誤算とはこのこと。関節技(Kansetsu-Waza)あるからね。親に感謝

    • 十八本目 「ドイツ柔道連盟の柔道家の育成指針〜昇級・昇段審査の教則モデル〜」

      今回のDJMでは、ドイツ柔道連盟(以下DJB)が2022年7月に昇級・昇段審査の内容とコンセプトを大きく改定したので、その新しいシステムについて翻訳を進めながら自分なりの解釈を交え解説をしていきます。 最近、全日本柔道連盟から「長期育成指針」が発表され、ドイツ柔道連盟のこの教則モデルは「長期育成指針」の比較対象になるかなと思い、大まかでまだ完全に咀嚼できていない部分もありますがざっと調べてみました。 それでは参りましょう、「はじめ!」 はじめに昇段制度とはそもそも講道館

      • 十七本目 『トレーナーアカデミー』

        今回の記事では2020年7月からこれまで三年間に渡ってドイツのアカデミーで学生となって勉強してきて、「Diplom-Trainer」というドイツオリンピック連盟が定めるスポーツ指導者として最高位のライセンスを取得したことについて書いていきます。 おそらくためになる知識などはなく、ただただ自分にとってとてつもなく困難な挑戦であったドイツのアカデミー(大学に相当)で勉強をやり切ったという喜びを表現したいがためのただの自己満足ですので悪しからず。それでは「はじめ!」 トレーナー

        • vol.4『Sociology of sport(スポーツ社会学)その②-トップスポーツ組織におけるコーチとアスリートの役割-』

          引き続き卒業試験対策の勉強内容をまとめていきます。 「目的-手段関係」と「パフォーマンスロール」目的-手段関係とは、経済学の概念で、特定の目的または目標とその目的を達成するために必要な手段との関係を指します。つまり、適切な手段が用意され、効果的に使用された場合にのみ、特定の目的を達成することができます。 パフォーマンスロールとは、組織やグループの人々が、共に目標を達成するためにとるさまざまな役割のことです。グループの全員が、目標を達成するために果たさなければならない特定の

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        『ドイツ柔道部物語』始動!

        マガジン

        • DJM-ドイツ柔道部物語-
          18本
        • Cologne Trainer Academy
          4本

        記事

          vol.3 『Sociology of sport(スポーツ社会学)その①』

          スポーツ社会学とはスポーツ社会学とは、スポーツ現象を社会学的に分析する学問分野です。スポーツは、社会のあらゆる層で行われており、競技者、ファン、メディア、経営者、政治家など様々な人々が関わっています。 競技スポーツにおけるスポーツ社会学は、スポーツの文化的、社会的、経済的な影響を研究することに注力しています。例えば、競技スポーツにおけるトップアスリートのトレーニング方法や、スポーツの組織化に関する研究などがあります。また、スポーツと社会的価値観の関係や、スポーツが社会的影響

          vol.3 『Sociology of sport(スポーツ社会学)その①』

          vol.2 『Requirement profile of Judoka(柔道家の要件プロファイル)』

          柔道家の要件プロファイルとは?柔道というスポーツ(*武道ではない)において、柔道家が高いレベルで成功するために満たすべきさまざまな身体的および精神的な必要条件のことをドイツではこのように表します。 重要な要件として、パワー、スピード、持久力、柔軟性、戦術・戦略やメンタルといったものが挙げられます。 正確な要件は、個人の試合スタイル、階級、および試合条件によって異なる場合があるので、効果的な柔道のトレーニングは、これらすべての側面を考慮し、柔道家の身体的および心理的パフォー

          vol.2 『Requirement profile of Judoka(柔道家の要件プロファイル)』

          十六本目 『柔道サマースクール@リンダウ(Lindow)』

          今回は8月7~13日にベルリン郊外のリンダウという街で開催された柔道のインターナショナルサマースクールについてのレポートです。 それでは参りましょう。「はじめ!」 柔道サマースクールとは柔道のサマースクールと言われても、あまりピンとこないとは思いますが、ドイツの夏休み期間中にスポーツ学校などで開催される柔道の講習会・交流イベントのことです。 今年で47回目の開催となったこのイベントですが、今年は10カ国以上の参加国、160人以上の様々な年齢層の柔道愛好家が集まり、共に体

          十六本目 『柔道サマースクール@リンダウ(Lindow)』

          vol.1 『Coaching』

          第一回目のテーマは『Coaching』です。 このマガジンでは🇩🇪ケルントレーナーアカデミーの授業内容のアウトプット・復習のために要約しているだけなので、言葉足らずな部分や少し内容として十分ではないものがあるかもしれませんが悪しからず。 コーチとトレーナーの定義日本の柔道界では一般的に指導者のことをコーチ、そして柔道以外の指導(身体機能や筋力の強化指導など)を行う人をトレーナーと呼んでおり、指導する内容でその役割を分けている印象があります。(違ったらご指摘ください) しか

          vol.1 『Coaching』

          十五本目 『ドイツ柔道と選抜システム』

          みなさまお久しぶりです。気が付けば前回から1年以上が経っていました。 今年の5月から勤務先がNWR州柔道連盟からドイツ柔道連盟になり、ポジションもNRW州女子ジュニア選抜(Landestrainer)から、ケルンを拠点とする女子ナショナルチームのコーチ(Bundesstützpunkttrainer)へと変化しました。 今回の記事では、改めて自分の立場を理解するために、ドイツの競技スポーツシステムについて勉強し、自分に課せられた仕事をドイツ柔道連盟の組織構造やアスリートの選

          十五本目 『ドイツ柔道と選抜システム』

          十四本目 『海外での指導のメリット』

          今回のDJMは海外での柔道指導を通じて、自分自身の役に立った経験をつらつらと書いていくだけの記事です。 何かのメソッドとかではないですが、ご興味あれば目を通して見てください。 それでは参りましょう。「はじめ!」 柔道の多様性まず1番のメリットとも言えるのは日本で生まれた柔道という武道が世界でどのように広まって教えられているのかを身を以て知ることができたことでしょうか。 国が違えば文化も違うわけで、そこには様々な形で発展していった柔道の姿を見ることができます。今まで自分

          十四本目 『海外での指導のメリット』

          十三本目 『ヨーロッパの技術指導』

          今回のDJMでは、僕自身が技術指導をするときに重要視していることについて書いていきます。 早速キーワードだけ書いておきます ①分析→細分化 ②仮説思考→根拠づけ ③単一的→複合的 これらのキーワードをもとに自分がドイツでどのように技術指導をしているのか紹介したいと思います。 それではまいりましょう。「はじめ!」 日本とドイツの指導方法の違いまずは日本とドイツの指導方法と教育制度の背景を比較してみましょう。 以前"judo3.0"のオンラインカフェというイベントで追手

          十三本目 『ヨーロッパの技術指導』

          十二本目 『背負投による肘関節損傷の予防方法の提案』

          今回の"DJM"では背負投による肘関節損傷の予防方法について自分なりの考えをまとめていきます。 それでは参りましょう。「はじめ!」 この記事を書こうと思った動機これまで背負投を練習してきた柔道家の中には同じような問題を抱えている方も少なくないと思いますが、僕自身も今現在、右肘に爆弾を抱えている状態で不意に肘関節に負荷がかかると肘の内側の靭帯に激痛が走り、まったく力が入らない状態になります。 いつからこの痛みを自覚するようになったのかというとおそらくドイツで柔道をするよう

          十二本目 『背負投による肘関節損傷の予防方法の提案』

          十一本目 『ランデストレーナーのお仕事(1)』

          今回のDJMは僕自身の仕事内容についてです。 その仕事は多岐に渡るのでもっと詳しいことは今後何回かに分けてゆっくり書いていきます。 海外の指導者がどのような仕事をしているのか、また海外で指導者になるにはどのような能力が求められているのか、「将来海外で指導をしてみたい!」という方の参考になれば幸いです。 ついでに自分のするべき仕事を再確認するためにこの記事を書いています。笑 それでは参りましょう!「はじめ!」 Landestrainer(ランデストレーナー)とは何ぞや?

          十一本目 『ランデストレーナーのお仕事(1)』

          十本目 『自分の柔道スタイルについて考える(後編)』

          さあやってまいりましたDJM記念すべき第十本目!! 気がつけば最初の記事を書いてから半年が経っていましたね。 なんというスローペース。笑 まあ気楽に自分のペースで更新していきます。 前回は「自分の柔道スタイルはどうのようなものか?」を考えるために、自分の柔道のコンセプト、各方向への投げ技、組手・状況別の序列を書き出すという作業を行いました。 ↓詳しくは前回の記事を参照してください↓ 今回の後編ではこれらの要素を組み合わせて、さらに細かく自分の柔道を図解して考察していくとい

          十本目 『自分の柔道スタイルについて考える(後編)』

          九本目 『自分の柔道スタイルについて考える(前編)』

          Frohes neues Jahr!!(あけましておめでとうございます。) めちゃめちゃ久しぶりのDJMです。 ドイツでは昨年11月から再びロックダウンに突入し多くの選手が畳の上での練習ができない状態が続いております。国内国外で感染者が増え続けている状況をからまだまだ終息の目処は立っていません。 これまでの2ヶ月ほどは仕事も大学の講義もオンラインですることがほとんどだったので11月には有給を取り家族で日本に一時帰国してリフレッシュしてきました。 そこでいろいろ柔道につい

          九本目 『自分の柔道スタイルについて考える(前編)』

          八本目 『合理主義国家ドイツで学んだTTAとは』

          Herzlich willkommen zu DJM!!(←DJMへようこそ!!) 今回の"DJM"では僕がドイツで指導者になってから知ったドイツ柔道界の驚きの文化について書いていきます。 それでは参りましょう。「はじめ!」 TTA?なにそれ?おいしいの?みなさんの頭にたくさんの???が浮かんでいるのが想像できます。 TTAとは… Technisch-(技術的) Taktisches(戦術的) Anforderungsprofil(要求プロフィール) のことです。

          八本目 『合理主義国家ドイツで学んだTTAとは』